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『俺にラブコメはまだ早かった!!~運命に振り回された俺の青春を返してくれ~』  作者: ミタラリアット


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四十九話『ふたつの鼓動』


 現状を知りたくてニュースを付ける。昨晩、新百合ヶ丘の街中で人が二人殺されたらしい。同時に、俺が四葉駅の商業施設で殺した殺人事件の速報も入ってくる。続く殺人事件に、コメンテーターも困惑していた。『先日までの殺人事件から変化している。片方は距離的に見ても模倣犯か』お笑い芸人が自分の見解を語る。元刑事の解説役は『その可能性は極めて高いです』と頷く。「……」ニュースを見ながら着替える。その後、ボイスレコーダーを手に取っては、データを削除し空にする。恥ずかしい音声が入ってるから、とでも言っておけばさすがの堂上も普通の男子高校生だと思うだろ。『一人目の連続殺人犯をAとして、二人目の殺人犯はBと仮称します。これは組織的な犯罪なのか、はたまた』ニュースの音声を垂れ流す。「起きたかカガミ」窓からホノカが入ってくる。今まで殺した人間の名前を書いたメモをポケットから取り出す。「……」俺はぼーっとそのメモを眺める。そして、そのメモをぐしゃ、と丸めてポケットに入れた。資料が入ったクリアファイルを手に取り、レイ・テンダーのセミナーの詳細に視線を向ける。たかが高校生に資金提供なんて普通はして貰えないだろうが、俺はレイの晒されたくないであろう弱みを握っている。ネットに公開する。とでも脅せば簡単か。俺一人で行くのは危険だ。かと行ってサユリを連れていく訳にも行かない。「おいカガミ」ホノカは俺の後ろから声をかける。「うわぁ!?」俺は驚いて声を上げる。ホノカは「全く……いい加減慣れてくれ」と困ったような表情を浮かべた。「ホノカ、人に姿が見える状態でレイのセミナーに参加してくれないか」俺のがホノカを誘うと、ホノカは「無駄な足掻きだと思うけどな」と納得はしないものの誘いに乗った。「ありがとう」俺が礼を言うとホノカは、「嗚呼、」と答える。「いま思ったんだが……お前のすごいところはどれだけ辛いことでもサユリのためなら諦めずに続けるところだよな」唐突にホノカは俺を評価する。俺は、「なんだ?デレか?」とホノカに問いかけるが、ホノカは「馬鹿め。浮かれるな」と答える。


 「今日はどうやって過ごすつもりだ」ホノカに問われては、「サユリに会いたい……」と言葉を返す。ホノカは、「ずっと会ってるだろ」と目を丸くする。どうやら理解出来ないようだ。「いやだ、サユリと一秒足りとも離れたくない」俺が言うとホノカは、「サユリの写真でも持ち歩いたらどうだ」と提案する。「既にやってる」俺は写真が入るストラップをホノカに見せつける。持ち歩いている写真はサユリの寝顔。「……お前怖い」ホノカは少し引いたような表情を浮かべる。「サユリの全ては俺のものなんだ、俺は手を汚すほどサユリを愛してるんだ、俺はサユリを……」そんな事をしていると、「カガミ~」と母さんが俺を食事に呼ぶ。いつものように階段を降り、母さんと雑談を交えながら食事を食べ終わると、ピンポーン。とチャイムが鳴った。……サユリだ。「あら、サユリちゃんいらっしゃい」母さんはサユリに笑顔を向ける。「こんにちは!」皿を洗っている俺に、サユリは近づく。「カガミ、ゲーム持ってきたから一緒にやろ?」俺は一気に気分が良くなる。「嗚呼。上で待ってて…」俺が言うと母さんは遮るように、「ねえ、カガミ。早くサユリちゃんと結婚して~?私楽しみに待ってるわ~♡サユリちゃんもカガミ早く貰ってね」といつになくにやにやする。「母さん……、いずれは絶対嫁に貰うんだから黙っててくれよ」皿を食器棚に片付けながら言うと、サユリは「必ずあなたの息子さんを貰います!」とはっきり俺の母さんに答える。「ちょ、サユリ!?」俺は頬を赤らめるが、母さんは「楽しみにしてるわ~♡」と嬉しそうに鼻歌を歌いながらはたきを取りに行った。


 サユリと俺は階段を上がる。俺の部屋に入ると、「そういえば、お母さん受け入れてくれる施設が決まったの」とサユリは穏やかな表情で語る。「へぇ、良かったな」サユリが持ってきたゲームが入った袋を覗きながら言うと、「ここまで長かった……」とサユリは呟く。「ところで、サユリがゲームなんて急だよな。そういうのやるタイプじゃないだろ」俺が言うとサユリは、「カガミの家に遊びに行く口実が欲しくて……中古で買ってきた」と目を泳がせながら答える。「全く、口実なんて関係なしに来ればいいだろ」俺が言うと「でもカガミとゲームしたいのは本当だよ、今まで何だかんだしたことが無いもんね」とサユリは袋からゲーム機を取り出す。「スーパーレッドのヒーローレッスン~♪あとこれついてきたカードね」サユリはスーパーレッドのカードを俺に渡す。「ありがとう」俺が微笑むとサユリは、「ふふッ、買って良かった」と嬉しそうな表情を浮かべる。「さっそく通信して遊ぼ!」楽しげに言うサユリ。俺はゲームを開く。あまりゲームなんてやったことが無い俺は「……」とまず操作方法に躓く。「ああ……、ここが決定ボタンでここが……」サユリに説明を受ける俺。ある程度の操作方法は理解した。俺はゲーム機をパカッ、と開く。背面にゲームカセットを入れては、サユリに教わった通りに起動する。軽い効果音と共にハードの名前とロゴデザインが表示される。メイン画面にはソフト、イラストチャット、ダウンロードプレイが表示されている。俺はゲームを立ち上げ暫くサユリと通信しながら遊ぶ。対戦モード。コマンドを打って戦うシンプルなゲームだ。HPの数値が画面上に表示される。「遊んでいる場合か?」なんてホノカが言うが、息抜き(サユリとすごすじかん)が無ければ俺の精神がおかしくなってしまう。


 「じゃあ、私はスーパーピンクね」キャラクター選択画面でピンクを選ぶサユリ。俺はもちろんレッドを選んだ。軽やかに攻撃を与えるサユリのスーパーピンク。俺は防御で必死。「ぇ、カガミ攻撃しないの??」と純粋な瞳で問いかけるサユリ。いくらゲームと言えどサユリに攻撃なんて出来るはずがない。「……いいよ、俺の負けだ」俺が笑いながら言うと、サユリは「もうッ!!!」と攻撃を繰り出さない俺にビームを発射して勝ちに行く。「なんでカガミはそんなに控えめなの」頬を膨らませるサユリ。サユリの頬を撫でながら、「サユリを酷く扱うなんて出来ないよ」と微笑む。あの日、たった一度だけやってしまった事、あの日脳内で流れ続けた聖歌。快楽を覚えながらも、過激な行動を制御する自分も同時に存在して。なんだか適当な色で塗った仮面を切り替えているみたいだ。サユリは俺の手を取る。「酷く扱ってもいいよ?」俺の脳に直接言葉を投げるサユリ。サユリの視線は柔らかいもので、この荒れ果てた現代を生きる人間に浮かぶ表情では無いと思った。「カガミ」甘い声が俺を誘惑する。サユリは俺の唇を奪った。「……うむッ……」長い、呼吸が出来なくなるほどの長いキスに目が無意識に蕩ける。嗚呼…幸せだ、この地球上に俺とサユリだけが存在すればいいのに。「……ん゛ぅ……」甘い声を俺が出した頃に、サユリは唇を離した。「……長い!」頬を赤らめる俺を、サユリは「ふふッ、可愛い、」と揶揄ったあと、「……カガミを閉じ込めちゃいたい、」と笑う。俺と同じ心情のサユリに、「お前……」と驚きつつも喜びを感じてしまう。でも、ダメなんだ、いっそそうなりたいのは俺の方だ、でも……でも……。

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― 新着の感想 ―
これはラブコメなんだ!そうだ、これはラブコメをしてるに違いないんだ!断じて依存関係の精神が壊れた二人なんかじゃない!
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