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『俺にラブコメはまだ早かった!!~運命に振り回された俺の青春を返してくれ~』  作者: ミタラリアット


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四十二話『堂上という男』

 放課後、サユリと並んで家に帰った俺は、リビングのソファーに座りながらニュースを付ける。「学校からメール来たわよ、いじめで自殺した生徒がいるって」ニュースを付ける俺に母さんは真剣な声のトーンで呟く。「あなた、本当に何も見てないの」と問いかける母さんに、「俺は何も見てない」と答える。「でも、ヒロムの事故は事故じゃない。いじめを告発しようとしたヒロムを上級生が意図的に殺した、他殺だよ」俺が母さんに説明すると、母さんは「……じゃあその上級生が今回も……」と目を見開く。「違う。その上級生は既に少年院にいるはずだ、多分、この学校は複数のいじめが同時にあると思うんだ、今回のはまだ、氷山の一角なんじゃないか」俺が言うと、母さんは「そんな学校辞めなさい、そんな子たちばかりだと勉強の妨げになるでしょ。今からでももっと良いところに転校────」と提案するが、「嫌だ!」と俺は叫ぶ。「サユリと違う学校なんて通わない!」俺の叫びに、母さんは「でも、いじめが当たり前のようにある学校に通わせることは……」と俺を心配する。「俺はこの学校でいい。大学までサユリと同じ学校に行きたくてこの学校を受けたんだ、俺は絶対にサユリと離れたりしない!」母さんに訴えると、母さんは「本当にあなたって子は……昔からサユリちゃん大好きなんだから」とため息をつく。「でもね、お母さんとしてはね、カガミの事も心配なの。カガミが平気ならそれでいいけど、危ない事に巻き込まれないようにしてね」母さんの言葉に、既にいじめの数倍危ない事に両足を引きずり込まれている俺は、「……」黙りながら目を逸らす。


「あ~~~、最近本当に嫌な事続きだな~~~」わざとらしく棒読みで言いながら真剣にニュースを見る。昨晩、俺が人を殺せなかったから犠牲になったユリカ。でも、サユリじゃなくて良かった……と心のどこかで安堵してしまう俺は最低だ。国立創集院大学附属中学校、高等学校。大学進学に向けた授業内容が提供される、日本でも上位の学校法人。芸能人や経営者、政治家の子供も数多く通う学校でいじめがあったと世間に繰り返し報道されては、学校の評判が地に落ちてしまうのは時間の問題だ。そうなれば、就職活動にも響くだろう。一体俺の将来はどうなるんだろうか……。そもそも、俺に将来を語る資格があるのだろうか……。「はぁ……」俺は溜息をつき、ニュースからスタジオに画面が切り替わる頃にリモコンを握りテレビの電源を消す。この後、恐らくコメンテーターの語りがはじまるがほぼ意味が無いものだろう。そもそもなぜ報道番組の出演者ごときが自分の主観だけで体験してもいない事件についてベラベラ得意げに語り出すのか理解できない。もっとも、すぐに現場を取り囲み事件を金の餌にして関係者に迷惑をかける報道陣のほうが理解できないが。


 俺は自分の部屋に戻る。ホノカは「帰ったか、いつもより早かったな」と俺を見つめる。「堂上って刑事に会った」俺が言うと、ホノカは「なっ……」と目を見開く。「心当たりでもあるのか」俺の問いに、ホノカは「答える義務は無い」と言及を避ける。「知ってるなら教えてくれ」食い下がる俺に、「なぜお前みたいな微生物に教えなければならない」と言いながらホノカは冷めた目を向けた。「……」何かあるのか。と察する俺に、ホノカは「その男と接触を続ける事はお前の破滅を意味する」と意味深なヒントだけを伝える。破滅、と言う言葉に「……」と黙る俺。ホノカは、「その刑事は本当に堂上という名前だったんだな」と俺に再確認する。「ああ」静かに頷くと、ホノカは黙りながら切なげな表情を浮かべる。「何かあるなら言えって」俺が言うとホノカは「私にはもう語る資格が無い」と答える。「え……」俺にはある可能性が過ぎった。俺は瞳を震わせる。ホノカは、俺の心を読んだかのように、「その通りだ……。ただ同じ苗字なだけと言う可能性もあるが……。高確率で……」と声を裏返しながら話す。そして俺が「キョースケ……」と呟く。ホノカと俺は向き合いながら、「……嘘だ……あんな奴が……」俺がわかりやすく動揺すると、ホノカは「まだ決まったわけじゃない、人違いという可能性もある。だが、刑事で堂上、となると私はキョースケな気がしてならない」とスマホをいじりながら俺に言う。「この顔だったか」ホノカはツーショット写真を俺に見せる。今では考えられないほど満面の笑みを浮かべるホノカと、黒髪紫目の…………!!


 俺は乾いた笑みを零す。「嘘……嘘だよな……?キョースケ……あいつ……警察になってたのかよ……それで……父さんの……」俺が消えそうな声で言うと、ホノカは「事実だ」と答える。「本格的に死神になって暫くは死神の仕事の勝手が分からずキョースケを追いかけ回していたからな」ホノカの言葉に、「お前はそんなにキョースケが好きなのか、何がいいんだあの男の」とため息をつく。「自分の手を汚してまで、みんなを、私を守ろうとしてくれていたところだ」ホノカは切なげな表情で言った。「……」俺は言葉を失う。「キョースケはいつまでも私の特別な人だ。でも、もう私に関する記憶はこれっぽっちも無いけどな」スマホをベッドの上に投げ捨てるホノカ。「……なあホノカ」俺はホノカに視線を向ける。「なんだ」ホノカはきょとん、と首を傾げながら俺を見つめる。「堂上がキョースケなら、尚更作戦を続けないとな。近いうちにヒビキをどうにかして殺人犯に仕立て上げなければならない。あいつの周りでは今尚人が死んでいる。あいつの母さんが死ぬのも時間の問題だろう」俺が言うとホノカは、「もう懲りたと思ったよ」と答えた。


「それに今日の夜は少し離れた街に行きたい」俺は資料を取り出す。「日系アメリカ人の資産家、レイ・テンダー。電気自動車の開発や宇宙開発に携わる企業を次々と立ち上げ、最近ではメッセージアプリに関わる企業を買収。彼の少々過激なやり方には賛否両論あるが、その実力と財産は確かなものだ」俺が説明するとホノカは、「その男がどうかしたのか。お前の物語に一切関係ないじゃないか」とぬいぐるみと遊びはじめる。「……その資産があればいいんだけどな」俺が呟くとホノカは、「あまりに現実的じゃない。まさかそいつと接触したいのか。金のためだけに」と呆れる。「ヒビキに薬物を投与する事に成功したら俺と薬物を投与した人間たちだけで構成された小規模な組織を立ち上げたいんだ。全てはサユリを守るために。人殺しだけで構成された組織を」俺が言うとホノカは、「迷走してないか?」と鋭い指摘をする。


「迷走も上等だ。最後に結果がそこに存在すればいい。それに、いきなりレイに接触しようとはしていないさ。レイの会社に勤務する者に接触するつもりだ。何か聞き出せるかもしれない。それに、もうその男との約束はSNSを通じて出来ている」俺の言葉の後、ホノカは、「好きにしろ」と静かに言い放った。だがやはり刃物だけでは効率が悪いな。そろそろ新しい地獄の道具も欲しい頃だが……。俺だって拳銃が欲しい。とりあえず今俺がやるべき事はレイの会社に勤務する男との接触と、ヒビキへのR2投与だ。

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そんな!なんという運命!キョースケが!
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