とある魔女のモノローグ
鳥が羽ばたくとビルが建つ。過去が笑えばコップが傾く。人が寝ればカマキリは月を見る。風が吹けば桶屋が儲かるような出来事は、非現実的ではない。ここもそうだ。あらゆる文明の利器をもって、人類史上最も豊かな時代を更新し続けている現世において異質な場所。それが私の住むこの魔法界だ。
素晴らしい現代の科学力をもっても証明できない、魔法や魔術がひしめく私の世界はいつだって残酷だった。私も多くのものを無くした。傲慢な存在である魔法使いはいつだって自分の我儘を貫く。傲慢でなければ魔法使いになれないぐらいに、彼らは自由を持った。私の弟もそうだった。
魔法使いや魔術使い。そんな彼らも時には現世に遊びに来る。細心の注意を払っているが、同族ならすぐにわかる。もう払う必要はないかもしれないけど、注意しているようだ。
もしかしたら君のそばにもいるかもしれない。そして、たまに魔法の世界に迷い込んでしまう現代人もいる。まったく不運なのか幸運なのか。交流ができるようになったとはいえ、見知らぬ土地に迷い込むことは誰でも怖いだろう。
だけど、私は見つけたら是非とも合いたい。現代については、とことん知りたい。今まで虚数空間で過ごしていた分、何時間でも話を聞いていたい。
『コン、コン』
どうやら荷物が届いたらしい。ん?どうして荷物が届いたってわかるのかって?あいにく人付き合いが得意では無くてね。来客のほとんどは荷物なんだ。今回は頼んで一年経ってないから、早く届いたほうかな。
そうそう、最後に言っておこう。彼らは君たちの知っている郵便局員ではない。悲劇も喜劇も吸い尽くしたような変わった人物達が集まった場所。魔法界、いや世界で知らぬものはいない。
ーー魔法の郵便局員。皆、彼らをそう呼んでいるのさ。
完




