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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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婚約者モルマンは性格の良くない男性でした。~婚約破棄した翌日彼は寂しくこの世を去ったようですね~

 婚約者モルマンは性格の良くない男性だった。


 出会ってすぐの頃から私を気に入っていない様子で、たびたび嫌みのような発言を繰り返していた。


 嫌みの種類は様々だが。主となるのは、私が無能である、というような内容。また、私の容姿を貶めるようなものもある。なんにせよ彼は、私という一人の人間を否定したくて仕方がないようで。彼は私への失礼な言葉を吐き出すことで満足感を味わっているような感じであった。


 そんなモルマンはある日。


「悪いな、急に呼び出して」

「いえ……何かご用でしょうか?」

「実は言いたいことがあってな」

「はい、何でしょう」


 私を突然自宅へ呼び出して。


「お前みたいな女と生きる気はないので、婚約は破棄とする」


 一方的にそんな宣言をしてきた。


「俺が好きなのはもっと器用で有能で家庭的な美人な女だ。お前みたいな平凡女には興味がない。なのでお前との関係はここまでとする」


 彼は平然と心ない言葉を吐き、関係を強制的に終了させた。


 ――だがその後モルマンの身に不幸が降りかかる。


 私との婚約を破棄した次の日、モルマンは急に山菜を採りたくなって自宅の近くの山へ出掛けたそうなのだがそこで設置されていた大型魔物用罠に引っかかってしまい複数の棘に身を貫かれ落命してしまったそうだ。


 誰にも見守ってもらうことなく、山で孤独にあの世逝き。


 そんな最期というのはどれほど虚しく悲しいものだろうか。


 だがそれもまたこれまでの彼の行いゆえであろう。

 どんな行いもいつかは自分の身に返ってくるものなのである。


 で、私はというと、モルマンに婚約破棄された日からちょうど一年となった日の昼下がりに一人の青年に出会った。


 そして後にその青年と結婚した。

 ちなみに彼は資産化の息子で自身も複数の事業を軌道に乗せてきた人物である。


 これからどんな人生が待っているかはまだ分からない。だが人生とはそういうものだろう。人生なんて、未来なんて、想像はできても確定はできないもの。それほどに不確かなものだ。


 けれども今は明るい未来の訪れを信じている。


 彼と過ごす時間はとても楽しい。

 だからこそ夢だってみられるし希望だって抱けるのだ。



◆終わり◆

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