結婚して正式に夫婦になってもずっと笑い合っていようね、って、約束したのに。~悲しみを越え、輝く未来へ~
結婚して正式に夫婦になってもずっと笑い合っていようね、って、約束したのに。
「どうして……? 婚約しているのに女性と二人きりで、なんて……どうして……?」
ある日私は見てしまった。
「う、うるせえな! 黙ってろ! 出てくんな!」
婚約者である彼ローバートが親しい女性といちゃついているところを。
「私を愛していると言ってくれたのは嘘だったのですか?」
「嘘じゃねえよ! でもなぁ! なんでこんなとこいんだよお前が!」
――彼は私を愛してはいなかった。
「偶然ですよ。私は街へ買い物に来ていただけです。あと、貴方へのお誕生日プレゼントを買うつもりで歩いていました」
「はぁ!? 罪悪感煽って何がしてえんだよ!? 悪女だな!!」
「悪女……そんな風に言うなんて、酷いです」
「こっちが悪いみてえな言い方すんなよ! 悪いのそっちだろが! ふっざけんなよ! いいとこ邪魔しやがってふざけんなふざけんなふざけんな!」
今になって気づく。
彼の心は私へ向いてはいなかったのだと。
言葉などただの飾り、それだけの意味しかない言葉だったのだ――すべて、これまでかけられてきたもののありとあらゆるものが。
「もういい! こうなったら婚約は破棄だ! お前は消えろ、俺の前から、今すぐにな!」
ああ、そうか、彼にとって私は邪魔者でしかない……。
思い返せば良い思い出だってあるけれど。あれらはすべてまやかしだったのだ。言葉も、仕草も、すべて彼の本心ではなかったのだ。私はそれを信じて幸せな未来を信じている馬鹿だった、きっとそれが答えなのだろう。
思っていたこと。
信じていたもの。
そのすべてが間違いだった。
◆
婚約破棄されてから三度目の春、私はついにプロポーズされた。
相手はローバートではない。
しかしもう一年以上交際しているとても善良な男性だ。
なので私はすぐに、はい、と返事した。
新しい物語が既に始まっている。
過去は過ぎ去り。
訪れる幸福は私に生まれ変わるように告げているかのようだ。
何事も前向きに考えよう。
そこからすべてが始まるのだから。
一歩を踏み出せば、きっと、新しい輝きに満ちた世界が待っている。
ちなみにローバートはあの後落命した。
何でも同時に交際していた女性三人に同時交際のことがばれてしまったために三人に取り囲まれて殴る蹴るの暴行を受けることとなってしまったそうで。その際負った怪我がそこそこ酷かったらしく。即死はしなかったものの、倒れて起き上がれないまま、あの世へ旅立つこととなってしまったのだそうだ。
◆終わり◆




