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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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ついさっきまで普通だったのに……婚約破棄だなんて、どうしていきなりそんなことを言い出すのですか? ~それでも私は幸せになる~

 すぐ傍にいる彼エッディオと私ミリオリアは幼馴染みで今は婚約者同士。


「お前さぁ」

「何?」

「面白くねぇな、婚約者として」


 幼馴染みから始まった関係だからこそ深い絆があると思っていた、のに。


「婚約、破棄するわ」


 彼は私と同じような思いではいなかったようで。


「ミリオリア、わりぃけど、俺もうお前と一緒にはいられねぇわ気分的に」

「どうしてよ!?」

「もう無理なんだって」

「ええ!? ……ちょっと待って、一体何があったのよ。昨日までそんなこと一言も言っていなかったじゃない。どうなっているの?」


 彼は容赦なく私を切り捨ててきた。


 きっと何か原因があるのだろう。心が変わるような出来事があったとか。私と関係することか否かは別として。何かがあった、それは確かだろう。そうでなければそんな急に心が変わるとは考えられない。


「何かあったなら話してほしいの、聞かせてちょうだい」

「うるさいな、何もないって」

「どうしてそんな威張っているのよ」

「威張ってねぇ! うるさすぎだお前うざすぎだ、消えろ」


 積み重ねてきたものは確かにあったはずなのに――それらは呆気なく一瞬にして消滅してしまった。



 ◆



 あれから三年。


 突然の婚約破棄によって一度は悲しみの海に落ちた私だったけれど、後に良き人と巡り会え、今はとても穏やかかつ幸せに暮らせている。


 過去はもう振り返らない。

 ただ過ぎ去ったものとして捉えているだけ。


 私が見つめるべきは、幸福な現在ときっといつか来る未来。


 過ぎ去った日々や出来事はもうただの風景でしかないのだ。だから気にすることはない。過去は変えられないけれど、過去を過剰に気にかける必要もない。過去はただ過去としてそこに佇んでいるだけなのだから。


 ああそうだ、そういえば、だが。


 エッディオはあの後少しして流行り病にかかってしまいそれによって肺を悪くして亡くなってしまったそうだ。


 彼には花咲くような明るい未来はなかった。



◆終わり◆

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