三歳の時にほぼ強制的に親の知り合いの息子である男性との結婚を決められていたのですが、いざその時になってみると……?
三歳の時にほぼ強制的に親の知り合いの息子である男性ルーズンルとの結婚を決められた。
もちろん年齢的にすぐ結婚するというわけではない。
しかしその時その瞬間に私の未来は確定することとなったのだ。
そこには私の意思など欠片ほども含まれてはいない。
私はあくまで駒。
決めるのは親。
それでもその時はまだ小さかったからその事実をおかしなことだとは思わなかった――なのでその時点では違和感を抱くことはなかったのだ。
だがルーズンルとの関係が実る日は訪れなかった。
というのも、結婚前にルーズンルに好きな人ができてしまい、それを理由に婚約破棄されてしまったのだ。
こちらに非はなかった。
しかし運命は私と彼を結び付けはしなかった。
ただ、それは、ある意味解放でもあって。
遠い過去に親が勝手に決めた道は壊れ。この身には自由が残る。婚約破棄されたという事実は増えてはしまったけれど、そんなものは大したものではない。生きる道を閉ざすほどのことではない。
なので私はのんびりと生活することにした。
だってそうだろう?
まだ何も失敗していないのだから、私は私なりの形で選んだ道を行けばいい。
過去は記憶の果てへ溶けて消える。
現在は束の間のものとして去ってゆく。
そして未来がやって来る。
絶対的な理はそれだ。
ならばただ歩み続けるだけでいい。
◆
あれから数年が経った。
時の経過というのは本当に早いものだと思う。
……言葉では表せないくらい。
私は今、ルーズンルではない別の男性と結婚し、先日誕生したばかりの第一子と三人で穏やかに生活している。
いや、もちろん、赤子の世話はかなり大変だ。
もうとにかく忙しい。
ばたばたするばかり振り回されるばかりの日々。
けれど夫が支えてくれていることもあって何とかやるべきことをこなしつつ生きることができている。
理解ある人と結婚して良かった、と、強く思う。
ちなみにルーズンルはもうこの世界にはいない。
というのも先日過去の恋人であった女性に襲われて落命してしまったのだ。
次の恋人との話で揉めたとか何とか……そんな風な噂は耳にしたけれど、それ以上の詳しいことは知らないままである。
ただ一つ、確かなことは。
ルーズンルはあの世逝きとなった、ということだ。
◆終わり◆




