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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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婚約破棄されましたが、活躍できる道を模索します! ~得意を活かして生きられるのが理想的ですよね~

「うふふ、本当に運動神経がいいわねぇ」

「はっはっは、自慢の娘だよ」


 幼い頃から男子顔負けの活発さだった私ルージェラはそのことを両親からいつも褒めてもらっていたので自分の運動神経にはそこそこ自信を持っていた。


 自分が偉大だと言いたいわけではない。

 常に謙虚さを忘れてはならないことはもちろん知っている。


 だが、自身の得意不得意というのは、成人になる頃には大抵それなりには把握しているものだろう?


 これもそういったものだ。自分は運動が得意、ということ。ただそれだけのことを把握しているということである。


「ルージェラ、お前とはやっていけない」


 しかしそのことが婚約者ローマンには良く思われておらず。


「よって! 本日をもって、婚約は破棄とする!」


 結果的に運動神経が良いという事実によって関係を解消されることとなってしまった。


「え……。そんな。……本気で仰っているのですか」

「運動できる女なんか嫌いだ」

「それだけが婚約破棄の理由なのですか?」

「そうだ! そういうことだ!」

「それは正当な理由とはならないと思われますが……」

「うるさい黙れ! いちいち偉そうなことを言うんじゃない! 馬鹿にしやがって!」


 ――そうして私たち二人の関係は終わりを迎える。



 ◆



 婚約破棄から二年。


 私は国内で五本の指に入るほどレベルの高い冒険者となった。

 今は冒険者としての仕事に打ち込む日々だ。

 生まれ持った運動神経の良さを活かせる仕事に出会えたことはとても大きな幸運であった。


 人助けをする。

 国のためになることもする。


 そして、皆から称賛されるのだから、そんなにも嬉しいことというのはこの世界には滅多にない。


 この道こそが生きる道。今はそう強く感じている。だからこれからも、冒険者として働いてゆくつもりだ。戦いの道、人助けの道、それこそが私の行くべき道であると今はただ真っ直ぐに確信している。


 ちなみにローマンはというと。


 先月街の外れにある湖の辺りへ出掛けていた際に突如出現した魔物に襲われてしまい、魔物からの攻撃で致命傷を追い、この世から去ることとなったそうだ。


 彼の葬式は一応開催されたようだ。

 しかし参加者は親だけ。

 それも、かなり近しい関係ゆえに仕方がないからといったような理由での、やる気のない参加であったそう。


 ローマンは孤独なまま生涯を終えた。



◆終わり◆

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