過去色々ありましたが、愛する人と結ばれることができた今はとても幸せです。
淡い青をした空が穏やかな日射しと共に美しい絵画のような風景を生み出す今日この日、私は最愛の人と結ばれる。
こんな幸せなことがあるだろうか、人生において。
「これからもよろしくね、アイリア」
「ええ! こちらこそ!」
――だがここに至るまでには苦労がたくさんあった。
以前私にはオイルートという婚約者がいた。
しかし彼は私のことをあまり気に入ってくれておらず、そのためたびたび私に失礼なことを言ってきていたうえ裏でこっそり親しい女性を作っていた。
さらに浮気相手である女性やその周りの人たちに私の悪口を言いふらすという悪行まで日常的に重ねていた。しかもその悪口というのはほぼ捏造である。事実とが大幅に異なることを言いふらしていたのだ。
そんな彼と、ある時ちょっとしたことで少し険悪な空気になってしまって。
それによって激怒した彼は「二度とお前の顔なんてみたくない!」とまで言いきったうえ婚約破棄を宣言してきた。
呆れる……。
理不尽過ぎる……。
そうして私たちの関係は終わりを迎えたのだが、以降もオイルートは時々私に関わってきて嫌がらせをしてきていて――そのためこちらは大変しんどい思いをすることとなってしまっていた。
もう関係は終わったはずなのにやたらと絡まれるというのはかなりしんどいことである。
だが、そんなある時、近い将来夫となる彼リーオルと出会って。
そこから災難は徐々に遠ざかっていった。
というのもリーオルがオイルートを追い払ってくれたのである。
やがてオイルートは寄って来なくなった。
「アイリア?」
「……あ」
「大丈夫? 何だか考え事でもしているかのような顔をしているけど」
「ごめんなさい、つい」
「何か困ったことでもあった?」
「いいえ」
「何かあるなら言ってよ?」
「ないわ」
「本当に?」
「ええ」
「そうは見えなかったけどな……本当に大丈夫なのかな」
厄介な男を追い払ってくれたリーオルには感謝している。
「ごめんなさい、ちょっと、昔のことを考えていたの」
「昔のこと?」
「ええ」
「もしかして、あのややこしい人のこと?」
「そうね……そんな感じ」
「そうだったんだ」
「ええ。……ごめんなさい」
「いやいや謝らなくていいよ、悪いことじゃないし」
私はリーオルを愛している。
だからこそ彼を結婚相手に選んだのだ。
彼となら幸せになれる――純粋にそう思えたから。
「上の空になっているなんて問題よね、ごめんなさい」
「え。いやいや、そんな、アイリアを責めているわけじゃないんだ」
「……気遣いをありがとう」
「でも、もし何か悩みが生まれたら、いつでも言ってね。できることがあるか分からないけど、できる限り協力するから」
「ありがとう」
私たちの未来は明るい。
だからこれからも真っ直ぐに歩んでゆきたい。
◆終わり◆




