ある春の日、呼び出されたと思ったら婚約破棄を告げられまして……。～その後まさかの奇跡が～

「悪いけど、君との婚約は破棄させてもらうよ」

　婚約者ラゲートマンからそんなことを告げられたのは、ある春の日だった。

　なんてことのない朝。

　急に呼び出されたと思ったら。

「僕は君と共に生きてゆく気はないんだ。なぜって、君はパッとしない女性だからね。君のような女性と結婚しても誰にも自慢できないだろう？　それではお嫁さんを貰う意味がない。だからこその婚約破棄なんだ」

　心ない言葉を並べられてしまった。

　あまりにも突然の出来事に固まってしまった。

　すぐには相応しい言葉を見つけられなくて。

「さようなら」

　それが、彼が私にかけた最後の言葉だった。

　◆

　婚約破棄された私はしばらく落ち込んでいた。

　だがそんなある日に特殊能力を得ることとなる。

　というのもある朝急に立派な白い翼が生えてきたのである。

　それによって私の人生は大きく変わった。

　私は飛べるようになったことを活かして人助けのために働く道を選んだ。

　他者にできないことができる。

　それは奇跡。

　だからこそ、その奇跡を自分のためだけではなく他人のためにもなるように使うことが大切だと思うし、それこそが最も偉大なことだと思ったのだ。

　で、その活動が認められ、国王から表彰された。

　さらに王子との結婚も決まった。

　ちなみにラゲートマンはというと、婚約破棄後間もなく父親の借金が明らかになったらしくそれによって心が折れて病んでしまったそうだ。

　ラゲートマンは今、自室に引きこもってしまっているらしい。

　……残念だが彼の人生には明るい未来は訪れないようだ。

◆終わり◆