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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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あの、婚約破棄の理由をそんなに色々言われても、困ってしまうだけなのですが……。

「君とはもうやっていけない。よって、婚約は破棄とする」


 婚約していた二つ年上の彼マドリッツォーダンはある雨降りの日にそんなことを告げてきた。


「以前から君の顔面にはあまり良い印象を抱いていなかったんだ。思い出すだけでも溜め息が出続けてしまうほどだった。それに、君は奉仕の精神を欠いている。いつもあっさりしていて、すり寄ってきてもくれないし、淡々とし過ぎていて面白くない。その様といったら、女かどうか分からないほどだ」


 そんなことまで言ってきて。


「加えて、自立した心を持っているところも一緒にいる男として面白くない。男としては女に少しは甘えてほしいもの、だが君はなんというか、精神的に自立している。それゆえこちらにうまみがない。君と一緒にいても正直こちら側に特がないし、君と一緒にいることにして良かったと思える部分もあまりなかった」


 さらに続く。


「あと、もう少しボリューミーな体型の方が好きというのもある。君はしゅっとしていて女性らしさを書いている。さりげなく知性を感じさせる顔立ちであるところも減点要素だ。まったくもっていちゃつく気になれない。穢れを知らず清楚ながら奥深いところには女性らしさ的な要素がある女、というのが、最も理想的なのだが。君はそこからかなりかけ離れた女といえるだろう。それゆえ君の印象は良くないし、君といてにっこりできる時というのもほとんどないに等しい」


 ――と、そんな感じで、彼の話は一時間以上続いたのだった。


「なので君とは終わりとする。さようなら。永遠に、お別れだ」


 こんな形での関係の終わりとなるなんてなぁ、と思いつつも、何も言い返すことはしなかった。


 だって無駄だろう。

 ここで何を言い返したって。



 ◆



 あの後私はちょっとしたことがきっかけとなって王子ルリフと知り合い、彼に愛されるようになり、婚約するに至った。


 もう婚約なんてしたくない。

 だって悲しい未来が待っているだけだから。


 そんな風に思っていたのだけれど、ルリフの優しさに触れているうちに心は変わって、最終的には彼と共に歩み出すことを選んだのであった。


 ちなみに元婚約者のマドリッツォーダンはというと、私とルリフの婚約を知るや否や王城へ忍び込みルリフを殺そうとした。彼が寝ているところに突入しようとしたのだ。


 だが当然失敗に終わる。


 警備に捕まった彼は、死刑になり、魔法で打ち上げるタイプのミサイルに括りつけられて宇宙へと飛ばされた。


 彼の人生はそこで終わったのだった。


 マドリッツォーダンとはもう二度と会うことはないだろう。だがその方が良いというのが正直な思いだ。かつて理不尽に切り捨ててきた人となんてできれば二度と会いたくないもの、ゆえに、こういう結末となったこともそんなに悪いことではないと思うのだ。


 なんせもう二度と彼と顔を合わせなくて済むのだから、そんなに嬉しいことはない。


 その後私は予定通りルリフと結婚。

 親族や関係者や多くの民に祝福してもらいながら彼と正式に結ばれた。



◆終わり◆

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