雨上がり、婚約者がいきなり私の家にやって来まして……?
その日、婚約者ルルドルットが私の家に突然やって来た。
「いきなり悪いな」
「いえ……」
「お前との婚約だが、破棄とすることにしたんだ」
雨上がりの玄関先。
空は青く澄んでいる。
「婚約破棄、ですか?」
「そうなんだ」
「……なぜです?」
問えば、彼は。
「お前より条件の良い女性を見つけ、その人と結婚できそうな感じだからだ」
何の躊躇いもなく真っ直ぐに本当のことを答えた。
なんて素直な人だろう……。
でもそれは良いところではない……。
「ではな、さよなら」
こうして私は一方的に捨てられたのだった。
◆
あれから五年ほどが経った。
時の経過というのは本当に早いものだ。
私はルルドルットとは離れることとなってしまったが不幸にはならなかった――あの後とある良家の子息に惚れられ追い掛け回されたがそのうちに段々こちらも彼のことが好きになっていって、そうして私たちは結婚するに至った。
おかげで今は幸せだ。
ちなみにルルドルットはというと。
ある雨の日に階段で足を滑らせてかなりの高さから転落し死亡したそうだ。
◆終わり◆




