あれは三年前の出来事、婚約者がある日突然婚約の破棄を告げてきたのです。
あれは三年前の出来事だ。
当時婚約していた二つ年上の青年リフォードがある日突然告げてきたのだ――婚約破棄を。
だがそれを告げられた翌日に彼は亡くなった。
我が家の守護神とされている神に天罰を下されたのだ。
その日の朝、いつも通り散歩に出掛けたリフォードは、ヤマに近い道で急に体調を崩し倒れ込んだ。意識は辛うじてあったようだが。歩くことはできず、声が出ないので助けを求めることもできず、そのうちに魔獣に襲われて。結果、魔獣の餌となってしまった。
そうしてリフォードはこの世を去ったのだった。
その話を聞いた時には。
ざまぁ、と言う前に、天罰怖い、という言葉が脳内に湧いてきたほどであった。
それほどに呆気ない最期だったのだ。
彼には幸せな未来はなかった。
――その後私は近隣の国の王子に見初められて結婚した。
で、今は、王子の妻で未来の王妃。
人生とは分からないものだと思う。
何が起こるかなんてその時その瞬間まで目にすることはできないものだ。
でもこの道を歩む今を後悔はしていない。
責任は重大で。
時に押し潰されそうに感じることもあるけれど。
だが、愛してくれる人と共に在れることはとても嬉しいことなので、この席に座ることへの不満はない。
私はこれからも永く愛する人と共に生きてゆく。
◆終わり◆




