婚約破棄の理由を尋ねるととてつもない勢いで激怒されてしまいました……何ですかそれ、面倒臭すぎます。
婚約者サドールはある日突然告げてくる。
「君との婚約だが、破棄とすることとした」
関係の終わりを告げる言葉。
それはあまりにも無情だ。
まるで頭と胴を切り離すかのような、そんな宣言。
「え……あの、どうしてですか?」
「君を好きにはなれないからだ」
「それが理由なのですか? それが理由なら、なぜ今さら……」
問おうとすると。
「うるさい!」
彼は急に怒り出した。
「うるさいっ、黙れ、うるさいうるさいうるさいうるさいっ! 女ごときがあれこれ言うな! 女はな! 黙って、言いなりになっていればいいんだ! そうだろう! なぁっ! うるさいんだよ理由とか聞きやがって! いちいちいちいちいちいちいちいち、ふざけんなくそ女がっ! 舐めんなよ! うるさいうるさいうるさいっ! うっるさっいうっるさっいうっるさいっうっうっるっるっささささいっ! 黙って言うこと聞けよ!」
凄まじい勢いで言葉を発されて。
「君なんて大嫌いだ! うせろ!」
一方的に切り捨てられる。
それがサドールとの別れとなった。
◆
私はあの後大富豪の家系の男性と結婚でき、裕福に、幸せに生きられることとなった。
ちなみにサドールはというと。
あれから数日が経ったある日の晩、自宅でゴロゴロしていたところ賊に押し入られ、刃物で斬られて死亡したそうだ。
……つまり、彼はもう、とうにこの世にいないのだ。
◆終わり◆




