「ずっと一緒に笑い合っていような!」そう言ってくれた彼を信じていたのですが……?
「ずっと一緒に笑い合っていような!」
「ええ、そうね。私たちならずっと仲良しでいられるわ。きっと。そう信じてる」
私レイラと幼馴染みの彼ロージンは婚約した。
それは親からの影響もあった。
お互いの両親が私たち二人をくっつけようとしていたのだ。
でも、嫌々婚約したわけではない。
仲良しだったから。共に歩めると信じていた。私はそう思っていたし、彼も同意していた。私たちは幼馴染み、だからこそ互いのことをよく知っている。ゆえに良い未来は確約されている――はずだったのだ。
だが。
「ロージン……これは一体何なの?」
ある日、私は、ばったり遭遇してしまった。
――彼が知らない女性と二人でいちゃつきつつ一緒にいるところに。
「なっ……レイラ、どうしてここに」
私の顔を見てロージンは青ざめる。
彼の隣の女性は戸惑ったような顔をしていた。
「どうして、って、聞きたいのは私よ。貴方一体何してるの? 婚約者がいる身で女性と街を歩いているなんて」
なるべく冷静に対応するよう心がけるが。
「ち、違うんだ!」
「何?」
「誤解だよ! これは浮気じゃない!」
それでも苛立ってしまう部分はあって。
「私まだ浮気だなんて言っていないけれど?」
「あっ……」
けれども極力怒っているところを見せないようには努力した。
「まぁいいわ。いずれにせよ、私たちもう無理ね。終わりにしましょう」
――こうして私たちの関係は終わった。
◆
あの後ロージンと女性は慰謝料支払いの件で揉めることとなり、あっという間に破局したそうだ。
二人の関係は非常に浅いものだったようだ。
女性はその後すぐ別の男性のもとへ行ったらしい。
一方でロージンは私のこともその女性のことも忘れられず、一人ぼっちになったことで心を病み、体調を崩していったそう。
ロージンは今、一日中寝込んでいるような状態だそうだ。
……でも可哀想だとは思わない。
だって、すべての原因は彼にあるのだから。
彼が浮気しなければこんなことにはならなかった。今も一緒にいただろうし、きっと明日も明後日も共に歩めていたはずだ。
その未来を壊したのは外の誰でもない彼自身。
だから彼は孤独に苦しむこととなっても自業自得なのである。
ちなみに私はというと、先日、ちょうど良き縁談が舞い込んできたところだ。
私はもう過去には縛られない。
起こったことは変えられないが未来はどうにでも変えられるのだ。
だから前向きに生きてゆく。
◆終わり◆




