君に飽きたから、なんていう、明らかに身勝手で子どもじみた理由で婚約破棄されました。
婚約者から婚約の破棄を告げられてしまった。
しかもその理由が驚くべきもので。
君に飽きたから、なんていう、明らかに身勝手で子どもじみたものであった。
おかしいだろう。
そんなことで婚約を破棄するなんて。
どう考えてもおかしなことだ、あまりにも自分勝手過ぎる。
だが抵抗してもなお言葉は彼の耳には届かず、結局そのまま話は無理矢理終わらされてしまった――もはや私にできることなどなかった。
聞きたいこと、言いたいこと、たくさんあったけれど。
でも私は黙って彼の前から去るしかなかった。
◆
――あれから数年。
私は父から言われて参加した晩餐会で知り合った青年と結婚した。
彼との出会いは運命的なものだった。
私たちは一瞬にして惹かれ合い、結ばれた。
今はとても幸せに暮らしている。
ちなみに元婚約者の彼はというと、今はもうこの世にはいないそうだ。
聞いた噂によれば。
あの後リンゴを食べると気分が悪くなる病気にかかったそうで、友人から貰ったアップルパイをうっかり食べてしまったために体調不良になり気を失ってそのまま落命するに至ったそうである。
心なしか理不尽な最期ではある気もするが、可哀想だとは思わない。
◆終わり◆




