猫人族の姫は人間の王子に裏切られ婚約破棄されましたが……。
猫人族の姫であるローリエは人間の王子アッサムと婚約した。
それは二つの種族の関係を良好に保ってゆくための婚約であった。
つまり、お互いに代表を出し合ったのである。
二人が幸せに生きてゆくこと、それが、猫人族と人間が共に存在してゆくことの象徴となる……はずだったのだ。
だがアッサムはローリエを裏切った。
元々知り合いだった侍女メリアといちゃつき、深い関係となり、そうしてやがてそれがローリエにばれると逆ギレしたのだ。
「猫人族の女なんか愛するわけないだろ! 仕方なく婚約してやってんだよ! 国のために、な!」
アッサムは迷いなくメリアを選んだ。
「お前なんかとの婚約、破棄してやるッ!!」
……だがそれがローリエの父親の怒りを爆発させることとなってしまう。
猫人族は人間を許さない。
種族が異なるというだけで見下され馬鹿にされたのだからある意味当然なのだが。
ローリエの父親は軍を率いて人間の国へ侵攻。
そうして戦いが始まる。
それはどちらかの種族が滅びるまで終わることのない血に塗られた戦いとなってゆくのだった。
……そして、人間は敗北した。
アッサムは多くの猫人族の前で痛めつけられ、その果てに処刑された。
彼の親も同じだ。
捕らえられてからしばらく暴力の的となり、その後死刑となった。
そしてメリアはというと、落書きされた身体を柱にくくりつけられて晒された。
「あれなんだ、おもしれー」
「きゃははっ」
「何か変なこと書かれてるわねぇ」
「うけたわ」
「だっせ」
「愚かな人間ならではね。ざまぁ。馬鹿だから似合ってるわ」
ローリエは猫人族の国へ戻った。
それから時は流れ、ローリエは蛇人族の王子と結婚。
彼女はそこで幸せに暮らしたそうだ。
◆終わり◆




