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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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婚約者を能無し呼ばわりするなんて酷い人ですね。〜そんな貴方には幸せは訪れないでしょう〜

「お前みたいな能無し、俺には相応しくない! よって、婚約は破棄とするッ!!」


 婚約者ザルツは鬼のような形相である日突然そんな宣言をしてきた。


 それにより、私たち二人の関係は終わりを迎えることとなる。


 あまりにも突然の終わり。

 そしてあまりにも呆気ない二人の関係の最期であった。


 深く愛し合っているわけではないにしても、それなりに関係を築いてきていたのに。婚約者同士としてそこそこな時間を過ごしてきたのに。


 ……でもそんなものは完全に無意味なものだったのかもしれない。


 これまで共に歩んできた道のりなんて、何の意味も持たないものだった。


 あまりにもあっさりと。

 二人の関係は崩れ去ったのだった。



 ◆



 能無し。

 ザルツは私のことをそう言ったけれど。


 でもそれは間違いだ。


 そう証明したくて、私は、婚約破棄されて間もなく軍隊に入った。


 辛いこともあったけれど。

 でもやる気と能力を証明したい一心で突き進み続けた。


 そこで厳しいトレーニングを乗り越え、やがて、女性隊員として初となる一定の価値のある階級持ちになる。


 女性隊員が価値のある階級を持つことなどあり得ないことだと誰もが言っていたけれど、私はその常識を努力と忍耐によって覆したのだ。


 ……もう誰も私を能無しだとは言えない。


「いやぁ、まさか、女性で出世する人が出るとはなぁ。ほんとすごいよ。努力の人だなぁ」

「尊敬、だな!」

「いやもうほんと神だわ、偉大すぎ」

「これからも応援してるぜ! どこまでものぼっていってくれよな!」


 仲間たちはいつも温かかった。



 ◆



 あれから十年。

 私は中堅幹部にまで出世した。


 一般人で中堅幹部の地位を得る、そういった事例は稀である。

 だからこそ、いつも、皆から尊敬の言葉をかけてもらっている。


 でも慢心しては駄目だ。


 チヤホヤされたからといって勘違いしてはならない。いつまでも謙虚であらなくては。地位を、権力を、手にすれば手にするほどに誠実かつ謙虚な自分を磨かなくてはならない。


 ああそうだ、そういえば、だが。


 ザルツはお股緩め女子と一夜にして深い仲になり、その後すぐに婚約したそうだが、婚約期間中に何度も浮気されてしまい心を病んだそうだ。


 で、ある晩、衝撃的に死を選んだのだとか。


 どうやら彼は幸せにはなれなかったようである。


 彼は婚約者に異性関係の面で好き放題されることに耐えられなかった。

 それは理解はできる。

 人として、そういうことをされるのは不愉快なものだから。


 でも、彼は、私を傷つけた人物だ。


 だからある意味自業自得。


 ざまぁ、でしかない。


 彼が善良な行いと共に生きてきた人なのなら、災難だったなぁ、とか、気の毒だなぁ、とか思っただろうけど。


 ザルツにおいてはそうではないから。


 だからもう、本当に、自業自得だ。



◆終わり◆

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