魔力に目をつけられ婚約を希望されたので受け入れたのですが、その王子は驚きの女好きでした。
「君の魔力は偉大だ! だからこそ頼みたい。王子である俺と婚約してくれ!」
あれは夏の日だった。
王子ロマンツからそんなことを言われ、私はそれを受け入れた。
幸せになれると思っていた、でも――。
「今日はニーナ、明日はリリシア、明後日は休日だから午前はフィリーアとロリアで午後はクレストネリサ、その次の日はリリシア、その次がネネだな」
「そ、そんなに、女性を……?」
「ああ。遊び相手の女だ。ま、全員本命じゃあないよ」
彼は驚くくらい女好きで、毎晩のように女性を自室へ連れ込んでいた。
……それも、非常にラフな感じで。
「今一番はまってるのはリリシアだな。けどニーナも捨てがたい。あとはフィリーアとロリアか、双子ってのも悪くはないな特別感がなかなか刺激的で。ちなみに久々に呼びたいのはネリアリスとかフィモーレとかだな、あ、それとローゼリアンもか」
そんなロマンツだが、ある時どこからか治ることはないとされている病気を貰ってしまい、衰弱してそのまま死に至った。
そしてそれにより彼との婚約は自動的に破棄となった。
何だろう、この感じ……。
大嫌いだったわけではなく、しかし好きだったかと問われれば頷くこともできず、この胸に残されたのは複雑さをはらんだ何とも言えなさみたいなものだけ。
そんな感じで王子のもとから離れることとなった私は、生まれつき持っていた魔力を活かして、人々を救うためにボランティア活動を始めた。
ありがとう。
その言葉を貰う時、私はとても幸せな気分になれる。
◆終わり◆




