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翔太視点
最終話。短いので四話連続投稿しています。→ 『その18、明るい未来に向かいましょう』から
珍しく真面目な顔をしたセリに、読んでみてと手渡された本。
最近のセリの本にしては薄く、手作りっぽく紐で綴られた紙束の一番上には、セリらしい右上がりの可愛い字でこう書かれていた。
『異世界トリップの心得』
これなに? って聞いたら、セリはちょっと考えるように首を傾げた後、ちらりと、多分あいつのいる向こうの部屋を見て、ちょっとイラっとする。
唇を尖らせて名前を呼ぶと、セリは慌てて「ごめん」と顔を僕の方へと戻す。
そして、秘密事を打ち明けるように小さな声で囁いた。
「……幸せになる為の心得ってとこかな」
僕の大好きな幸せそうな笑顔で。
おしまい
最後までお付き合いありがとうございました!




