181.それぞれの発明品
会場のざわめきが徐々に高まる中、ユーベルさんを筆頭とした審査員たちがステージに上がり、発明大会の本番が始まった。
俺たちの順番はまだ先なので他のチームの発明品を観察させてもらおうと思う。
「それでは、参加者の皆様、ご自分の発明品の発表をお願いいたします!」
最初にステージに上がったのは、白髪の老魔導師とその弟子たちだった。どこかの商会のお抱えの魔導士なのだろう。
「これは、魔力を利用した自動掃除機です。家事の負担を減らすために作られました。」
「定期的に魔力を込める必要はありますが、留守でも掃除をしてくれますよ!!」
ホウキ型の装置が床の上をすいすいと動き、観客からは感嘆の声が上がる。
「なるほど……ホウキタイプのゴーレムか……簡単な命令ならば聞いてくれるからな」
「へぇ、便利じゃない」
「じゃが、段差への対応や物を識別する能力はなさそうじゃな……もっと改善点はありそうじゃ」
「私の方が有能ですよ、マスター」
俺が感心した声をあげるとそれぞれが反応を返してくる。ヴィグナはよくわからないけど同意してくれてボーマンはダメ出しだ。
そして、ガラテアはなにやら対抗心を燃やしているようだ。
次に登場したのは、若い魔導士と職人のグループだ。彼らはどこかの所属ではなく、同年代で手を取って活動しているらしい。
「こちらは、音声で操作できる魔法ランプです。『明るくして』と声をかけるだけで、明るさが変わります。」
ステージ上でランプが明るくなったり暗くなったりするたび、会場は拍手に包まれた。
「あれは……ゴーレムじゃないのか。声で操作か……何かに応用できそうだな。あとでちょっと詳しい話を聞いてみよう」
会場は発明家たちの熱気でむんむんとしていた。ステージの上では、次々と奇抜な発明品が披露されていく。
そのたびに観客からは「おお~!」「すごい!」と感嘆の声が上がり、会場の空気はどんどん熱を帯びていった。
そんなかで観客たちがひときわ大きな声を三人組の中年チームだ。見覚えのある紋章の旗をかがげているのでどこかの国の貴族の使いなのだろう。彼らが布を外すと、そこには丸っこい顔のゴーレムが現れた。
「私たちの発明は、万能家事ゴーレムです!」
「家事全般を自動でこなしてくれる、家族の新たな一員です! 本来のゴーレムは細かい作業は苦手ですが、とある貴族令嬢のアドバイスにより改善された一品です!!」
ゴーレムは優しい表情で、掃除・洗濯・料理の下ごしらえを器用にこなしていく。
観客席からは「すごい!」「うちにも欲しい!」と声が上がり、主婦層や年配の方々からは特に大きな拍手が湧き上がった。
「ねえ、これの貴族令嬢って……ノアのことじゃないかしら?」
「あいつ何やってんの?」
「じゃが、確かに便利そうじゃ。うちにも一台欲しいのう」
「マスターには私がいるから不要ですよ」
グレイスは苦笑いしながら、隣のガラテアを見ると、何やら対抗心を燃やしているようだ。
発明品の発表が続く中、グレイスはふと、ステージの隅で黒いカバーに包まれた発明品を目にする。
「……あれは、何だ?」
「なんか嫌な予感がするわ。グレイス」
ヴィグナが眉をひそめる。その時、一人の青年がステージに上がり、カバーを外した。
「こちらは、我々が開発した『超遠距離精密射撃装置』です。これを使えば、遠く離れた標的も正確に狙い撃つことができます。」
カバーが外されると、そこには長い鉄の筒と、精巧な引き金が付いた奇妙な装置があった。
グレイス俺はその姿を見て、一瞬で凍り付く。
「……まさか、あれは……」
「わしらのつくったものじゃな。しかも、かなり高品質じゃ」
と声を詰まらせる。
その瞬間、発表者が実演を始める。
「それでは、実際に発射してみます!」
バン!
鋭い銃声が会場に響き渡り、観客は一瞬静まり返る。
ステージの端に立てられた的は、見事に中心を撃ち抜かれていた。
俺は拳を握りしめ、ステージ上の発表者を見つめる。
「あいつがセグルか……銃だけでなくライフルまで……だが、設計図は誰にも渡していないはずなのに……」
「グレイス、落ち着くんじゃ。今は発明大会だ。しっかりと自分の発表をやり遂げようぞ」
ボーマンがと肩を叩いて落ち着くように訴えてくる。彼だって共同開発したものがぱくられてれいせいではないはずなのに……
「……ああ、わかってる。でも、あれが本当に俺の設計図から作られたものなら……
絶対に、自分の手で証明してやる。」
会場は再び賑やかになり、次の発表が始まる。
そして、俺たちは、自分たちの番が来るまで、静かに機体の最終確認を続けた。
新作を投稿しました。
すれ違いのファンタジーラブコメです。
よろしくお願いいたします。
『最近雇ったデレデレな奴隷がどう見ても俺を追放した義妹なんだがどうすればいい?』
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