176.新たな遺物
「これは何だ?」
俺は目の前に置かれた奇妙な物体たちの中でもひときわ目を引かれた模型を見つめる。木と金属で作られたその物体は、鳥のような翼を持ちながらも、明らかに生き物ではなかった。
「飛行機というものの模型でして、ソウズィの国では、人間がこれに乗って空を飛ぶそうです」
エミリオの言葉に俺は比喩ではなく目を丸くした。
「嘘だろ!? ドラゴンでもなく、魔法でもなく、人間がこんな物体に乗って空を飛ぶっていうのか!? いや、ありえるのか!!」
銃という武器や蒸気自動車という馬のいらない馬車などがあるのだ。空を止める乗り物があってもおかしくはないだろう。
だが……見てもどういう構造なのかさっぱりわからないな……
「悪い……触ってみていいか?」
「はい、なんなら飛ばしてみますか? 実物をつくることはできませんでしたが魔法などで電気をためて飛ばせる貴族用のおもちゃとして発明されたんです」
「ほう……なるほどな……」
人を乗せることができるくらいの金属の塊なんぞどれくらいの電気が必要かはわからないが、このサイズのおもちゃならばなんとかなるだろうしな。
俺は目を輝かせながら模型に手を伸ばしスキルを使う。
『飛行機 空気よりも重い航空機で、固定された翼と前進推進力を利用して空中を飛行する乗り物です。主にエンジンの力で推進し、翼に生じる揚力によって空中に浮かび上がります』
『また、一定の異界の知識を入手したので異界理解度のランクが上がります』
「ソウズィの遺物じゃないのにランクがあがった? まさか……異世界の発明品ならば俺のランクは上がるのか?」
エンジンというやつは蒸気自動車にも使われていたはずなのでどういうものかはわかる。
だが、この飛行機とやらがどう飛んでいるか原理はわからない。だが……もう少しで何かが閃きそうな感覚に覚えた俺は興奮気味にエミリオにお願いする。
「すまない……ソウズィの知識をヒントに作ったものをもっと持ってきてくれないか?」
「はい、構いませんが……これはすでにうちで作られたものですよ。似たものを発表しても効果は薄いと思いますが……」
「いいから、頼む」
リバーシ―という遊具や、マトリョーシカという中から次々と同じ形の人形が出てくる不思議な玩具を手にして、俺はどんどん異世界理解度が上がっているのに満足そうに頷く。
いや、それだけじゃない。俺は未知の発明品を見ることができたのが本当に嬉しいのだ。だって、そうだろう? ソウズィの世界のアイテムは武器や乗り物だけ鳴く、おもちゃだけでも想像もしなかった発想で俺の気持ちを熱くしてくれるのだ。もっと……異世界のことを知りたいと思わせてくれる。
「だが、随分と偏りがあるな……」
というか、おもちゃとかばかりなんだよな……これだけの人員がいるのだ。もっと、色々なものも作れそうなものなのだが……
それこそ、銃ではないにしろ、特殊な武器とか……そう、思った時だった。人払いをしていたはずの扉が乱暴に開かれる。
「何やっているの、エミリオ。いくら気になっている女性だからといって部外者をいれたらダメじゃないの」
その声を聞いて冷や汗が流れていくのがわかる。ガラテア(人)だ。一瞬エミリオを睨みつけるも彼もそうていしていなかったようで顔を真っ青にしている。
場をごまかすためにも挨拶をしておくしかないだろう。
「申し訳ありません。私がわがままを言ったのです」
「ふぅん……それで、あたなは何者なのかしら?」
「初めまして、私はノアといいま……!!」
そこまで言いかけたところで、ガラテア(人)が鼻と鼻がくっつきそうなくらい顔を合わせてきたのだ。
「一体なんでしょうか?」
「すぐに追い出そうと思ったけど気が変わったわ。一緒にお話をしましょう。もちろん、拒否権はないわよ」
にやりと笑うガラテア(人)に……これは俺の正体がバレているなとさっしざるおえなかった。
すいません、とてもバタバタしていて更新できませんでした……




