172.特許
エミリオとはわかれガラテア(人)についていくが……くっそきまずいんだけど!!
「あなたが私の先祖の発明品なのね。すごい……ゴーレムに似ているけれどロボットっていうんでしょう?」
「……はい」
ガラテアとガラテア(人)の間には会話こそあるものの一方通行である。だけど、ガラテア(人)は塩対応にも気にせずに延々と話しかけている。
メンタル強すぎないだろうか?
そして、俺たちの足はとある商会の前でとまる。その中庭には俺が乗ってきた蒸気自動車のようなものが作られているのがみえる。とはいってもあくまでフレームだけで、中身はまだないようだ。
「ここの商会はね、私たち商業連合には入らないでいろいろなものを売っているの。発明家のセグルって知ってるかしら?」
「……たしか銃を作ったやつだな」
昼間のエミリオとの会話を思い出す。どこからか手に入れたであろうアスガルドの銃の粗悪な模造品を作っていた男である。
正直あまり良い気持ちをしなかったので覚えている。
「ええ……ここの商会はセグルをやとって色々なものを作らせているの。中には危険なものもあるわ」
「だけど、ユーベルさんはそういうものを好まないだろ? どうせ優勝はできないはず……いや、そういうことか!!」
「ええ、そうよ。別に優勝しなくてもいいのよ。こういうものを作りましたって発表するだけでいいの。そうすれば勝手にほしいやつらが喰いつくわ」
ガラテア(人)の言いたいことはわかった。ようはあいつらは話題性の大きいこのコンテストで売れそうなものを片っ端から作り、興味を持つ人間に営業したいだけなのだろう。それこそ何かの真似でもいいのだ。
銃なんて武器は戦いでは役に立つからな。さすがに冒険者が手にするには手入れが面倒だが、犯罪者が追い詰められた時の切り札にはちょうどいい。
「私は発明品というのは発明した人間の権利が守られるべきものだと思っているの。だから、今回の勝負で勝ったら私はユーベル様に特許という制度を申し出るつもりよ。そして、商業連合の名のもとに管理する。それに逆らえばろくな商売ができないようになってその商会は破滅するでしょう?」
にこりと笑うガラテア(人)。なるほど……確かにそういう風に何らかの形で管理すれば模造品が作られるのは防げるかもしれない。
世界図書館で検索すると早速『特許』という言葉はヒットした。だが、問題がある。
「マスター……」
「わかってるよ。ガラテア」
心配そうにこちらを見つめているガラテアに笑顔で答える。
「なるほど……その特許とやらはお前らがソウズィから受け継いだ知識だな。確かにその制度は優秀だと思うよ。だけど、それをお前らが管理するというのが気に食わない。だって、お前らがその気になれば俺の発明品もお前らが特許をとって自分のものにすることができるってことだろ?」
「まさか……そんなことはしないわよ。そんなことをすればあなただけじゃない。他の人々も特許に警戒心を抱くでしょう?」
ガラテア(人)は首を横に振るがそれがどこまで本当かはわからない。俺たちの知らないところで手をまわし、権利を得ようとしている可能性だってあるのだ。
だけど……特許という制度はもっと調べれば色々とやれそうなことがある。発明の権利という発想はなかった自分が恥ずかしくなるぜ。
彼女に別れを告げた俺はガラテアに宣言する。
「おおかた俺たちに勝ってソウズィの炉を手に入れたら、こちらの発明品をどんどん作って特許を得るつもりなんだろう。そんなことはさせないさ」
「はい、マスターならば必ずやあんな人には負けないと思います」
そうとなればさっさと発明品をつくらねば……どんなものをつくろうとしよう




