105.再会
パーティー会場にやってきた俺はヴィグナと腕を組んでエスコートしつつまずはエドワードさんの元へと向かう。
「エドワードさん招待していただきありがとうございます」
「おお、グレイス様、ヴィグナ様、お二人とも今日はありがとうございます」
満面の笑みで俺たちを出迎えてくれるエドワードさんとその横でこっそりとこちらに手を振るクリスが目に入る。
彼女のことだ。これを機にアスガルドの商品を色々な商人に宣伝してくれているのだろう。
「グレイス様のおかげで我が商会もますます発展していっています。感謝していますよ」
「いえいえ、こちらの方こそ、エドワードさんのおかげで色々と儲けさせてもらっていますから」
社交辞令的な会話をして場を暖めているとクリスが割り込んできた。
「申し訳ありません、グレイス様。ヴィグナさんをお借りしてもいいでしょうか?」
「ん? 構わないが……凶暴だから手をかまれないように気をつけろよ」
「人を魔物みたいに……あとで覚えておきなさいよ」
軽口を叩くと睨みつけてくるヴィグナに足をふまれてしまった。ドレスなのに機敏すぎるだろ……
「別に構わないけど一体どうしたのよ?」
「ああ、貴族令嬢の方々に縁結びの宝石を売ろうと思うんですが、実際にご利益のあった人の話を聞きたいなって思って……」
「縁結びって……」
「あれよね……」
クレスから買ったアクセサリーを渡したときのことを思いだしてつい恥ずかしくなってしまい、ヴィグナを見つめると顔が真っ赤になっている。
多分俺も同様なのだろう。
「どうせ、難しい話はわからないし、行ってくるわね」
「お前絶対に変なことをいうなよ!!」
「うふふ、せっかくです。お二人のラブラブ生活を聞かせていただきましょう」
顔を真っ赤にしたヴィグナがにやにやとしているクリスに連れられて行くのを見て嫌な予感がするが止めるわけにもいかない。
アスガルドの領主はバニーガール好きとか噂が広まったらいやだな……
「ふふ、相変わらずお二人は仲が良いようでなによりですな。それでですね……グレイス様にお伝えしたいことがありまして……」
エドワードさんはあたりを見回すと他の人間に聞こえないように耳打ちする。
「それがですね。商業連合の代表がこのパーティーに来ています。何らかのアクションを仕掛けてくる可能性が高いので警戒してください」
「まじか……」
エミリオのやつ下っ端が来るとかいってたじゃねえかよ……全然話がちがうんだけど……
「わかった。とりあえず変な話にはのらないようにしておくよ」
「ええ、グレイス様ならば大丈夫だとは思いますが、彼女も百戦錬磨です。警戒しておいてください」
忠告をしてくれたエドワードさんにお礼を言って挨拶を終える。主催である彼と話したい人は俺以外にもまだまだいるだろうからな。
さて、ヴィグナはクリスに捕まっているし、どう暇をつぶすか……と考えていると声をかけられる。
「あら、さっきの人じゃないの。お礼にお酒を注いであげるわ。本当は高いのよ?」
「ん……? ああ、さっきの……。てか、ここの酒は無料だろ?」
先ほど絡まれていた女商人である。すでに何杯か飲んでいるのか顔は若干赤くそれが妖艶な雰囲気を醸し出している。
「私みたいな美女についでもらうのよ。タダでは滅多にこんなことをしないんだからね」
すぐに金につなげるから商人はこわいなぁと思いつつも特に断る理由もないので言葉に甘えることにする。
並々と注がれるワインを見ながら目の前の女性の意図を考える。わざわざ声をかけてくるってことはアスガルドとの商談だろうか? まあ、ならばエドワードさんを通してくれと断るだけだ。
こちらはこちらで商人の生の情報を持っておくのは損ではないだろう。
「自己紹介がまだだったわね。私の名前はガラテアよ」
「は?」
「ん? そんなに変わった名前かしら?」
いや……ガラテアってそんな偶然があるだろうか? まさかこいつは……
「姉さん、何をやって……グレイス様!?」
「へぇー彼がグレイスだったのね」
驚きの声をあげてやってくるエミリオにガラテアはにやりと俺をみつめてわらうのだった




