101.ガラテアの悩み
「あなたは一体何を考えているのですか!!」
領主の屋敷で珍しくガラテアの焦った声をひびく。俺があわてて声のした客室へと向かうとそこには怒っているガラテアといつものようにニコニコと笑っているノアがおり、なぜかベッドには出て行ったはずのエミリオが横になっていた。
「これは一体……」
様子のおかしかったガラテアの様子をノアにみてもらったのだがいったい何があったのだろうか?
「私がこの方と会話していたところなぜかだか知らないのですが、ノア様がゴーレムの力で大きな石を投げてきたのです。とっさに止めたのですが、ショックで気絶してしまったようで……」
「マジでなにやってんの? 国際問題になるだろ」
説明されてもなおよくわからない状況に俺はツッコミをいれつつノアに問いかけると彼女はゆっくりと首を横にふった。
「国際問題になんてなりませんよ、これはただの家族の問題です」
「家族の問題ですか……? 確かにお父様の血は引いていますがエミリオさんは部外者だと思いますが……」
「そんなことないですよ、ソウズィの血を引いている……っていうことよりもガラテアさんが家族として意識していますからね。だって、本当に関係ない相手だったらいつものように笑顔で接客できるはずでしょう」
「それは……」
絶句するガラテアに俺は何と答えていいかわからなくなる。もちろんわかっていたよ。ガラテアがソウズィの血筋の人間を意識しまくっているということは正直勘付いていた。だから、俺はエミリオとはあわせないようにしていたのだから……
「で、ですが……私は彼らに良い感情を抱いてはいません。これ以上いっしょにいたらもっとひどいことを言ってしまうかもしれません。相手は商業連合ですよ。そうすればマスターに迷惑がかかってしまうかもしれないんです」
つらそうな表情のガラテアに俺はきづく。彼女があくまで耐えていたのは俺の為だったのか。
だけど、それで彼女にこんな顔をさせるのは違うと思う。
「いいんだよ。俺はさ、アスガルドに来てからずーーっとガラテアに助けられっぱなしだったんだ。だからさ、少しくらいはわがままを言ってもいいし、嫌いなやつは嫌いっていってくれていいんだ。それくらいのフォローをできるだけの力が今のアスガルドにはあるからさ」
「マスター……」
「ああ……うらやましい」
ガラテアの頭を優しくなでると彼女は嬉しそうに体を預けてきた。彼女への言葉は嘘ではない。
エミリオと話した限り俺たちアスガルドが商業連合と組むメリットはそこまでないように思える。それに……ガラテアの笑顔が曇ったままアスガルドが強くなるのを俺たちは望んでいない。
万が一組むにしても彼女には文句を言う権利はあるだろう。だって、こいつらは彼女やアスガルドを見捨てたのはやつらなのだから……
一瞬俺を追放した父と兄の顔が思い浮かんで不快な感情に襲われる。
「私は……正直彼らを信用できません。だって、彼らは自分の故郷を見捨てたんですよ!! この世界の商人に取り入るにしてももっとやり方はあったはずです。アスガルドでできたことだってあったはずなんです。なのにめぼしいものだけをとって彼らはお父様の全てがつまっていたこのアスガルドを見捨てたんです。そんな彼らを信用できません!! 私は……彼らと組まないでほしいです!!」
ガラテアの声をが響きわずかだがエミリオの体が動いた気がした。
また、新連載を始めました。
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『せっかく悪役領主に転生したので、ハーレム作って好き勝手生きることにした~なのに、なぜかシナリオぶっ壊してたらしく、主人公よりもヒロインたちに慕われ世界を救っていたんだが……』
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