92.
「ようやく帰ってきたな……」
「なんだかんだ長かったわね……でも、鉱山アリとの戦いで、魔法銃剣ももっと改良すべきところも見つかったわ。さっそくボーマンに報告しないと」
「うふふ、今回の遠征は大変でしたね、ですがたくさん得るものはあったと思います」
そうして、ドゥエルを救った俺たちは久々にアスガルドにきていた。蒸気自動車の窓からは巨大なグレイス像が見えてきた。
ドウェルの後処理に関してはヴァーミリオンの王都にて、話し合うらしくまたクソおやじやクソ兄貴と会うことになりそうですこし憂鬱だが、アルヴィスもくるそうなので一方的にはならないと思う。
「あー、グレイス様!! おかえりなさい。例のものは無事に運べたようで何よりです」
「おお、ノアか……って、なんかゴーレム部隊増えてない?」
「えへへへ、皆さんちょっとですが、ゴーレムを使えるようになってきたんです。この訓練用のゴーレム可愛くないですか?」
何人かの素質ある人間にゴーレムの操作を教えていたノアだったが、訓練は順調に進んでいるようで、今は犬型のゴーレムを操作させているようだ。聞いた話によると二本足よりも四本足の方が動かしやすいらしい。
確かにペットみたいで可愛らしいな。
「これって、ペット型ゴーレムとして売ったらよい商売にならないかな?」
「さすがですね、マスター。ア〇ボみたいで、素敵です」
「やっぱり異世界にもあんのかよ。まじでなんでもあるな……」
そんな会話をしつつノアに別れを告げて領主の館へと向かうと、そこはいつものようにきれいに掃除されている屋敷へと入るとガラテアが満足そうに微笑んだ。
「うふふ、ノエルは私が休んでいる時もしっかりと頑張っているようですね。あとで、ご褒美をあげましょう。では、私は久々に本職に戻りますね」
「そうね、じゃあ、私は……グレイスについていこうかしら? ちゃんとお土産も持ってきたしね」
「ああ、そうだな」
気を遣ってくれたのか、ガラテアが席を外す中俺とヴィグナはボーマンのいるであろう工房へと向かう。
「なんか変な気分ね……」
「まあ、ドウェルは救えたし問題はないんだけどな。あとは預かっている手紙を渡して現状報告をするだけだ」
そういう風に自分に言い聞かせる。だってさ、自分の身を犠牲にして守ろうとしていた国が実は散々搾取されて、崩壊寸前だったって現状を説明するのはまあ、ちょっと勇気がいる。
「そうね……私たちはあいつの故郷を救ったんですもの。堂々としましょ」
横にいるヴィグナが勇気づけるような言葉を言ってくれた。そして、俺たちが工房をあけるとむわーっとるコールの香りが漂ってきた。
「酒くせーー!!」
「換気しなさいよ、換気!!」
「おーー、二人とも戻ってきたのか……思ったよりはやかったのう」
先に帰宅した連中からもらったのかドウェルの酒瓶を飲んですっかり酔っぱらっているボーマンがいたのだった。




