88.
あわててエレベーターを使って降りた俺たちを待っていたのは、何やら巨大な荷物を抱えたゴーレムとそれを囲んでいるゲオルグの兵士たちだった。
「貴様、一体何者だ!! そんなゴーレム一体で何をするつもりだ」
「俺はアスガルドからの使者だ。グレイス様に取り次いでくれ。命じられたものを持ってきたとな!!」
ゴーレムの上に乗っている男が声を張りあがる。待って……アグニじゃん。てか、俺は何も命令してないんだけど!! どういうことなのだとヴィグナと一緒に顔を見合わせる。
「貴様がグレイスの使者だというのならば一体何を持ってきたのだ。まさか、武器ではないだろうな!! ドウェルの問題はすでに解決しているぞ」
「そんなことはわかっているっての。これは武器じゃねえ、ドワーフたちを救う我らがアスガルドの発明品だよ!!」
怪訝な顔をしているゲオルグの部下と乱暴な口調のアグニの間に険悪な雰囲気が流れていく。仕方ないなと俺はため息をつきながら割り込んだ。
「安心してくれ、彼はうちの領民だ。そして、この件は俺の管轄であり、ゲオルグ兄さんにすべての責任はこのグレイス=ヴァーミリオンが請け負うと伝えておいてくれ」
「グレイス様……わかりました。あとはお任せいたします」
俺の顔を見た兵士が助かったとばかりに安堵の表情を浮かべた。まあ、彼からしたら、よくわからん厄介ごとを押し付けられる相手がやってきたというところだろう。仮にも俺は王子だしな……
「おお、グレイス様にヴィグナ様!! その顔だと、魔物は倒したみたいだな。ボーマンのいう通りだぜ」
俺たちを見つけアグニが満面の笑みを浮かべた。
「それでいったいどうしたんだよ。てか、ボーマンの言った通りって……?」
「これはノアのゴーレムね……よくもまあ、この距離を一人でやってきたわね」
兵士たちが去っていったのを確認した俺たちはアグニに声をかけると彼は誇らしげに言った。
「ああ、ボーマンがグレイスなら必ずドウェルを魔物の手から救うはずだっていっててよ、それで、俺たちは俺たちでできることをやっていたんだよ。救われた後の問題を解決するための発明品を作ってな!!」
「それがこれなのか……」
「ずいぶん大きいけど、何に使うのよ……?」
「ふっふっふ、これを見ればお前らも驚くぞ!!」
疑問を浮かべている俺たちにアグニが得意げな表情で発明品とやらを包んでいる布をとった。
「これがボーマンが発案し、俺が設計し、ノアのゴーレムによって作ったドウェルを救う発明品だ」
「な……なんでこれがこんなところにあるのよ……」
「ああ、確かにこれならばドワーフの技術を最大限に活用し、ドウェルを復刻できるぞ!!」
さすがはボーマンというところか、彼は戦闘力のあまりない自分ではドウェルでの戦いでは役にはたたないとわかっていたので、自分にできることを最大限に活用するためのすべを考えていたのだ。
そして、ボーマンが俺ならば必ずドウェルを救えると信用してくれていたという事が何よりもうれしい。
「アルヴィス様の元へと向かうぞ!!」
そして、俺たちは再びドワーフたちの元へと向かうのだった。




