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84.


「カイン!!」



 ワーグナーの案内で新たな女王アリを倒したニールは蒸気自動車を飛ばして、急いでカインの元へと戻っていた。

 そして、彼が見たのは胸を貫かれるカインと、全身ぼろぼろであちこちにひびの入った鉱山アリである。



 このままではまずい……



 兵士として何回も戦場に出ているニールにはカイルの刺された場所と、流れ出す血の量でそれがわかった。さらに加速して鉱山アリに体当たりをする。



「うおおおおお!! ワーグナーあいつを助けてくれ!!」

「わかった!!」

「ーー!!」



 すさまじい衝撃と共に蒸気自動車がとまる。鉱山アリがこちらの突撃を受け止めたのである。きゅるきゅると轟音を立ててタイヤが空回りすると同時にワーグナーが飛び降りて、カイルを避難させようとかよった。



「ーー!!」

「大丈夫だ!! こいつはお前を襲っている余裕はない」



 鉱山アリがワーグナーを睨みつけるのが見え、ニールが叫び声をあげる。こいつだって今手を離せばどうなるかはわかっているだろう。

 だからこそにらみつけて、威圧しているのである。



 そして、ワーグナーが一瞬逡巡してからカイルを抱きかかえたのを確認して、ニールが蒸気自動車をバックさせる。

 これは予想外だったのか、ずっとこちらに力をいれていた鉱山アリがたたらを踏む。



「くらえ!!」



 体制を崩した鉱山アリに向かって一発、二発と蒸気自動車の弾が放たれると、鉱山アリの体に散弾があたり血がまき散ったと同時に吹き飛んでいく。

 

 そう、血がまき散ったのだ。


 本来であれば超ミスリル合金の吸収した鉱山アリは耐えることができたかもしれない。だが、カイルとの戦いでぼろぼろになっていた鉱山アリの外装はもう限界だった。



「どうだ……?」



 ニールがいつでも行動できるように警戒しながら射程をあわせるが、鉱山アリはぴくりぴくりとうごめくように動き、やがてその動きを完全に止めた。



「倒した……カイルは大丈夫か!!」

「息はあるけど、わからない。血が止まらないんだ!!」



 勝利を確認したニールはワーグナーと共にカイルを載せて街へと向かう。気に食わないやつだったけど、一緒に戦った仲間である。


 生き延びてくれ……



 そう思いながら蒸気自動車を走らせるのだった。

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