67.
そして、俺たちは鉱山アリとの戦いの準備を始める、ドワーフたちへの魔法銃剣の使い方の指導に馬鈴薯の普及など、やることはたくさんある。
ここ数日はガラテアは馬鈴薯などを使い食糧事情の改善、ヴィグナによる訓練でドワーフたちの戦力アップなど色々と忙しかった。俺はというと、アルヴィス殿とこれからの事を話し合ったり、今後の作戦のための仕込みをしていた。
そして、ようやく落ち着いたので、ヴィグナの元へと向かう。銃声が響く鉱山では人とドワーフがまじりあって隊列を組んで、実践訓練をしていた。遠距離の敵にはアスガルドの兵士たちが狙い撃ち、接近してきた鉱山アリに対しては、ショットガンタイプの魔法銃剣を手にもつドワーフたちが射抜いて、悶えている鉱物アリたちにとどめ指す。
「作戦完了!! よくやったわ。今の感覚を忘れないで!! それと自分たちよりも数の多い部隊に出会ったら、躊躇なく逃げなさい!!」
「「はい、了解したしました!!」」
兵士たちを指導していたヴィグナの言葉にアスガルドの兵士だけではなく、ドワーフたちも敬語で答える。あれ? あいつらドワーフって敬語なんてつかえたんだなぁと変に感心しながら、彼女に声をかける。
「ヴィグナ状況はどうだ?」
「ああ。グレイス。そうね、だいぶ戦えるようになってきわよ。最初はいうことをドワーフたちも聞かなくて大変だったけど、ちゃんと説得をしたらいうことを聞いてくれたわ。ね?」
「説得……?」
俺が疑問に思っているとヴィグナに話を振られたドワーフが敬礼をして、慌てて答える。その表情にはわずかながらも恐怖の色が浮かんでいるように見えたのは気のせいか?
「はい、わたくしはヴィグナ様に色々とご指導をいただきました!!」
「え? まって、この人、前まで一人称は儂で、語尾にはなんとか『~ぞい』とかいってなかったか?」
「昔のわたくしは礼儀知らずでした。大変申し訳ありません!!」
「うふふ、仮とはいえど、アスガルドの兵士の一員になるんだから、他の兵士たちと差別しちゃダメでしょ。腕相撲で勝ったらいうことを聞くって言ったから倒して、ニールたちも体験した訓練をさせたら素直になったわよ」
当たり前のように言ってほほ笑むヴィグナ。いや、こいつドワーフのごつい腕に勝ったのかよ……そして、彼女の言う訓練とはニールにいけない性癖に目覚めさせてしまった恐怖の訓練である。
なんか深く聞いたら色々と怖いことになりそうである。
「こっちは大丈夫そうだな……あとはガラテアの方も見ていこうと思うんだが、ヴィグナの方お落ち着いているならどうだ?」
「別にあとは帰るだけだからいいわよ。わざわざ私と一緒にいたいのかしら?」
「ああ、そうだが?」
「あんたね、ちょっとは恥ずかしがりなさいよ……」
顔を真っ赤にしながらヴィグナが理不尽なことを言うが先ほどの兵士たちに見せていた怖さはなく、どこか可愛らしい、俺は彼女ににやにやとしながら、準備が終わるのを待つ。
そして、俺はなぜかやたらと準備がかかったヴィグナと一緒にガラテアの元へと向かう。
「別にわざわざ体を拭かなくてもいいのに……」
「よくないわよ、あんたに汗臭いとか思われたらいやだもの」
「俺は別に気にしないんだけどなぁ……」
「私が気にするのよ!!」
そんなやり取りをしていると、なにやら広場にドワーフだかりができている。お、順調そうだな。皆が嬉しそうに馬鈴薯を食べている光景に俺は思わず笑みをこぼす。
この前の村で成功した馬鈴薯料理をレシピの公開と共に、みんなに配っているのである。子供たちだけでなく、大人のドワーフたちも喜んでいるのがわかる。そして、馬鈴薯は高いところでも育つのでさっそく採取できたものをここで調理しているのだ。
そして、そんな中目立つのは……
「ほらほら、まだまだあるぞーーー!! みんな焦らなくていいんだぞ」
「美味しいぞい。ルビー様!!」
「その恰好もにあっているぞい!!」
そう、メイド服を着て料理をしているルビーである。お姫様だというのに、自分からやりたいと言い出したのだ。
そして、少し離れて気持ち悪くぶつぶつと言っている仮面の男がいた。
「ああ、王族という絶対的な立場でありがら、民衆に奉仕をする姿。なんて素晴らしいメイド魂だ! そう、メイドとは立場のことを指すだけじゃない、その在り方を示すのさ」
「うわぁ……」
「あのキモさ……なんか覚えがあるような……」
ヴィグナがマジで引いている。それはともかくだ。
「おーい、ガラテア、順調か?」
「ええ、もちろんです! マスター!」
料理を一区切りしたガラテアが笑顔で出迎えてくれる。そして、会話をしながらも流れるような動作で調理をすすめる。
馬鈴薯のおかげで食料不足も多少はましになるだろう。俺はガラテアからホカホカのじゃがバターをもらって、満足そうにうなづく。
そして、あとは……アイン達の調査だな……




