2-18 ウノ(2)
クラスメイトの喧騒をよそに、僕達はウノをこなしていく。
クラスメイトは綾と小平さん、それと直の三人が並んでいることで歓喜にわいている。
兄バカな表現だけど、直もクール系な美少女の範疇に入り人気がある。
なので三人がそろうと、とても眼福な光景が広がる。
「あーあ、また負けちゃったよ」
小平さんがカードを机に放り投げ、四回目の対決が終了。
もう三度目となるびり対決を制した僕は、大人げないと思いながらも控え目なガッツポーズをする。
「坂本、やっぱこいつはムカつく」
「真由、落ち着いて」
「いや。なんだか坂本の笑顔を見ているといらいらする」
「真由ったらもう」
綾が必死になってなだめるが、効果はなし。
一戦終わって最下位になっては感情をあらわにして負けを悔しがり、オーバーアクションを繰り返す。
でもそのオーバアクションが大きなあだとなって、プレイ中に作戦を読まれてしまう小平さん。
それに対して、感情をあらわにしない直は四戦連続一位。
完璧と言ってもいいほどの無敵の女王である。
「やっぱり直は強いな」
小倉くんが感心したように拍手する。
「それに比べて、小平は」
さらに肩をすくめて小倉くん。
相性がいいのだろうか。
二人は冗談を言い合える仲のようだ。
「なによ。私だって勝つときは勝てるわよ」
「いや、無理だな」
小倉くんが断言する。
「うん。真由には難しいかも」
「四回連続最下位だし」
綾も僕も言う。
すると小平さんが声を荒げる。
「もう一回。もう一回やろ。今度こそ坂本に押しつけて最下位を脱出するから」
「でも、もう時間ない」
直が冷静に指摘する。
あまりにも冷静すぎて小平さんがあっけにとられてしまうくらいだ。
「そうだな。時間ないな」
と、小倉くんも言う。
結局、ウノはここでお開きとなった。
「春」
そして隣に座っている綾が僕を呼ぶ。
「これ」
机の下で渡されたのは小さなメモ用紙。
「後で見て」




