94話
朝早くに起きたボクは今日の段取りを入念に確認。
「最後の秘宝、聖杯の在る場所はおそらく青の石版を手に入れたモノリスのところにあるはずだ」
青の石版は南の王国の鳥エリアのブルーバードエリアで知識だけを手に入れた実物のないアイテム。聖杯も実物のないアイテムだとすれば、ブルーバードエリアでフクロウを見つけだせば聖杯が手に入るはず。
段取りを確認したボクはクランハウスへ移動。マリナさん、メリーさん、スズメさんはすでに待っていたので合流してブルーバードエリアへ移動。
ブルーバードエリアにほとんど人影はなく、ボク達は人目を気にする事なく奥へ奥へと進み、モノリスのある場所に到着。
「で、この後はどうするんだ?フクロウなんか見当たらないぞ」
スズメさんの言う通りこのエリアにはフクロウのモンスターは存在しない。
「この場所だという事はわかってるんですが、どこにいるのはまだわかっていません。ボクに少し時間を下さい」
時間を下さいと言ったはいいが、何も出来ないままただ時間だけが過ぎていく。そんな状況を見かねてマリナさんが声を掛けてきてくれた。
「そういえばハヤトくんはここでアイナと初めて会ったんだよね」
「えぇ、そうですね。あの時はアイナさんのおかげで青の石版を手に入れる事が出来ました」
あの時はモノリスを見ただけでは何もわからなかった。そう思いながらボクは何気なくモノリスを確認。
『月を見たければ、空を見よ』
モノリスに書かれていたのはこの一文のみ。空を見上げるとブルーバードエリアの空は雲ひとつない青空。
「綺麗な青空だな。全てが青色の空だ……全てが青……オールブルーという事か!!」
今思えばウラニアの鏡にはアルゴ船座の絵も描かれていた。アルゴ船は某有名海賊漫画のモチーフにもなっているのではないのかという考察がある。
某有名海賊漫画は都市伝説的なネタが多い入っている事でも有名な漫画。その中で違和感を感じる事がある。それはフクロウの存在。
都市伝説的な話では日本の国会議事堂やアメリカの合衆国会議事堂、ロシアの国会議事堂にはフクロウのマーキングがされているという話がある。
そんな重要な存在にも関わらず某有名海賊漫画でのフクロウはちょっと強い雑魚キャラとして登場。
もし某有名海賊漫画でフクロウのマーキングがオールブルーを示していたのだとすると違和感はない。
「フクロウがどこにいるのかわかりました。この青空全て、オールブルーそれがここにいるフクロウです」
「ホッホッホ、私をよく見つけ出す事が出来ましたね。さすがブルーオウルのクランを名乗るだけの事はありますね。秘宝を手に入れているみたいですし、貴方達には聖杯を授けましょう。聖杯は愛を表し、愛は与えるモノです。愛の意味を取り間違えないようにして下さいね」
[隠しパラメータの愛が見れるようになりました。愛のパラメータを消費する事で聖杯を使用できMPを完全回復する事が出来ます。愛は与えるモノなので愛のパラメータを自分に使用する事が出来ません]
「これが聖杯って事なんだよね。みんなの愛ってどのくらいの数値になってる?」
「ボクは100になってます」
「私も100です」
「私も100だ」
「じゃあ100が上限って感じなんだね」
これで最後の秘宝、聖杯を手に入れる事が出来た。自分が思っていたより早く聖杯を入手出来たから時間に少し余裕がある。この時間をどう過ごすのが1番段取りが良いのだろうか………
「ハヤトくん、この後はどうするの?今際の国に行ってストーリーを進める?それともエース級を目指して死獣を倒しに行く?」
マリナさんの提案はどちらも普通に考えつく最高の段取り。どちらを選んだとしても変わりはないと思う。だけどボクはどちらも選ばない。
「今日はここで解散してゆっくり休みましょう。今更バタバタして昇級してもエース級にはなれないし、なれたとしてもその時にはみんな疲れ果てていてリュウイチさんに勝てません。今際の国に行くのは明日の8時から行きます。リュウイチさんはそれを見越して行動開始は10時と言ったはずですから」
今際の国を攻略して、そこから浄化の光のアイテム製作の時間を計算すると2時間ほどかかる。
リュウイチさんにその浄化の光を渡したところからボクとの勝負開始。勝負は隠しボスを先に倒した方が勝ち。
でも今のままじゃリュウイチさんに勝てると思えない。どうしたら勝てるのだろうか………
「今日はもう休んでもいいって言ったけど、さすがに休むにしては早い時間だし、私達はスズメとの連携確認がてら死獣を倒しに行ってこようと思うんだけど、いいかな?もちろん明日に備えてしっかりと休む時間は取るから心配しないでね」
「わかりました。それでは明日またお会いしましょう」
「ハヤトくんも段取りの事を考えて無理しないようにね」
「……はい。それでは今日はお疲れ様でした」
「「「お疲れ様でした」」」
マリナさん、メリーさん、スズメさんの3人と別れたボクはマイハウスに移動。
「最高の段取りを組んだとしても今のままではリュウイチさんに勝てるとは思えない。一体どうしたらいいんだろうか……」
段取りの事もそうだが、ボクは何か重大な事を見落としているような気がする。そこに気付けなければリュウイチさんに勝つ事は出来ないだろう。
「ボクは一体何を見落としてるんだ?」
考えよう考えようと思えば思うほど何も考えが浮かばない。
「一旦落ち着こう………今日はマリナさんの一言があったおかげで聖杯を手に入れる事が出来たな。青の石版の時もそうだ。アイナさんの一言のおかげで青の石版を手に入れる事が出来た。ボク1人だけではどうする事も出来ない事がある。でも仲間のみんながいればきっとリュウイチさんに勝つ事が出来るはずだ……ん?」
ボクはある事に気づいてしまった。なんでリュウイチさんはいつも1人なんだろうか。リュウイチさんはトップオブトップと言われるすごい人だけど、仲間と言えるような人は見た事がない。
「きっとここに勝機があるはずだ。これで明日の勝負は大丈夫そうだな。よし、今日はもう寝るとするか」
ボクはベッドに移動し、ぐっすりと眠りについた。




