26話 灼熱の氷の杖
マイハウスに戻ったボク。これから永久凍土ゴーレムを倒すために必要な武器、灼熱の氷の杖を作る。
灼熱の氷の杖を作るのに冷凍メタン灰土と溶岩真珠と砂漠のオアシスの木の枝が必要。
「材料は全て揃った。あとは成形作業で作るだけだ」
「一点集中スキル・オン」
「成形作業・開始」
作業台に杖の型を持ってきて、型に砂漠のオアシスの木の枝を合わせる。次は溶岩真珠を枝の先端部分に合わせる。最後に冷凍メタン灰土を振りかけて、魔力を流すとそれぞれの素材が馴染んでいき、形を変える。
「成形作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「品質は……」
品質を見ようとした、その瞬間。眩しく光り輝く女神アテナのエフェクトが現れた。
灼熱の氷の杖、100%の神品質。
「よし、生産3種の神器のおかげで神品質の武器が出来たぞ」
これで永久凍土ゴーレムを倒す準備は出来た。でもここに大きな問題も抱えていた。
永久凍土ゴーレムの青レンガの採取は倒してすぐに採取を始めないと、どんどん品質が悪くなっていく。
パーティーを組まないで倒して採取権がフリーになった状態で採取しても、その時には品質は普通品質まで落ちる。
最高品質の青レンガを採取するにはボクも戦いのパーティーに参加しなければいけない。
このゲームはデスペナのないゲームと前に言ったが、それは戦闘職の話。永久凍土ゴーレムのようなモンスターとの戦いの場合、生産職の人が死ねば死ぬほど採取出来るモノの品質が悪くなっていく仕様。
この難関を乗り越えるにはサーベルウルフの皮で作る銀狼のマントが必要。銀狼のマントはモンスターに狙われにくくなる効果があるアイテム。
サーベルウルフの革と銀を合わせれば、銀狼のマントは作れる。
でもボクはこのアイテムだけだと不安を覚えたため、ワンランク上のマント、黒の銀狼のマントが作りたかった。
そのために必要な素材がデザートローズ。手に入れるのは無理だと思っていたからこそ、手に入れた時は嬉しかった。
全て順調でこのままボクがアテナの骨を1番最初に作る事が出来る。そう思って、気を抜いてしまった。
それがボクの運命を変えたのかもしれない。ボクより先を行く人が2人も現れた。
でもボクは諦める気はない。ボクはボクなりに段取り良くやってきたんだ。
「よし、次は黒の銀狼のマント作りだ」
「一点集中スキル・オン」
「成形作業・開始」
神品質の魔力水を桶に入れて、その桶にサーベルウルフの毛皮をいれて、揉んでいく。
しばらく揉んでいると、皮についていた毛や脂分もなくなり、よく見る革の状態。
「成形作業・終了」
サーベルウルフの革、95%の最高品質。
「次は銀とデザートローズを合わせる作業だ」
「錬金作業・開始」
デザートローズをミスリルのハンマーで叩いていく。
カンッ、カンッ、カンッ
脆いデザートローズは簡単に微粉末状に。
アイナさんと一緒の時に銀を少し余分に採取していた。そして隙を見て銀は自動焼成もしていたため、今手元には最高品質の銀のインゴットがある。
神の錬金鍋にミスリルのインゴットを入れて、神品質の魔力水を製作。
その魔力水をボールに移し、デザートローズの微粉末と銀のインゴットを入れて、1時間ほど浸けておく。
「錬金作業・終了」
黒色銀のインゴット、99%の最高品質。
銀は酸化して黒くなると思われがちだが、実際は硫化して黒くなる。硫化カルシウムで出来ているデザートローズと一緒に合わせた事によって銀は黒くなったのだ。
「次は黒色銀とサーベルウルフの革を合わせて完成だ」
「成形作業・開始」
次の作業はサーベルウルフの革に黒色銀を塗装していく作業。
革の表面は銀面と言われているが、そこに銀を塗装するなんてシャレが効いてるな。
「成形作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
黒の銀狼のマント、99%の最高品質。
「よし、これで永久凍土ゴーレム討伐の準備は完了。マリナさんに連絡だ」
ボクはスマホを取り出し、亀梨マリナさんにメッセージ。
『永久凍土ゴーレムを倒すための灼熱の氷の杖が出来ました。明日火山集合でよろしくお願いします』
アテナの骨が完成すれば第1章が終わり、第2章が始まる。第2章は愛を取り戻せ。ハートのマークの人が活躍する章。
ハートのマークを選んだマリナさんは第2章でスタートダッシュをしたいために、ボクと取り引き。
ボクは永久凍土ゴーレムの討伐を頼み、マリナさんはスタートダッシュをするためのアイテムをボクに頼んだ。
アテナの骨はアイテム変化を出来る。第2章の始まりはそのアイテム変化を使って出来るアイテムを使う。誰しもがそう思っている。
ピコン
スマホに通知音。
[山下アイナ様よりメッセージが届いています]
ん?このタイミングでアイナさんからなんだろ?
『メッセージ送る相手間違えてないかな?っていうか灼熱の氷の杖を使うような人は亀梨マリナくらいだと思うけど、もしかして浮気してる?』
えっ、えっ、えっ、どういう事?
送信履歴を見るとボクは間違えてメッセージを送っていた事に気付いた。というか浮気ってどういう事?
ピコン
スマホに通知音。またアイナさんからメッセージ。
『まさかハヤトくんに浮気されるとは思ってなかったから、私すごい泣きそう。責任取ってください』
いや、いや、ちょっと待って。
ピコン
スマホに通知音。またアイナさんからメッセージ。
『第2章始まったら責任取ってもらうからね。今はアテナの骨の製作頑張ってね(ハート)』
絶対やばい事企んでるよー。でもってボクの感情はもうぐちゃぐちゃだよー。
…………
気を取り直して、マリナさんにメッセージ送信。
ピコン
『了解。朝8時に火山で待つ』
次にメリーさんにメッセージ送信。
ピコン
『了解です。少し話したい事がありますので少し前にクランハウスに来てもらいたいです』
話ってなんだろ?
『了解です』
明日はボクとマリナさんとメリーさんの3人で永久凍土ゴーレムと戦う。
明日は忙しい日になる。だから明日の段取りをきちんと確認しておこう。
永久凍土ゴーレムの青レンガを手に入れたら、神の鍛冶場にセットする。何かする作業はないため、すぐに終わる。
神の鍛冶場を完成させたら、次はパラジウムと溶岩真珠の粉末を合わせる錬金作業。
錬金作業が終わったパラジウムを神の鍛冶場で焼成する。
これでアテナの骨は完成する。
焦る必要はない。1つ1つやれる事をやっていくだけだ。今日はしっかりと寝て、明日に備えよう。
ボクは超フカフカのベットに行き、眠りについた。




