25話 パラジウム
サンダーラムの革手袋を作った事によって、アテナの骨の作成に必要な素材、パラジウムを採取出来るようになる。
女神アテナの別名、パラスアテナ。その名前からとってつけられてた惑星が小惑星パラス。その惑星は八面体の形をしている。
八面体は某有名アニメに登場する第6使徒、ラミエルのような形を思い浮かべるとわかりやすい。
その小惑星から採取出来る素材がパラジウム。
ピラミッドを2つくっつけたような形をしている八面体のその小惑星はツチブタ砂漠に上半分だけ姿を見せているので、一見するとピラミッドにしか見えない。
そのピラミッドを守るのは雷を司る神、セト。ツチブタの顔をしている戦争の神様でもある。そしてキリスト教ではラミエルは雷を司る天使でもある。
セトの目の前でサンダーラムの革手袋を使い、電を操る事が出来たらパラジウムを採取出来る。
パラジウムを採取出来るツチブタ砂漠ではもう1つやる事がある。
永久凍土ゴーレムを倒せる武器、灼熱の氷の杖の素材の採取。それは砂漠のオアシスの木の枝という素材。
冷凍メタン灰土と溶岩真珠と砂漠のオアシスの木の枝で作る武器が灼熱の氷の杖。
無駄なく行動するために段取りを考えた結果、この2つの素材は後回しになってしまった。
時刻はお昼も過ぎて、砂漠は1番暑い時間帯。
南の王国エリアにある豚エリアに移動。豚エリアの中にあるツチブタ砂漠はとにかく暑い。
パラジウムを採取出来るピラミッドは遠くからでも見えているので、先に砂漠のオアシスの木を探す。
汗だくになりながら、オアシスを目指す。だが一向に見つからない。
本当にあるのかと思うくらい見つからない。オアシスを見つけるためのフラグがどこかにあるのか?
そんな事を考えながら歩き続けていたら、ようやくオアシスを発見。
「ま、まずは水を飲みたい」
だが残念。行けども行けどもオアシスに辿り着く事はなかった。
「こ、これが蜃気楼っていうヤツなのか……さっきのはまるで夢か幻でも見ていたようだった」
オアシスを発見出来ずに心が折れかけたところでようやく発見。今度は実際にオアシスに辿り着く事が出来た。
「良かった。あれで辿り着けなかったら一回帰るところだったよ」
オアシスの水で喉を潤し、落ち着いたところで採取開始。
「一点集中スキル・オン」
「剥ぎ取り採取作業・開始」
砂漠のオアシスの木の枝から輝く点が見える。アダマンタイトのナイフを使い、枝を採取。
「剥ぎ取り採取作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
砂漠のオアシスの木の枝、99%の最高品質。
「よし、次はパラジウムの採取だ。って思ったけど、まだここで採取出来る素材がある」
砂漠のオアシスにある岩。この岩から採取出来るデザートローズという鉱石。砂漠のどこかにあると言われているこの鉱石は非常に柔らかく脆い。
「見つけるのは無理かと思っていたけど、ここで見つける事が出来て本当に良かった」
デザートローズは砕いて銀のインゴットと混ぜると黒く変色する。他の人なら使わないと思うが、ボクはどうしてもこの素材が欲しかった。
ミスリルのハンマーとポンチを持ち、デザートローズを30個採取。
「よし、次はパラジウム採取だ」
~~~
パラジウムが採取出来るピラミッドの前まで来ると行列が出来ていた。みんなサンダーラムの革手袋を装着している。
「こんなに順番待ちするとは思ってもみなかったな」
行列の最後尾に並ぶと前にいる人がぶつぶつと独り言を呟いている。
「パラジウム採取って難しいみたいだな。まだ誰も採取出来ていない。みんな品質の良くないサンダーラムの革手袋を使ってるんだろうな。待つのもダルいけど、アイツに負けるのもイヤだしな。もう少しでアテナの骨も出来上がるっていうのにこの時間は無駄な時間だな」
なんか言ってる独り言がボクみたいだな。ボク以外の人でもアテナの骨の製作を頑張ってる人がいるんだ。ボクも気合いを入れていこう。
そんな事を考えていると前の人の出番が来た。
「静電気が発生している丸いボールを操り雷を発生させる事が出来たら合格だ。制限時間は10分」
前の人に説明している声が聞こえてきた。
10分って短いな。今まで誰も成功出来ていないって事は相当難しいはずだ。
前にいる人がぶつぶつ呟きながら丸いボールを操っている。
「この感じはファントムセンスが身についていれば簡単だな」
ファントムセンスってなんだろ?
ドッゴッーン
ピラミッドに雷が落ちた。
「お見事、合格だ」
初めて合格者が出た。ボクもこれに続いて合格したいところだ。
「静電気が発生している丸いボールを操り雷を発生させる事が出来たら合格だ。制限時間は10分」
ドッゴッーン
ボクの番になり、ボクも無事に雷を発生させる事が出来た。簡単に出来たって事はボクもファントムセンスが身についてるって事なのかな。
「お見事、合格だ」
パラジウムの採取場所に行くと先に合格した人がパラジウムを採取している。
「あの人も集中して採取したいと思うから、離れた場所で採取を始めるか」
ピラミッドは遠くから見えるほど大きい。パラジウムの採取はピラミッドのどこからでも採取出来るので、少し離れた場所に移動。
「人はほとんどいないし、ここなら周りを気にせず、ボクも集中して採取出来そうだな」
「よし、採取開始だ」
ミスリルのハンマーとポンチを手に取って採取を始める。
カンッ、カンッ、カンッ
「ここにはほぼ誰もいないし、切削加工作業もして多くのパラジウムを持ち帰るとするか」
「一点集中スキル・オン」
「切削加工作業・開始」
カンッ、カンッ、カンッ
「よし、30個のパラジウムをゲットだ」
「切削加工作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
採取を終えると、後ろに誰かいる気配がする。
「やっぱりシロウくんはすごいね。でもアテナの骨を作るのはボクの方が先だよ」
突然話しかけられて驚くボク。ボクの名前はハヤトだから、この人はボクと誰かを間違えてる。そう思い後ろを振り返る。
「…………」
「…………」
そこにいたのは綺麗な顔をした男の子。背も小さく女の子のような顔立ちでボーイッシュって感じの見た目。
「…………」
ボクが言えた事じゃないけど、この子はなんでずっと無言なんだろう。
「あっ、あの…」
「あー、いたいた。やっぱりアオイもここに来る事出来るよね。アオイ、この人は?」
さっきボクの前にいた人がボク達の事に気付いたみたいだ。
「知らない人」
「えっ、じゃあなんで見つめあってたの?」
「シロウと間違えたから」
「じゃあなんでずっと無言で見つめあってるんだよ。なんかお邪魔してすみません」
このシロウさんと言われた人は礼儀正しい人だな。でもってボクに姿格好がよく似ている人だ。
「あっ、いえ、大丈夫です」
「話変わりますが、ここまで来れたって事はアテナの骨の作成まであと少しって感じですか?」
この感じなら、この2人もきっとそうなんだろう。
「はい、そうです。ボクはあと永久凍土ゴーレムの青レンガを手に入れれば、アテナの骨の製作に取り掛かれます」
「おー、もうそんなところまで進んでるんですね。ボク達はこのパラジウム採取で終わりで、これからアテナの骨の製作に取り掛かるところです」
な、なんだって。ボクよりも先を行ってるだと……
「お互い頑張りましょう。でもブルーオウルの名前はボクがいただきます」
このゲームの運営はオープンベータ版でストーリーが進まなかった事に対しての対策としてストーリーを進めた人、つまりアテナの骨を最初に作った人に特典を与える事にした。
その特典はクランの名前に禁止ワードでもあるブルーオウルの名前を付けれるというもの。
このゲームは女神アテナが重要なキャラでもあるため、アテナの名前をクランに付ける事が出来ない。アテナのシンボルマークでもあるフクロウ。このゲームで隠し要素でもあるブルーオウルも禁止ワード。
この特典を発表したのは2、3日前。アテナの名前を付けれない事は多くの人が知っている事だったが、ブルーオウルの名前が禁止ワードだと知っていた人は皆無に等しい。
「ブルーオウルはボクのモノだよ」
なんか小さい声でアオイくんが喋ってる。
「アオイの名前は島袋アオイだから、どうしてもブルーオウルの名前を付けたいのはわかるけど、ボクだって譲る気はないよ」
「ボクだって負ける気はないよ。っていうかボクはこれからパラジウムを採取するんだから邪魔しないでよ」
「わ、わかったよ。じゃあボクは先に帰ってアテナの骨の製作に取り掛かるとするよ。あっ、そうだ。ここで知り合ったのも縁だと思います。名前伺ってもよろしいですか?」
ボクより一歩先を行っている人だ。これから先も縁があるかもしれない。
「ボ、ボクは三上ハヤトです」
「亀白シロウです。シロが2回続くから亀ジロウなんて呼ばれる事もあるんですよ。それじゃあボクはこれで失礼します」
シロウさんはスマホを取り出すと、どこかに移動。アオイくんと2人きりになる。
「…………」
アオイくんは相変わらず無言だ。
「ボクもこれで失礼します」
ボクはスマホを取り出し、マイハウスに移動。
「ボクはボクなりに段取り良くやっていたから、まさかボクより先を行ってる人がいるとは思っていなかったな」
しかもボクより先を行ってる人は亀白と名乗っていた。きっと亀白ナルミの弟なんだろう。
ここまで来たのなら誰にも負けたくない。アテナの骨を最初に作るのはボクだ!!!




