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僕はスキル振りを間違えた  作者: ごぼふ
地雷少年と過去
45/58

(女装)潜入作戦

「うううん」


 鏡の前で、ヒラクは唸っていた。

 履いているのはスカート……を含む女子用制服。

 そこからのぞく手足にはムダ毛の一本も生えていない。


 そしてその頭には、腰まで届く長さのウィッグが装着されている。


 出来は悪くない。

 美少女……には届かなくとも、「こういう女子普通にいる」程度には馴染んでいる。

 元のはっきりしない少年ぶりと比べると、こちらのほうがクラス内ヒエラルキーは高くなりそうだ。


「ヒ、ヒラク様。もう充分可愛らしいですよ」


 毒味……もといお目付役のリスィが不満顔のヒラクを誉める。

 しかしーー。


「……なんかひと味足りない気がする」


 呟いて、ヒラクは自らの目元を再び弄りだした。

 二次性徴の始まった男子が、それ以前の天使さを取り戻すなど土台無理な話である。

 しかし彼は敢えて、高みへと昇るチャレンジを開始したのであった。

 


 ◇◆◇◆◇



「遅かったな」


 主のいない被服室から出たヒラクを、体育着のフランチェスカが出迎える。

 ヒラクが纏っている制服は彼女の物だった。


「……目元がひどい」


 一方こちらも体育着のアルフィナが呟く。サイズ的には適当かと思われた彼女の制服だったが、なんだかんだで男の体格であるヒラクには合わなかった。


「こういう設定だからね」


 苦笑して、ヒラクは彼女に答えた。

 指摘されたとおり、ヒラクの目には何日も寝ていないような隈ができている。

 とは言っても、これは化粧で拵えたものだ。


「そう、彼女ヒラノ=ロッテンブリンコはここ数日眠れぬ夜を過ごしてきた! それは恋の悩みが原因で、今日の体育の時間、ついに倒れてしまったのだ! そして彼女の恋の相手とは……」


 フランチェスカが突然、朗々と謳いあげる。


「……声が大きい」


「す、すまない」


 それを、アルフィナがぴしゃりと遮った。

 縮こまるフランチェスカ。

 モズがいないことで、二人には新たな関係が生まれつつあった。


「ともかく保健室で休んでいた彼女だが、午後の授業は出られそうにない。更に保健室には全滅しかけたパーティーがかつぎ込まれ、ベッドが足りなくなってしまった。そこでヒラノは寮へ返される事になったというわけだな」


 ともかくも今度は重大な秘密を囁くようなトーンで、フランチェスカは語っていく。

 細部はともかくそのような設定で女子寮に潜入するため、ヒラクはやつれた化粧を顔に施したのだ。


「すごく拘ってるから、ヒラク様が目覚めちゃったのかと心配になりました」


 疑惑は晴れないながらもホッとした顔でリスィ。


「そうか、ついに覚醒(めざめ)の時が……」


 すると何やら真剣な顔でフランチェスカが呟く。


「目覚めも覚醒(めざめ)もしてないから」


 ニュアンスの違いを機敏に察してヒラクはつっこむ。


「……どちらかというとネボスケ顔」


「それ、普段からそういう顔って意味じゃないよね?」


 更にはアルフィナまでそんなことを言うので、その言も彼は追求せざるを得なかった。


 これから彼らが働く行為は、間違いなく校則違反である。

 そして、ヒラクの話を聞いたからといってモズが心を開いてくれるとは限らない。

 彼女達なりに、ヒラクをリラックスさせようとしてくれているのだろう。


「我々はその付き添いだ。二人は多いように思われるが、両方とも彼女が心配で心配で体育着も着替えられなかったほどの親友なのだからしょうがない。しかしそう見せてアルフィナは国家から派遣された……」


 ウキウキと語るフランチェスカを見ると、本当にそうだろうかと心配になる。

 が、ヒラクはそんな自らの不安を敢えて無視した。

 何しろ心配事が山積みなのは、これからなのだ。


「結局クリナハは?」


 ヒラクが問いかけると、アルフィナは無言で首を振る。

 先ほどクリナハの教室を訪ねてみたが、彼女は見つからなかったらしい。


 そして同じ教室にいるはずのミラウという少女も、今日は休みだそうだ。

 何かが起こっている予感がする。しかし、自分たちにはまず片づけなければならない問題がある。

 ネボスケ顔で覚悟を決めなおし、ヒラクは女子寮へ赴くことにした。

 


 ◇◆◇◆◇



 空は抜けるような青空だった。

 病気のフリをしているのが馬鹿らしくなる。

 しかしそれでも、ヒラクはお天道様から顔を背け、今にも倒れそうな演技を続けていた。


 左右ではフランチェスカとアルフィナが彼を支えるフリをしており、通常なら心ときめく状況である。

 だが、正体がバレてしまえば変態確定の今の立場では、そんなことは考えていられない。

 幸い今のところ目撃者はいないが、自分達のようなサボタージュや教員用務員が辺りを彷徨いていてもおかしくはないのだ。


「ふぁ、ファイトですヒラク様!」


 肩幅を誤魔化すため詰め物で過剰に豊胸したヒラクの胸元。そのスペースに潜り込んだリスィが彼を励ます。

 病人の演技でファイトして良いのかという哲学的な問いにヒラクの頭が本当にフラフラしてきた頃、ついに女子寮の入り口が見えてきた。


「受付には私が事情を説明する。君は今まで通り調子が悪そうにしていてくれ」


 ヒラクの耳へと、フランチェスカが囁く。

 ウィッグのもみあげを揺らすその風に、ヒラクの体がぶるりと震えた。


「……変なところ触った」


 すると、ヒラクに肩を貸しているアルフィナからそんな抗議が入る。


「うぇっ!? ご、ごめん」


 震えただけなのだから、どこそこに手が触れるはずがない。

 しかしヒラクは本能的な速度で彼女に謝る。


「しっ。そろそろ聞こえる距離だぞ」


 そんな彼らに、フランチェスカの小さな叱声が飛んだ。

 ヒラクが俯きがちだった顔を正面にやると、開け放たれた入り口のドア先に、カウンターが見える。


 そして、そこで菓子を頬張るその姿に、ヒラクは見覚えがあった。


「あれが事務員のレモンさんだ。付近の村で雇われたらしいが、あの眼光はただ者ではない。気を付けろ」


 フランチェスカの言葉も、それが間違いでないことを証明する。


「え、レモンさんですか?」


 ヒラクの胸元から、リスィがひょこりと顔を出す。


「知り合いなのか?」


「一回だけ……話したことが」


 フランチェスカに尋ねられ、ヒラクは本当に青い顔になりながら答えた。

 あれは学園に来て一週間も経たない頃だったか。

 彼女の鎌を修理した縁で、ヒラクはポーション用の薬草を大量に分けてもらったことがあったのだ。

 確かに何でもやらされると言っていた彼女だが、まさか寮の受付までしているとは……。


「ならば覚えていない可能性の方が高いだろう」


「……ヒラクの顔は没個性」


 ヒラクとレモン女史の出会いを知らないフランチェスカとアルフィナが、楽観的な言葉を漏らす。

 だがしかし、中に入るのならば避けては通れないのも事実だ。


「ど、どうしましょうヒラク様」


「リスィ、隠れてて」


 覚悟を決めたヒラクはリスィを胸の下へと隠し、レモン女史と相対すことを決めた。


「こんにちは、レモンさん」


 とはいえ実際に対応するのはフランチェスカである。

 レモン女史に近づいた彼女は、礼儀正しく挨拶をした。


「どうした、何か忘れ物かい?」


 すると彼女は顔を上げ、フランチェスカに問いかける。

 フランチェスカは普段から風紀委員の仕事をよくこなしているのか。

 サボりだとは思われていないようだ。


「いえ、そうではなく急病人が出ました。保健室も満員なので寮で休ませようかと」


 対するフランチェスカも堂々としたものである。

 それは彼女が所持する威厳(カリスマ)の効果か、それとも普段からなりきりをしているおかげか。

 ヒラクには判別がつかなかったが、ともかく傍目からはまるで怪しむところがない。


「あら、平気なのかい?」


「ただの寝不足だそうです。人騒がせな……」


 レモン女史の問いに、フランチェスカはやれやれと首を振る。

 あるいは彼女の中でヒラクは、すでに半分ヒラノとして認識されてしまっているのかもしれない。


「そりゃぁ気を付けないといけないね。手を貸そうか?」


「いえ、大丈夫です。アルフィナ!」


 レモン女史の手助けもさらりとかわした彼女は、アルフィナを呼ぶ。


「いっちにー、いっちにー……」


 それを受け、謎のリズムを刻みながらアルフィナがヒラクを牽引する。

 先ほどの出来事もあって、彼女の体に寄りかかることを躊躇うヒラク。


「……もうちょっとくっつかないとバレる」


 そんな彼を引き寄せるようにして、アルフィナの方からヒラクの脇下に潜り込んできた。


「あ、うん……」


 ヒラクに触れられるのが嫌なのではないのか。

 この辺りの機微は、カムイでならしたヒラクであっても読みとれない。

 無口で感情が読み難い辺りは双方似ている。

 だがカムイが本来引き籠もりがちで根暗なのに対し、アルフィナは後天的な無口の為か、根は明るい少女なのではと感じる場面が多々あるのだ。


「でも変なところ掴んだら……泣く」

 

「掴まないから……お願いだから泣かないで」


 全力でつっこみを入れたいのを押し殺し、ヒラクは彼女に訴えた。

 アルフィナの場合明るいというか……妙にいたずら好きというべきか。


「どうしたんだい、難しい顔して?」


「いえ、あれを看過するべきか迷っているのです……」


 悩むヒラクは、同じく悩み顔のフランチェスカと合流した。

 そしてそのまま、目を合わせずレモン女史の脇を通ろうとする。


「ちょっとアンタ」


 だがそれを、レモン女史が呼び止める。

 びくり。リスィが飛び出しそうなほど体を揺すり、ヒラクの偽乳が物理法則を無視した動きを見せる。


「顔を見せな」


 そのせいか、余計に不信感を増したレモン女史がドスを利かせた声を出す。


 無視しては通れない。

 判断したヒラクは、ゆっくりと顔を彼女へと向けた。


「ふぅん」


 太陽光を虫眼鏡で集光したような、じりじりとした視線が刺さる。

 初見でヒラクだとはバレなかったようだ。しかし疑われている。

 このままでは不利だと、ヒラクは本能的に理解した。

 ここは……攻めなければ。 


「な、何でしょう?」


 意を決した彼は、声帯の全てを駆使した渾身の女声で彼女に問いかけた。

 多少かすれはしたが、それは体調不良のせいだ。そう思ってくれとレモン女史に念を送る。

 一方で、儚げで今にもしおれてしまいそうな笑顔も忘れない。

 周囲と胸元の女子が引いたような気配を出すが、ヒラクはその顔を崩さなかった。


「ひどい顔だね。ゆっくり休みな」


 そして、永遠とも思える長い沈黙の後、レモン女史はそう言って手元の菓子に手を伸ばした。

 全力の笑顔がひどいと評された気もするが、目的はあくまで寮への潜入である。

 些事は気にしない。


「そ、それでは失礼します」


 若干傷つきながらヒラクがちらりと視線をやると、はっとなったフランチェスカがヒラクの体を支える仕草をする。

 そうして彼らはレモン女史の隣を抜け、見事に女子寮への潜入を果たした。


「ま、そんだけやんなら良いわ」


 背後でそんな声が聞こえた気もしたが、ヒラクは全力で聞こえないフリをした。



 ◇◆◇◆◇



「この廊下の突き当たりが、モズの部屋だ」


 寮の二階に上がったところで、フランチェスカが指し示す。


「ありがとう」


 病人のフリをせずとも良いことを確認したヒラクは、アルフィナの肩に回した手を離し、彼女たちに礼を言った。


 代わりにじっと、アルフィナの瞳がヒラクに吸いつく。


「とりあえず、言えることを言ってくるよ」


 おそらく、多分、心配してくれているのであろう。

 それを察して、ヒラクは彼女に笑顔を見せた。


 少々躊躇った後、アルフィナが頷く。

 何なのだろう。この歯切れの悪さは。


「我々は少々時間を潰して外へ出る。後は、君に任せた」


 疑問に思い尋ねようとするヒラク。

 だがそれより先に、フランチェスカが促すようにアルフィナの肩を叩きながらヒラクに言う。

 よく考えれば、のんびりしている場合ではないとヒラクは考え直す。


「うん。それじゃぁ行ってきます」


 力強い……とは言い難い挨拶をして、ヒラクは二人に背を向け歩き出した。


 廊下の途中で、胸元から顔を出したリスィがヒラクを見上げる。


「あの、ヒラク様。私は……」 


 自分には何かできることがないか。彼女の目はそう訴えている。

 アルフィナとフランチェスカがヒラクの為に危険を冒してくれた今では、尚更の感情だろう。


「彼女には、なるべく全部僕の言葉で伝えたいんだ」


 しかし、彼女の視線にヒラクはすげなくそう答えた。


「そうですよね……」


 しょんぼりと、リスィが偽乳の谷間に沈む。


「でも、僕が何か言い忘れてるようだったら……教えてほしい」


 そんな彼女を見下ろすと、ヒラクは微笑んでもう一言付け足した。


「はい!」


 彼の言葉に、リスィが勢いよく顔を上げて返事をする。


「さ、差し当たっては静かにね」


 今は授業中のはずだが、レモン女史の他にも人がいる可能性はある。

 ヒラクが慌てて注意すると、彼女は自らの口をその小さな手で塞いだ。


 背後を振り返ってヒラクが周囲の様子を確かめると、既にフランチェスカとアルフィナの姿はない。


 そして、横手には二階の角部屋。フランチェスカに教えられたモズの部屋があった。

 一つ深呼吸。それからヒラクは、そのドアをノックした。


「……モズ。いるかな?」


 縮こまりそうになる我が身を奮い立たせ、ゆっくりと問いかける。

 すると、がたり。部屋の中から物音がした。


「モズ?」


 もう一度問いかけるも、返事はない。


 もしかしたら、今のはタイミング良く荷物が崩れただけではないか。

 そんな幻想が、ヒラクを怯ませる。


「話したいことがあるんだ。勝手に話すよ」


 しかし、頭を振った彼は再び声を出した。

 フランチェスカとアルフィナが、危険を冒してまでチャンスを作ってくれたのだ。

 ここで躊躇っている場合ではない。

 モズが室内にいなかったとしても、その時はもう一度……何度でも話せば良いだけだ。

 自分の思いを、真剣に。


「僕は、カムイとずっと迷宮を探索してた。彼女の、パートナーとして。と言っても、僕はカムイの後ろをついていくだけだったけど」


 そんな気持ちを込め、ヒラクは言葉を紡いでいった。

 話せば、勝手にカムイとの思い出が蘇る。


「四年前、象型の魔物が暴れた会場にもいた。あの時の子が君だとは、今まで気づかなかったけど」


 それに翻弄されないよう気をつけながら、彼は自分とモズの出会いについても語った。

 彼女を抱っこしたのが自分だという主張は、しても無意味なので割愛する。

 何より、次の言葉を紡ぐ為には心の準備が要った。


「一年前、カムイは死んだ。リスィを守る守護獣と戦って……」


 ゆっくりと、かみしめるようにヒラクは語った。

 彼女の死について語るのは3回目になるが、未だに沸き上がる後悔をせき止める術がヒラクにはない。


「僕が殺した……ようなものだと思ってる。僕がちゃんとしたスキルを取ってれば。彼女と二人で迷宮に入ることを止めていれば、彼女が死ぬことはなかったって」


 そしておそらく、今はそれを押し殺してはいけない時だ。

 懺悔するように、ヒラクは自らの胸中をモズに語った。


 反応はない。罵倒も、悔い改めよという言葉も。

 ヒラクには、彼女に話さねばならないことがもう一つあった。


「……この間守護獣と戦ったとき、気づいたんだ」


 それはまだリスィにも話していない。

 彼女に話すのは躊躇われた、ヒラクの浅ましい悩みについてである。


「あぁ、僕は一度守護獣と戦いたかったんだって。戦って、勝って、恐怖を乗り越えたかったんだって」


 ぐっと、リスィの体に力が篭もるのをヒラクは感じた。

 自らの片割れが主人に刻んだトラウマ。

 それを改めて感じ、平静ではいられないのだろう。


 それでも、リスィは声を出さず我慢してくれている。


「そうすれば、僕は新しい一歩を踏み出せる。でも、それってつまり、カムイとの思い出を全部嫌な事として扱って、まとめて、奥に仕舞い込んでしまうことになるんじゃないかって、怖いんだ。これ以上彼女のことで悩んだり悲しんだりするのが辛いから、そこら辺の守護獣で安易な決着をつけようとしてるだけなんじゃって」


 それに感謝しながら、ヒラクは自らの思いを語っていった。

 自らの弱さも全てを打ち明けることで、きっと自分たちはわかりあえる。


「彼女を乗り越えて、思い出にしてしまうべきか。それとも思い出に閉じこもったまま、この場に留まるか。僕はずっと悩んでる」


 そう信じて、ヒラクは自らのジレンマについて語った。

 モズもきっと、同じような事で悩むはずだ。

 無理矢理立ち直らなくても良い。自分とて、リスィがいてすらまともに話せるようになるまで数ヶ月かかったのだ。

 だが……自分にもリスィがいたように、モズにも力になれる誰かが必要だ。


「だから、君にも、僕と一緒に考えてほしい」


 最後に、ヒラクはモズへ呼びかけた。

 すぐに答えを出すのは難しいかもしれない。

 それでも、伝えるべき本音は伝えたはずだ。


 いや、なんか忘れてる気もする。

 そうだ。神器の件は誤解だと言っていない。


 ヒラクが言葉を足そうとしたその時――。


 どたぁん!


 すさまじい音がして、突然目の前のドアが吹き飛んだ。


「むきゅっ」


 訳も分からぬまま扉の下敷きになるヒラクとリスィ。

 そんな彼の下腹を、扉の残骸ごと踏みつける足があった。


「モ、モズ……?」


 そう、モズである。

 かろうじてドアの上辺から顔を覗かせるヒラクを見下ろすその瞳には、いつも以上に強い光が宿っている。

 やはり彼女は、カムイを死なせてしまった自分に憎しみを抱いているのだろうか。 


「アンタは……」


 考えるヒラクを前に、モズは口を開いた。

 よく見れば彼女は寝間着代わりなのか、薄手のキャミソール一枚の格好である。

 そんな彼女が、ぐっと足に体重をかけながらヒラクに問いかけた。


「アンタは、何のために探索者やってんのよ!?」


 それは、ネボスケ顔をしたヒラクにはまったく意外な問いであり、彼は谷間を這いだしてきたリスィと共に丸い目をしたのであった。

 

 ヒラノ=ロッテンブリンコ

 平凡な学生としてこの学園へと入学した彼女だが、実は物理攻撃魔法を3年でマスターし、某国によって過酷な戦闘訓練を施された特殊強化型潜入兵である。

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 生き別れの妹の情報を得るため、彼女は国家を巻き込んだ陰謀へと身を投じていく。

 妹が既に学園におり、天滅神涙ティアーズを埋め込まれた生物兵器となって自らの命を狙っているとも知らず……。

 そして、そんな彼女へ自分が恋心を抱いていることにも気づかず……。

 という設定。

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