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97.砂漠の民

簡単なこれまでのあらすじ


黄金小麦たべたいから「死の軍団」たおしたら、むっちゃ感謝されて処刑フラグも遠のいたぜ!!


やったね

チョークの音と共に教師であるウィスダムの声が教室に響く。黒板には地図がかかれており、ブリテンの西側を示している。



「そうして聖王の活躍によって砂漠の民と呼ばれる原住民たちと一時的に和平に応じたのです。ですが、その平和も長くは続きません。食糧不足にな定期的に悩んだ彼らと大きな戦争がおき、痛み分けとなりました。それ以後は私たちとはお互いに相互不干渉を貫いていますね。何か質問がありますか?」



 眠気を必死におさえながら、隣を見るとベディが几帳面な文字でノートに板書しているのが見える。

 建国祭を終えたアーサーも日常に戻り、今はブリテンの周辺にいる原住民について勉強をしていた。



「はい!! 国力ではブリテンの方がはるかに上だと思うのですが、なぜ、和平を結びにいかないのでしょうか? 近隣に敵意をもっている民族がいると不安になると思うのですが……」

「ふむ、良い質問ですね。アーサー様はなぜだと思いますか?」



 もう少しで眠りの世界に迷い込みそうだった時にいきなり話を振られ慌てるアーサー。ウィスダムとベディの視線が彼に集中し焦る。


 まずい……このまま適当に答えればモルガンに言いつけられる。


 眠気もあり半分聞き流していたが脳で必死に答えを考え……死に戻る前の記憶がよぎる。

 


「やつら砂漠の民に強く出られないのはその戦い方のせいだな。砂漠で有利な小回りの利く武器や、地形を使った戦い方、砂漠に強い魔物を飼育し使うことから対策もなしに彼らと戦うのは自殺行為だ。その代わり、やつらも草原や森での戦い方には慣れていないから、そちらで戦えばブリテンの騎士たちの圧勝だ。だから相互不干渉となっているんだ」

「さすがはアーサー様、まるで実際に砂漠の原住民と戦いをみたかのようですね」



 ウィスダムの軽口にアーサーはふっと笑う。なぜならばそれは実際に彼が経験したことだったからだ。そして、先ほどの発言は全て護衛の騎士の言葉である。

 革命が起きて一時期砂漠の方に避難したことがあった。その時の恐怖はいまだに記憶に残っている。

 真っ暗な砂漠で護衛の兵士がどんどんと減っていく恐怖。わけのわからん砂漠の魔物を使役してくるシャーマンなど様々なものに襲われて夜もろくに眠れなかった恐怖、そして、なによりも飯も水もなくしんどかったのである。

 砂漠での貧困は周りの状況が過酷なこともありさらにしんどいのである。もう二度と経験したくないと思うくらいに。



「というわけで砂漠の民は砂漠では強いのですが平地ではブリテンの騎士たちの敵ではありません。死ぬ気で敵が攻めてこない限り問題はないので、相互不干渉を貫いているのです。わかりましたか?」

「はい!! 地域の特性はやはり大事ですね……勉強になりました、ありがとうございます」



 本当に楽しそうにノートを取るベティを見てアーサーはどこか他人事で見ていた。確かに砂漠の民は厄介だ。だが、あれは革命時代に仕方なく砂漠にいったから出会う羽目になったのであり、処刑フラグがなくなっている今やつらとかかわることはないのだと……

 早くケイと黄金小麦でつくった甘いものをたべたいなぁと思うのんきなアーサーだった。



 ★★★


「さすがはアーサー様ですな、すでに砂漠の民についてあんなに調べていたとは……」

「となると、もしかして、この事も予測していたのかもしれないわね。どこまで先をみているのかしら。あの人は……」



 勉強を終えたウィスダムが報告しに行くとモルガンが感嘆の声をあげる。それは先ほど部下から来た報告書に書かれた問題が発生することを予見し、あらかじめ調べていたかのような言葉だったからだ。



「それにしても砂漠の民が我々ブリテンに牙をむくなんてね……戦争になったら国力の違いであっちが負けるってわかっているでしょうに」



 モルガンは手紙を握りしめながら砂漠の民からの報告のあった国境の方を眺め険しい顔をするのだった。


新章になります。明日もお楽しみに


また、今月に29日にこの作品の二巻が発売されますので、よろしくお願いします。


表紙はアーサーとガウェイン、マリアンヌとなります。

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