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96.革命への灯

「アーサー皇子をどう思うかですか……?」



 アイル領の領主の館でアルバートは重要な客と会食をしていた。その客は王都にすんでいるというのにこんな地方にまで定期的に足を運んでくださり、不平や不満などを聞いてくれるのである。

 そんな相手だからこそアルバートは嘘はつかない。



「そうですね……権力を持った生意気な子供という印象でした。去年までは……」

「ほう、それが変わったということかな? 彼の横暴で苦労していたとぐちっていたと記憶しているが……」

「そうですね、ですが今年はあの人は民衆に紛れて海水浴を楽しんでいたのです。おかげで貴族たちも自分だけ特別扱いしろとは言えなくなりました。なにせ、王族がそれを拒否したのですから」



 来客の言葉にアルバートは頷くと、窓をあける。すると、海岸からは陽気な音楽が聞こえてきて、 皆が楽しんでいるのがわかった。



「この音楽と海岸という一見関係ないもの文化を結び付けてくださったのがアーサー様です。あの人は我々に新たな観光の可能性を教えてくださったのです」

「ほう……」

「そして、それだけではありません。不仲と噂されていたモルガン様をアーサー様が仲睦まじそうに一緒に歩いていたことを目撃されてからはここは恋人の地という風に噂されるようになりお客様が増えたのです」



 客が増えれば商人たちの儲けや税収も上がる。そして、その大半がカップルということもあり、客の質も良く治安の悪化にもつながらずアルバートは感謝すらしていた。

 男が好きな女性の前で格好つけるのはどこでも同じなのである。



「なるほど……だが、それは偶然ではないかな? あのアーサー皇子がそこまで考えているとは思わないが……」

「いえ、あの人は私にこうおっしゃったのです。『お詫びにできることならば力にならせてくれ』と……おかげで、去年減った分の税収を取り返すことができました。それに、噂ではあの人の英知が聖女様や小麦を救ったとも聞きます。おそらくあの人は爪をかくしていたのでしょう」

「そうか……それならばよかった」



 まるで信仰する神について語るような熱量のアルバートに来客はうなづき話を聞く。

 そして、国に一切の不満を持たなくなった彼は革命に参加することはなかったのである。



★★


「ここもダメだな……」



 アルバートの屋敷を後にした来客……アグラヴェインは革命の灯が急激に消えていくのを感じていた。

 去年のアルバートの瞳は理不尽な大貴族とその長であるアーサーに対して強い憎しみを抱いていた。だが、それが今の彼からは一切消えていたのだ。



「まさかあの男はこんな地方まで見ていたというのか……」



 治癒能力しか能がなくシーヨクにいいように利用されていた印象が強いアーサーの予想外の動きにここ最近の彼は翻弄されっぱなしだった。

 このままではまずい……アーサーがいれば革命は難しくなるだろう。ならば……



「物理的に排除するしかあるまい。アーサーを戦乱の地に送るぞ」

「はっ!! ですがかのアーサー皇子の治癒能力は本物です。生き延びて英雄にでもなられたら面倒では?」



 部下の言葉にアグラヴェインはふっと笑う。



「剣鬼ランスロットを釈放しろ。やつは女癖と女の趣味は終わっているが騎士としては一流だ。そして、主と認めない人間にはごみの様に扱う。アーサーのような人間とは相性が悪いだろう」



 これまでの考えからアグラヴェインは一つの仮説を立てていた。アーサーの伝説は作られたものであると……

 おそらく、彼の本性は保身ばかり考えている世間知らずの愚かな人間だ。人はそう簡単には変わらないと彼は知っている。そして、この好評を支えているのはモルガンに違いないと……

 ならばそのサポートが通じない場所につれていってしまえばいいのだ。


 そうして、アーサーへの新たなフラグがたっていくのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] >やつは女癖と女の趣味は終わっている 絶対人妻スキーに違いないゾ >そのサポートが通じない場所につれていってしまえ モルガンさんのささやかな幸せを壊す モルドレッド許せない~ 心臓を抉り出…
[一言] 女の趣味が終わっている…例えば熟女好きとかまな板至上主義とか癖がすごいのかなw
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