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78.モルガンの悩み

「アーサー皇子ったら、随分と性急に動いたわね……これだけ急ぐということは何かあるのでしょうね?」


 

 モルガンはアヴァロンの自室にて、彼の出し物に関してまとめた書類を見ながらうーんと唸る。それも無理はないだろう。

 モルガンの見立てでは、アーサーが王になるには例年通り治癒能力を披露するのが最善だったはずだ。確かに、今年はロッド皇子が『黄金小麦』なるものを出してきたが、それでも接戦であり、最近の活躍がある分アーサーの方が評価は高くなる予想だった。



「だとすると、今回あえて『ライス』を使った料理を出すと決めたというのには意味があるってことよね……」



 部外者の、しかも平民の料理を出すということで随分と揉めたが、料理人が礼儀を知っていたことと、何かあればモルガンが責任を取り、アーサーが治癒するということでなんとか了承を得たのである。



「しかも、わざわざロッド皇子が料理を出すタイミングで、それに対抗するように料理を出すなんて……まさか、それが狙い? でも、わざわざ不利な状況で戦う意味がないわよね。まさか思い付きってわけでもあるましし……」



 アーサーの思考が読めずに難しい顔をするモルガン。思考も何もそのまさかの思い付きなのだが、彼の評価が高いモルガンはそんなことは頭にもよらなかった。



「まったく、私にちゃんと考えさせるためでしょうけど、もうちょっとヒントくらいくれてもいいのに……そういえば、彼は魔物がどうとか言っていたわね……」



 先日ライスをたべながら話し合ったことを思い出してまとめた資料を取り出す。遠くの国で五大害獣が現れたという報告書である。

 そして、その国と、ブリテンは交流があり、定期的に貿易もしているし、今回の件で食料援助もおこなっている。



「待って……そういえばアレの特性は……」



 嫌な予感がしたモルガンは新たな資料を取り出して、目を通す。そして、点と点がつながったのを確信し、部下を呼びつける。

 


「モルガン様、どうされました?」

「商人たちに建国祭りの最中まで、港の積み荷の確認をいつも以上に徹底して確認するように命じて!! 私兵が足りないというのなら国から援助するとも言っておきなさい」

「はっ!!」



 これで最悪の事態は防げるだろう。そして、もしも何も出なくても、『建国祭』の警備のために強化したといえばいいわけにもなる。



「あとは……これをどうするかね?」



 一つ問題が解決したモルガンはおおきくため息をついてから、飾られているドレスを見つめる。これはブリテンではなく、異国で流行っているというドレスであり、先ほどアーサーの使いがプレゼントとして、持ってきたものだ。

 普通ならば婚約者がパーティーの前にドレスを送るというのは珍しいことではない。将来結婚する相手にに美しく着飾ってほしいという思いと、二人の関係が順調だともアピールできる。

 そう、普通ならば……



「こんなのを着てきたらロッド皇子の派閥に喧嘩を売っているようなものじゃないの。何を考えているのよ、アーサー皇子……」



 そう、異国の最新鋭というのがまずい。伝統を重要視するロッドの派閥に喧嘩を売っているようなものだからだ。

 アーサーに何らかの考えがあるだろうが、普通ならばいくらなんでもと一蹴し、もっと小規模な集まりに着ていくところだ。だが、もしも……もしもだ……想い人が自分に似合うと思ってプレゼントしてくれたというのなら……

 


 自分の乙女心が揺れモルガンは珍しく迷うのだった。

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