26.意外な名産品
毒を持つ魔物が現れたのは、ここから馬車で三時間ほど走った村らしい。どんな場所かと聞くと、意外にもトリスタンが答えてくれる。
「ああ、そこは極ウマ鳥の名産地なんですよ。この村の奥に生えている植物だけを餌にして育つため、あの独特のウマ味が出るらしいですよ」
「ほう……じゃあ、助ければお礼として極ウマ鳥をふるまってもらえるかもしれないな」
「いいですね、あの鳥とっても美味しいですよね。もしも、いただけたら私が調理しましょうか?」
アーサーが乗り気になっていると、ケイも嬉しそうに笑顔を浮かべる。城ではシェフがいるので、手料理を食べさせることができないが、この状況ならばと……声を上げたのだ。
屋台で庶民の味を喜んでいる彼に家庭の味も味わってほしいのだろう。いや、おねえちゃんぶりたかっただけかもしれないが……
「いいな!! やる気が出てきたぞ!!」
「うふふ、楽しみにしていてくださいね。それに私も新鮮な極ウマ鳥を食べるの楽しみです!!」
ケイの言葉でアーサーのやる気が100上がった!! 実に現金である。そもそもアーサー自体はエレインに勝つという気持ちだけで治療をしようとしてたのだ。ケイの手料理や極ウマ鳥というご褒美のおかげでよりモチベーションがあがる。
そして、そんなことを話している間に、エレインの馬車と同じタイミングで村につく。
「これはこれは、聖女様だけでなく、アーサー様までも来てくださるとは……」
「出迎えありがとうございます」
「挨拶はいい。それよりも治療が必要な人間の元に案内してくれ」
村長らしき老人がアーサー達を出迎えるが、ついつい急かしてしまう。エレインが驚いた眼で見ているが、ケイの手料理が食べたくて気が急いていたようだ。
「確かにそうですね……形式的な挨拶よりも負傷者ということですか……村長、事態は一刻を争います。よろしくお願いします。アーサー様もやる気でいらっしゃるようですね」
そう言うと彼女はアーサーを見てほほ笑んだ。その態度は先ほどアーサーが挑発する笑みと重なって見えて……アーサーは一つの考えに至る。
なるほど……お前なんかに負けないってことだな。宣戦布告か!! 俺の方が優れているって教えてやるよ!!
見当違いに気合を入れるのだった。
聖女とアーサーのバトルはどうなるのか?
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