135.聖剣の力
「させるものですか‼」
「私はバットエンドよりもハッピーエンド派なんですよ」
『……‼』
地面から生えるように生み出された氷の壁がその一撃を、砕け散りながらも防ぎ、そのまま宙にいる『終焉の猫』を矢が射貫く。
「アーサー様大丈夫ですか?」
「みんな……俺はケガをしてもすぐに治るのになんで……」
震えた声で問うアーサーにケイがほほ笑む。『終焉の猫』という強力な相手に彼女も怖いだろうに安心させるようにいつものように微笑む。
「だって、さっきつらそうな顔をしてたじゃないですか? あなたにつらい思いをさせたくないって思ったら勝手に体が動いてました」
「ケイ……」
えへへと笑う彼女を見て自分の胸の暗い感情が消えていくのを感じた。
「トリスタン‼ アーサー皇子が立て直すまで時間を稼ぎなさい、いいわね」
「お任せを‼ ただ、時間を稼ぐのはいいですが、あれを倒してしまっても構いませんね」
先ほどの一撃でターゲットを変えた『終焉の(パ)猫』に追いかけられながらモルガンとトリスタンがひきつける。
アーサーが再びたたかうと信じて……。
「ああ、そうだよ……なんで戦うかだって? 俺はこいつらを守りたいって……思ったから戦うんだよ」
確かに最初は処刑フラグから逃れるためだった。だけど、ケイが俺を慕って……ほかのみんなも俺を信じてくれた。そんな彼女たちを守りたいって思ったんだ。だから、俺は聖剣を握ったんだ。
「ケイ……俺の手を握ってくれないか? 負の感情なんかに負けないようにお前のぬくもりが必要なんだ」
「はい、任せてください‼」
いきなりのアーサーの提案にもケイは躊躇なく従う。それがアーサーに……聖剣にさらなる力を与えてくれのを感じ守護精霊の言葉を思い出す。
「『終焉の猫』は人の負の感情を喰らって魔力にする。だから、憎しみに負ける人間はやつには勝てない。臭いことを言うのなら愛と勇気や、希望などの暖かい感情で打ち勝つんだ」
そう、あいつは言っていた。だから、アーサーは咄嗟に自分にとっての最初に暖かい感情を教えてくれた彼女を連れてきたのだ。
「『終焉の猫)』‼ こっちをみろ。お前の相手はこの俺、アーサー=ペンドラゴン様だ‼」
『……‼』
聖剣がかつてないほどの輝きを見せていく。それに『終焉の(パ)猫』が反応するももう遅かった。
アーサーが聖剣を高く振り上げると、叫び声と共に一気に振り下ろした。
「ケイたちは俺が守る‼」
『……‼』
聖剣から圧倒的な光の奔流が生み出されてそのまま叫び声をあげる『終焉の(パ)猫』ごと部屋全体を飲み込んでいく。
そして、部屋全体に広がった光が収まったあとに『終焉の(パ)猫』の姿が消えたことを確認したアーサーはにやりと笑い……その意識が闇に飲まれて行った。




