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125.聖剣の試練

 森の奥へと歩みを進めると、木々の隙間から眩い光が差し込み、視界が一気に開けた。そこには、静かにたたずむ泉が広がっており、何かが突き刺さっている石台のようなものが見える。

 そして、その石台の前にはロッドとメイド十四番がたっていた。いや、その二人ではない半透明のフードを被った人型の何かがいるのも見える。


「……行くぞ」


 見知らぬ何かに警戒しながら進むと、足音に気づいてロッドが一瞬こちらに視線を送るもすぐに正面を向きなおす。

 まるで、目の前のフードの人影から目を離すなとばかりに……。


『やあやあ、みんな揃ったようだねぇ。それでは試練をはじめようか。二人ともあいつの血を継いでいるようだ。君たちには資格がある』

「うお? こいつしゃべるのか‼」


 どこか軽薄な口調でしゃべる人影にアーサーが思わず驚きの声をあげると、それは楽しそうに語りだす。


『もちろんさ。マーリンによってつくられし、この聖剣の守護精霊だからね。それくらいできて当たり前だろう』

「マーリン……聖王の仲間の魔術師ね……確かに彼なら精霊を従えることくらいたやすいかもしれないわ」



 アーサーとておとぎ話でだが、マーリンの名前は聞いたことはある。聖王の仲間で強力な魔法で彼を助けたという。



「全員揃ったんだ。もういいだろう。俺が先についたというのに、全員揃うまで待たせやがって……」

『はい、君減点‼ せっかちな男はもてないし、王の器ではないと判断するよ』

「なっ⁉」

「ロッド様、相手は守護精霊です。うかつなことは言わない方がいいかと……」



 ぐぬぬとうめき声をあげるロッドをメイド十四番がなだめる。その光景をにやにやとみている守護精霊にモルガンが問いかける。



「さっきから試練って言っているけどなにをするのかしら?」

『ああ、簡単なことだよ。気づいていないかもしれないけど、この森では嘘はつけない。精霊たちの力で本心をさらけ出すようになっているんだよ。そう、この聖剣の試練では本心でむかってもらうためにね』

「本心……」

「ですって……」



 守護精霊の言葉に先ほどのやり取りを思い出して顔を赤らめるアーサーとモルガン。確かに普段は胸に秘めていたことを言ってしまったのだが……。

 羞恥のあまり深く追求するのはやめようと思った時だった。



「なるほど……モルガン様がデートに誘ってとアピールしていたのも、アーサー様がモルガン様を大切にしているとおっしゃっていたのもすべて本心だということですね‼」

「いや、あれはだな……」

「だまりなさい、トリスタン‼」

『ふふ、やはり君たちは彼の子孫だね。面影があるよ』



 トリスタンを睨みつけるアーサーとモルガンを見て、ひとしきり笑った後、守護精霊は石台に突き刺さっている古い剣を指さした。



『じゃあ、この剣に触れてもらっていいかな。そうすれば試練ははじまる』

「アーサー、わかっていると思うが俺が先だ。いいな?」

「ああ、もちろんだ。気を付けてくれ」



 アーサーを目で牽制してから一歩前に出て聖剣に触れようとするロッド。そんな彼の服おすそを引張るものがいた。



「なんだ、メイド十四番」

「ロッド様……聖王様のことです。命に別条のあるものではないと思いますが、お気を付けください。無理だと思ったら逃げるのも手だと私は思います」

「ふん、皇子である俺が逃げるものかよ」


 ロッドが乱暴にメイド十四番の手を振り払うと、彼女は小さく「あっ」と声をあげて無表情を崩し、悲しそうな顔をする。



「だが……心配してくれてありがとう。ルドミラ」

「え……」



 ロッドの言葉にメイド十四番と呼ばれていた少女……ルドミラが驚きの声をあげ、ロッドは信じられないという表情を浮かべ逃げるように聖剣に触れる。



「ロッド様‼」



 すると、彼の体が輝き……意識を失って倒れた。




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