118.いざロッドの元へ
直接会話することを望んだアーサーだったが、大きな問題があった。
「それでロッドはどこにいると思う?」
「定石で考えればカーマイン男爵の元で騎士たちの報告を待っていると思いますが……」
「それはないわね。ロッド様は武闘派な上に目立つのが好きな方よ。必ず前線に出てくるわ」
いざ、ロッドを説得しようにも居場所がわからなければどうしようもない。アーサーにモルガン、トリスタンが頭を抱えているとミランダが手をあげる。
「それならば、私たち砂漠の民がサンドウォームを使って探索します。顔はわからずとも何か特徴を教えてくれれば見つけられると思います」
「それは嬉しいけど……相手は躊躇なく攻撃してくるわ。あなたたち砂漠の民に危険が及ぶ可能性があるのよ」
和平のために砂漠の民が負傷することを危惧するモルガンだったが、ミランダはそれでも譲らない。
「そうですね。でも、それはアーサー様たちも裏切り者だと勘違いされ攻撃される可能性があるんですよね、だったら同じじゃないですか」
「俺は傷を負わないがお前らは普通に怪我をするだろう? それにブリテンの人間である俺たちならば手加減をしてくれるかもしれないが、砂漠の民にはあいつは容赦しないだろう」
「それでもですよ……私は……いえ、私たちはあなたたちが命をかけてくれているのにただ見ているなんてできません。砂漠の民はアーサー様と共に生きると決めたのです。それに……怪我をしてもあなたが癒してくれるでしょう?」
くすりと笑うとミランダは口笛を吹いてクリムゾンアローを呼ぶ。そして、ミランダが乗るとその背後から抱き着いてきたのものがあった。
「まて、ならば俺も行く。砂漠の民にだけかっこいい所をもっていかれるわけにはいかないからな」
「ちょっとアーサー皇子⁉」
モルガンが驚きの声を上げるがアーサーは止まらない。
「大丈夫だ、俺はロッド兄さんと仲良しだからな。それにハーヴェもこれを見せれば納得してくれるだろう。お前らは砂漠の民の非難を頼む」
「いつの間に……」
「ふふ、勇敢ですね、アーサー様」
胸元から万能の木の実を取り出したアーサーに驚くモルガンと頼もしそうに主を見つめるトリスタンに見送られてクリムゾンアローは進んでいく。
「アーサー様……あなたは本当にすごいですね、砂漠の民であるわたしたちのためにここまでやってくださるなんて……」
「俺のメイドのケイが読んでくれた本にかいてあったんだよ。一度冒険をしたら仲間だってな。そして、仲間を助けるのは当然のことだ。心配するな、俺に策がある」
「ふふ、本当にアーサー様は素敵で頼りになります」
どこかうっとりした表情でアーサーに抱き着かれているミランダは知らない。アーサーがロッドと仲良しだというのは彼の一方的な思い込みであるということを……。そして、アーサーの考えはその間違った思い込みを前提に考えられているということを……。




