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115.うたげと新たな危機

「アーサー様とミランダの勇気に乾杯!!」

「「乾杯!!」」



 カリムの合図で砂漠の民たちが騒がしく声をあげる。来たときはまるでお通夜だったというのに、今はブリテンの建国祭すらもかくやという熱気である。

 アーサーが万能の木の実を成長させると、砂漠の民たちは狂喜乱舞しながらお祭りの準備を始めたのである。



「うう……久々にお酒がのめる。ごはんも食べられる……今年はお祭り何てできないとおもっていたのに……」

「そんな泣くようなことなのか? いつでも騒げるだろう」

「アーサー様……我々にそんな余裕はありません。魔物の世話や、常に変化する砂漠の観察など危険でやることがたくさんありますし、そもそもが裕福じゃないですからね……そんな、我々はこの年に一度の砂漠の民の誕生祭を楽しむのです。ほら、クリムゾンアローもおなかいっぱいたべていいんだよ……」



 ミランダが酒の入ったコップを片手に号泣しながらクリムゾンアローに餌をあげている……が、これは何も大げさなことではない。

 砂漠の民の生活は質素倹約である。過酷な生活環境の為めったに贅沢はしないのだが、その代わり年に一度の明日も考えずに騒ぐのである。この一日を楽しみにみな生きていたのだ。

 だから……このお祭りが無事に行われたことへの感動はアーサーが想像するよりもはるかに大きかったことを彼は知らない。



「さあさあ、アーサー様もよかったのんでください。こちらは、サボテン果肉を蒸留したお酒でして、度数が高いので夜のお供なんですよ」

「ああ、じゃあいただこうか……あ!!」

「だめよ、お酒は思考を停滞させるでしょう? こっちのサボテンジュースにしておきなさいな」



 ミランダが渡してきたお酒を取り上げると、モルガンが自分の持ってきたジュースを押し付けてくる。

 別に酔うことはないんだけどな、と思いつつ甘いものが好きなので遠慮なくもらう。ひときわ騒がしい方を見るとすっかり酔っぱらい顔を赤らめているトリスタンが楽器を弾きながら歌っているのが見えた。



「あれはいいのかよ」

「彼は……騎士ですもの、お酒が入っても戦えるのよ。多分……」



 モルガンも半信半疑といった感じで、トリスタンを見つめていると背中からトントンと叩かれる。

 振り返ると市場にいた少女が満面の笑みを浮かべて万能の木の実のローストをもっていた。


「お兄ちゃんすごいね、クッキーだけじゃなくて万能の木の実も私たちにくれるなんて!!」

「ああ、あの時の子か。たくさん食べているようだな。今度来たらまたクッキーももってきてやるよ」

「本当に優しいね。お礼に一緒におどってあげようか?」

「踊り……?」

「ごめんなさい。彼とは私が踊る約束をしているの」

「そっかーざんねん。じゃあ、そこの目つきの悪いおねーさんとあとに私と踊ってね」



 そういうと少女はさっていく。モルガンは「私ってそんなに目つきが悪いかしら」とショックを受けているようだが、気を取り直したようにコホンと咳ばらいをすると、アーサーの手を取って顔を赤らめながら言った。



「よかったら一緒に踊ってくれないかしら? このまま和平を進めるならば彼らの文化に触れておくことも大事だと思うの」



 モルガンの指さす方をみると何人かの同世代の男女がトリスタンの演奏に合わせて宇踊っているのが見える。

 彼は時々指笛までふいているからノリノリである。



「あー、なんだか薪の周りで踊っているな。だが、砂漠の民のダンス何てわからないぞ」

「うふふ、ご安心を。音楽にのって適当に体を動かすだけです。ここでのダンスどう踊るかよりも誰と踊るかが大事ですから?」

「?」



 いたずらっぽく笑うミランダとなぜかより顔を赤らめるモルガンを疑問に思いながらも、薪の方へと向かうと、一人の影が立ちはだかった。



「ランスロット……悪いけど私はあなたとは踊らないわよ」

「はい、もちろんです。アーサー様は一人の女性を守るだけの器があります。それこそ、わたしなんかよりもずっとね」



 なぜかウインクをしたランスロットが砂漠の民から楽器を借りて演奏する。



「砂漠の民はお祭りの時に生涯を誓った人と共に、踊ると精霊の加護が得られると聞きます。不肖ランスロットが恋人たちの未来を祝いましょう」

「お前楽器なんてできるの?」

「ふふ、私は何でも人並み以上にできるのです。ましてや楽器を弾けると人妻受けがいいですからね」


 どうでもいいことを聞いてしまった……とアーサーが後悔していると隣のモルガンがなぜか険しい顔をしているのにきづく。



「あー確かに婚約者とはいえ、こういう風習があるのに踊るのはお前も嫌だよな。だったら……」

「いいから踊りましょう。ここまで来たら変な目でみられるでしょう?」



 強引に薪の方へと駆け出すモルガン。もちろん照れ隠しなのだがアーサーにはわかるはずもない。

 そして、トリスタンとランスロットの演奏の中二人は踊る。それは建国祭りの時とは違い自由だけど、どこか気品があり周囲の人間たちが注目していく。



「もう……心配したんだからね。でも、無事でよかった」

「ああ、いきなりいってわるかったな。お前の魔石のおかげで助かったよ」

「そう……私の力はちゃんとあなたのためになったのね」



 そう言ってほほ笑むモルガンはいつのもこわばった笑顔ではなくとても可愛らしくて……つい、アーサーも赤面してしまう。



「なによ……あなたが、私の笑顔がこわいって言うから頑張ったのよ。なんとかいいなさいな」

「あー、えーその……」


 なんだろう。不思議とどきどきしてしまった。そして、アーサーがモルガンに言葉を急かされている時だった。



「大変だ。ブリテンの軍が攻めてきたぞ―――」

「「なっ」」


 当りの空気が一気に重いものに変わっていくのだった。


書籍二巻現在発売中です。

よろしくお願いいたします。


また、これで一区切りさせていただきます。


アーサーは砂漠の民とブリテンの戦いをとめることができるのか? ランスロットはどう動くのか? 

お楽しみに!!

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テキーラか~。
おなかおっぱい って誤字ですか?w
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