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111.アーサーの新たな力

 はーーーー? 何をいっているんだ。こいつらは? わかるわけがないだろう。


 期待の目でみられながらもアーサーは内心むちゃくちゃ焦っていた。だって、彼は聖王ではないのだ。

 治癒能力しかないアーサーには解決策など思いついてもいない。だが、なんにもわかりませーんといったらどうなるのか? ランスロットとかむっちゃ機嫌悪くなりそう……と前世を思い出して冷や汗をかくアーサー。



「とりあえずマグマとやらがどんなものか試してみるか」

 

 どうせ、痛みも感じないし回復しつついけばおよいでいけるかな……と右足をマグマに突っ込もうとした時だった。



「アーサー様!? 正気ですか? 即座にとけてしまいますよ!?」



 それまでどこかためすような様子だったランスロットが慌てて、おしとどめるとその時に彼の仕込みナイフが一本落ちて、じゅっと蒸発してしまった。

 金属ですらこれなのだ。アーサーのようなひ弱な人間は瞬時に溶けるだろう。



「なにこれ、やば!!」

「いったい何を考えているのですか!! マグマに落ちればアーサー様ですら再生と破壊を繰り返し永遠の苦しみを味わうことになるかもしれないんですよ」



 珍しく動揺しているランスロットにえらいことをしてしまったなと焦るアーサー。ここで泳げるかな? と思ってましたとか、言ったら一気に好感度が下がって見捨てられそうである。

 助けを求めてミランダを見つめると……彼女はわかっていますよとばかりに頷いた。



「ランスロットさん……本当にわからないのですか?」

「え?」

「アーサー様は今、あなたの忠誠心を試したのではないでしょうか?」

「な……確かにこのナイフは……なるほど……私が本当に助けるかを試したのですね。おそらく、この先の試練は我々三人が力を合わせなければクリアできないほどに難しいということなのでしょう?」

「あ…ああ」



 ランスロットが心得たとばかりにこちらを見つめてくるので思わず頷く。アーサー。

 だが内心は無茶苦茶あせっていた。



 やっぱりランスロットのやつは俺を試していたのかよ……というか、結局この状況をどうすればいいか思いつかないんだけど……



 何か良いものはないかと思うが、彼が持っているのはクッキーと、モルガンに持たされた魔石である。

 ん? まてよ。そこでアーサーは一つの考えに気づいた。モルガンの魔法でマグマとやらを凍らせてしまえばよいのではないだろうか?

 どのみちダメ元である。マグマの方が熱いのでは? という考えがよぎるが、そこは彼も治癒魔法に関してはスペシャリストである。『死の軍団』との戦いによって新しい治癒魔法の使い方をマスターしていた。



「任せろ。俺が道を作って見せよう」

「おお、さすがはアーサー様です!!」

「魔物は私にお任せを。次は必ずや倒してみせましょう」



 二人の視線が集中する中アーサーの手にある魔石から氷の魔法が解き放たれて、一瞬だが、マグマが冷えて氷つく……が、即座にマグマによって飲み込まれそうになった時だった。



「うおおお、治れぇぇぇぇぇ!!」



 アーサーが治癒魔法を向けたのは魔石が生み出した氷である。そして、彼の魔力を受けた氷は徐々大きくなっていき、やがて、万能の木の実が生えている広間まで伸びていく。

 そう、黄金小麦の時に植物を治癒したアーサーは思ったのだ。魔力をもつものを癒すことができたのだから、魔法だって癒せるのでは? と。

 それは常識にとらわれない発想だったが、治癒に関してだけでは自分の才能を信じ切った彼だからこそできた荒業である。



「これは……氷の道……伝承の通りです……ならば私も己の相棒を信じます。初代族長のように!! クリムゾンアローちゃん!!」

「ぎゅるるるるる!!」



 ミランダが笛を吹くと同時にクリムゾンアローは三人を抱えながら氷でできた道を行く。だが、アーサーが集中している間も氷の道へと溶岩魔人が上り氷が解けていく上にこちらへと向かってくる。



「それ以上はさせませんよ」



 それは美しい銀の一閃だった。ランスロットの剣は溶岩魔人の足を見事に切り裂き、再び溶岩へとおちていく。倒すことはできなくともこれならば足止めには十分である。

 剣の天才である彼は一度切っただけで、溶岩魔人の重心を見抜いたのである。



 そして、三人が無事にたどり着くと、そこにはたくさんの木々が生えており虹色の実がなっていた。



「これは……まさか、初代様の伝言……」



 そして、彼女はそこにある石板を見て大きな声をあげるのだった。


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