106.砂漠の民のお願い
砂漠の民との約束の為、カーマインの屋敷から抜け出したアーサー、モルガン、トリスタン、ランスロットの四人はミランダとの約束の場所へときていた。
あまり目立つわけにはいかないこともあり護衛は最小限の人数である。
「砂漠の夜は寒いし暗いな……」
「ええ、そうね……もしも、遭難したら大変なことになりそうね」
肌寒いそのの気温にケイがいたら暖めてくれるんだろうなぁとちょっと寂しく思っているとモルガンが不吉なことを言う。
確かに砂漠は景色はどこも変わり映えがしないし、なんだかお化けとか出そうだし、一人だったらビビってしまいそうである。
「ご安心を、お二人は私が守って見せますよ。むしろ、困難は愛を育むといいます。この旅を終えたときにはお二人はもっと仲良くなっているかもしれませんね」
「……余計なお世話よ」
トリスタンがじろりと睨まれて、ランスロットが苦笑している。そんなモルガンを見て、あいかわらず怖いなぁとアーサーがくだらないことを言ってにらまれた過去を思い出してビビっている時だった。
「大変お待たせいたしました。アーサー様」
「……!!」
背後から気配を消した何者かが声をかけてくるものだから、アーサーはお化けかなと思わず悲鳴をあげそうになってしまった。
「おお、ミランダ殿。今回はずいぶんと大人しい恰好ですね、あなたの魅力すらも隠してしまってもったいないです」
「申し訳ありません……あまり目立つわけにはいかないのです」
ランスロットの言う通り全身をすっぽりフードで隠しており、かろうじで顔が見える程度だ。
これから彼女たち砂漠の民の拠点にいくのでは? とアーサーが疑問に思っているとモルガンが少し険しい顔をした。
「ということはあなたた砂漠の民も一枚岩ではないということね」
「はい……異国の人間の力を借りるのに抵抗があるものも多いのです。ですが、今の私たちではこの食糧危機を脱することはできないのです」
「なるほど……それが黄金小麦を奪ったことと関係があるのかしら?」
「はい……詳しくは荷車の中でお話をします。馬と違って少し荒々しい運転になりますがご容赦ください」
「馬じゃないのか?」
「はい、苦手な人は多いですが、とってもかわいいんですよ」
怪訝な顔を浮かべるアーサーにミランダがちょっと得意げに答えるのだった。
「うおおおお、なんだか、かっこいいし、無茶苦茶早いな!!」
「そうでしょう、そうでしょう、このクリムゾンアローはサンドウォームの中でも優秀なんです。この触手とかララブリーでとってもかわいいし、つぶらな瞳もキュートだとは思いませんか?」
「ああ、いいなぁ!! 強そうだし、ブリテンにも欲しいな!!」
「しかもですね、我らの里にはオアシスがあるので流砂も多いのですが、この子たちはそれも察知して移動してくれるんです。彼らは私たちにとって必須なんですよ」
今、アーサーたちがのっている荷台を引いているのはバザーで襲ってきたサンドウォームである。
手足のない芋虫のような魔物が砂漠を猛スピードで走る姿はぶっちゃけ怖い……
だが、精神年齢が幼いアーサーはまるで子供のように珍しい乗り物に興奮していたのだが……
「どうしたんだ? 顔色が悪いぞ」
「……別に何でもないわ。ただその……蛇とか芋虫みたいな手足がない生き物が苦手なのよ」
「そうなのか、ならば席をかわってやるよ」
顔色が悪くなっているモルガンに声をかけるとそんなことを言う。性格は蛇みたいなのになと思ったが口にしなかっただけアーサーも成長したと言えよう。
せっかくだし、近くで見たいなと窓際のモルガンと席をかわるアーサー。恩は押し付けられるし、サンドウォームをまじかに見れて一石二鳥とテンションがあがる。
そして、落ち着いたころを見計らってミランダが口を開く。
「砂漠の民を襲っている危機なのですが……皆さんは『死の軍団』をご存じですよね?」
その名前にアーサーたちはもちろん、彼らを黙って見守っていたトリスタンとランスロットも息を飲むのだった。
今月の29日にこの作品の二巻が発売されますので、よろしくお願いします。
表紙はアーサーとガウェイン、マリアンヌとなります。
よろしくお願いします




