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101.ランスロットとアーサー

「あいにくね、私には護衛も婚約者もいるの。だいたい知らない相手に触られるのは不快よ。アグラヴェインは部下に礼儀もおしえていたいのかしら?」



 ぱしんと手をはたくとそのままアーサーの元に身を寄せるモルガン。紫髪の騎士は気にした様子もなく、笑顔をうかべて口を開く。



「失礼。あまりの美しさに正気をうしなっていました。自己紹介がまだでしたね。私の名前はランスロットと申します。今回のリーダーを務めさせていただいています」

「「なっ!?」」

「ランスロット……ですと……」



 礼儀正しい挨拶した騎士の名前にアーサーやモルガンだけでなくトリスタンまでも驚きの声をあげる反応する。

 騎士の間でも有名なのかと小声で問うアーサー。



「はい、剣技が優れていることはもちろんの事、戦場の指揮の腕も高いことからブリテン最強の騎士と呼ばれています。そして……」

「そして……なんだ?」



 無駄にためるトリスタンがにこりと笑って続きを言った。その瞳には尊敬の念すらもある。



「人妻好きとしても有名ですね。少し前まで貴族の奥方と通じていた罪で牢獄に入っていたそうです。禁断の愛……素晴らしいですね」

「うわぁ……普通にだめだろ……」



 げんなりした顔でつっこみをいれるアーサー。だが、その言葉にモルガンは険しい顔でまゆをひそめた。

 なぜならば、面子を重視する貴族の妻を寝取って処刑されないというのはそれだけその戦力を重要視されているということである。

 例えばトリスタンやガウェインクラスの騎士ですら処刑はまぬがれないのである。



「それでは参りましょう。砂漠では水分が何よりも大事です。準備を怠らぬよう」



 そういうとランスロットは騎士たちを従えるべく自分の馬を駆っていく。



「では、我々も行きましょうか。それにしてもランスロットが声をかけたということはアーサー様とモルガン様が夫婦に見えたのでしょうか?」

「「なっ」」



 アーサーとモルガンが同時に声を上げるが、お互いの反応は違う。アーサーは困惑で、モルガンは羞恥である。



「何をしょうもないことを言っているんだ。さっさと行くぞ」



 またトリスタンの恋愛脳がはじまったなとため息をつきながら、モルガンの手を取ってエスコートするとなぜか、顔を赤くして彼女が固まっているのに気づく。



「どうした?」

「いえ、なんでもないわ。ありがとう」

「あ、ああ……」



 いつもと違いなぜか小声のモルガンに変なものでもたべたのか? と不思議に思うアーサー。

 まだまだ鈍感だが口にしなくなっただけ成長したと言えよう。




 行軍は恐ろしいほどスムーズに進んだ。途中山賊などに襲われることもなく砂漠の民と境にある辺境伯の元へのたどり着く。


「無茶苦茶順調だな……もっと、問題とか起きると思っていたが……」

「ランスロットの力でしょうね。あの男が危険を察知して安全なルートを選んでいるのよ」

「かの騎士ランスロット卿は砂漠の民との小競り合いでも成果を上げていましたからね。何でも重要人物を捕らえたとか……ここら辺の地域にはとても詳しいのでしょう」

「ほう……まあ、俺だって砂漠の民なんて敵じゃないけどな」


 モルガンに続きトリスタンまでランスロットを褒めるものだからちょっともやっとするアーサー。



「何を言っているのよ、あなたは本当なら戦ったりしてはいけないのよ」

「むう……」



 モルガンは彼を心配しているだけなのだが、他人が褒められて不満そうにしているアーサーを見て、ほほえましそうに見つめるトリスタン。

 そして、目的地へとたどり着く。




 砂漠の民と近いというのに意外にも住民たちの間には活気があるが、ブリテンの王都では見られない褐色の人間の数が多く目立っている。

 見慣れぬ光景にワクワクするアーサー。



「領主との会合までは時間があるんだよな?」

「ええ、そうね。通常ならお屋敷で休ませてもらうけど……まさか……」



 アーサーはいつもの癖で街にでようとして……今回いるのはケイでもマリアンヌでもなく小うるさいモルガンだということを思いだす。



「なるほど……現地の人間の空気を知るというのも大切ということかしら。いいわ。そのかわり私も連れて行って」

「……いいのか?」

「ええ、だってそれがあなたのやり方なのでしょう。だったら私も学ばないと……妻としてね」

「よっしゃーーー」



 顔を真っ赤にして精一杯のデレを見せるモルガンだったが、自由を得たと喜んでいるアーサーは彼女の最後のつぶやきには気付かない。

 そして、馬車を止めてトリスタンを護衛にして視察しようと話し合っていた時だった。



「おや、市場に向かわれるのですね、それならば私に案内させては頂けないでしょうか?」



 そう言ったのはいつの間にか近くにいたランスロットだったのである。


今月の29日にこの作品の二巻が発売されますので、よろしくお願いします。


表紙はアーサーとガウェイン、マリアンヌとなります。


また、新作を投稿いたしました。


「悪役転生して世界を救ったけど、ED後に裏切られて追放された俺、辺境でスローライフしようとしたのに、なぜかかつての仲間が病んだ目をしながら追いかけてきちゃった……」



追放物となります。よろしくお願いいたします。


https://book1.adouzi.eu.org/n7588jt/1/

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