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100/136

100.紫髪の騎士

「アーサー本気で言っているの? あれはあなたを失脚させるための罠かもしれないのよ!!」



 アグラヴェインが去った後に彼の提案を受けようと考えていると伝えたアーサーだったが、案の定モルガンに注意されて過去のトラウマを思い出しびくりとしてしまう。

 この女は怒るととても怖いのである。だけど、不思議と不快感はない。彼女がアーサーを心配していることがその瞳からいやというほどわかるからだ。



「だが、黄金小麦は大事だ。それに俺が行った方がスムーズに運ぶのは事実なのだろう?」

「それは……確かに王族であり貴重な治癒能力者であるあなたがいけば、士気はあがるでしょう。だけど……」



 珍しく正論を言うアーサーだが、もちろん兵士たちの士気のため……などではない。一刻も黄金小麦を回収してケイと楽しみたいことと、善行ノートによる処刑フラグをなくしたいからだ。

 そう、『善行ノート』には以前には書かれていなかった未来が書いてあった。このまま砂漠の民を放置すれば、王族の権威が下がり、砂漠の民との戦争がおきると……そして、その結果周辺諸国が攻めてきて戦争になるのだ。

 これまでの行動のおかげかアーサーが死ぬことはないようだが、他の人間……ケイやマリアンヌ、ベディなどを筆頭とした孤児院の連中、そして、騎士として戦うトリスタンやガウェインはどうなるかわからない。 

 


「俺は親しい人間が死ぬのを見たくないんだよ」



 もちろんアーサーは聖人ではない。関係ない人間が死ぬのは仕方ないと思う。だけど、我がままでもある。

 彼はやり直しの人生で他人を知った。友を知った。そんな皆を守りたいと思ったのだ。



「だから、モルガン……力を……」

「ウィスダムがやたらと詳しいと言っていたけどまさか、あなたは砂漠の民が何かを仕掛けてくると気づいていたの? そして、それを利用して何かを成し遂げようとしているのね」

「え?」



 助力を頼もうかと思った先になんかよくわからないことを言い出したモルガンにアーサーが間の抜けた声をあげる。



「そうよね……砂漠の民とはこれまで相互不干渉であり、これまでどうしても攻めきれなかった。だけど、あなたのことだから、何か名案があるから、アグラヴェインの策にのることにしたのね。よかった……無策とか言い出したらどうしようかと思っちゃったわ」

「え……あの……その……」



 今更無策とは言えない空気になっており、冷や汗を流しまくるアーサー。いや、待てよ。

 俺とて五大害獣の三匹を倒したのだ。砂漠の民くらいなら何とかなるのではないか? それに優秀な騎士たちをモルガンから借りれば何とかなるだろう。そう……例えばトリスタンあたりがいれランスロットからも守ってくれるだろうし、一緒に美味しいものを食べるのにも付き合ってくれるだろう。最近は王都で色々と勉強ばかりさせられているし気分転換になるかもしれない。

 これまでの経験から自分を奮い立たせ、ついでにさぼることを考えるアーサー。




「ああ任せろ。砂漠の民から黄金小麦を取り換えすぞ」

「ええそうね。なら、私も付き合うわ。砂漠の魔物は寒さに弱いのが多いわ。私の魔法も役に立つはずよ」

「え、お前も行くの?」

「当たり前でしょう。私はあなたの婚約者なのだし……それにあなたといれば安全でしょう」



 信頼に満ちた笑みを浮かべるモルガンに胃が痛くなるアーサーだった。



★★




「アーサー様……今回はご一緒することができませんが気を付けてくださいね。ちゃんと寝る前に歯磨きもするんですよ。お姉ちゃん心配です」

「ああ、大丈夫だ。安心して待っていてくれ」



 アグラヴェインとの提案に乗り砂漠の民とたたかっている辺境伯の元へと向かうために馬車になっていると、送りにきているケイが心配そうにアーサーの手を握る。

 まるで遠足に行くようなノリである。



 本当はケイもつれていきたいけどさすがに戦場はなぁ……



 アーサー自体は治癒能力はあるものの戦闘力は皆無だ。そんな彼では誰かを守れないのをつらく思う。



「ふふふ、年上専属メイドとの恋愛も良いですが、婚約者のこともちゃんとかまってあげないとだめですよ」



 くだらないことを言っているのは例によってトリスタンである。彼はモルガンの指示によってアーサーの護衛に命じられているのである。



「あいつが気にするはずないだろう……」



 あきれながらモルガンの方に視線をおくると、相も変わらず無表情だがなぜか唇を尖らしており、こちらを凝視している。

 いや、凝視しているのはアーサーとケイのつながれた手である。


 よくわからないが本能が訴えている。


 彼女の元にいったほうがいいぞと。


 ケイに別れを告げてモルガンのもとへ向かうが、それを追い越すものがいた。



「あなたが噂のモルガン様ですね、本当に美しい。しかも、人妻とはまさに最高です。私にあなたの護衛をさせていただけないでしょうか?」



 紫髪の騎士は彼女の手をとりひざまづくとそんなことをいったのだ


今月の29日にこの作品の二巻が発売されますので、よろしくお願いします。


表紙はアーサーとガウェイン、マリアンヌとなります。


また、新作を投稿いたしました。


「悪役転生して世界を救ったけど、ED後に裏切られて追放された俺、辺境でスローライフしようとしたのに、なぜかかつての仲間が病んだ目をしながら追いかけてきちゃった……」



追放物となります。よろしくお願いいたします。


https://book1.adouzi.eu.org/n7588jt/1/

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