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「はぁ……なんだか疲れたわね」


「ごめんなさい。巻き込んでしまって……」


「あぁ、エリーのことじゃないのよ。アシェル殿下とスチュアート殿下に疲れたのよ。アシェル殿下はカッコよく助けに来たのかと思ったら通常運転で変なことしかしないし!」


並んで馬車まで歩きながら、なぜかナディア様は自分のことのように怒っている。


「え? スチュアート殿下? 何かありました?」


どうやらスチュアート殿下は最近学園に来ていなかったらしい。いや、来させてもらえなかったと言うべきか。学園再開初日にもう婚約者ではないナディア様を呼び捨てで呼び止めて以降も色々とやらかしていたようだ。罰として与えられた王宮廊下掃除をサボったり、それまでナディア様に押し付けていた生徒会の仕事もあまり手を付けていない等々。


これ以上やらかして悪評が立つのは避けたいと、王宮の一室に軟禁して再教育したり、公務をやらせたり、隣国に婿入り(王太子殿下は出荷と言うが)のための勉強を施されていたらしい。

そのため、スチュアート殿下はナディア様の新しい婚約話を知らなかった。隣国への出荷のお話もそうとは知らされず公務の一環としてお勉強させられていたらしい。

この辺りの情報操作は全て王太子殿下の采配である。

そしてスチュアート殿下は監視をつけられて久しぶりに学園にやってきて、ナディア様の婚約話がやっと耳に入ったようだ。

学園でも既に周知の事実になっており、殿下の耳に入るのはさらに遅れ、最近やっと知ったという訳だ。


ナディア様は今日、教師の体調不良で勉強の予定が急遽キャンセルになった。

そこでアルウェン王国に留学経験がある学園の数学教師に色々話を聞きに行っていたという。その帰りに図書館に寄ろうとしたところを監視の目をかいくぐったスチュアート殿下に捕まったようだ。


「さすがに……お前はオレのことが好きだったんじゃないのか、なんて今更言われましても」


「うわぁ……」


今更すぎてびっくりである。自分のことが好きなはずなのになぜ隣国の王太子と婚約なんて話になっているのか、嫁の貰い手が無かったのか、また自分と婚約すればいい等、失礼なことを言われたらしい。もちろんスチュアート殿下は探しにきたお目付け役に素早く回収されていったそうだ。おそらく殿下はまた学園に来れなくなるだろう。


「……スチュアート殿下ってそんな方でしたっけ?」


「呪いの後遺症なのかしら? 私もあんな方ではなかったと思っていたのだけれど……まぁ断言できるほど知っていたわけではないし……自分の欲求のままの世界に浸っていたら……自分の見たいようにしか物事が見えなくなってしまうのかもね」


周囲に誰もいないからかナディア様は先ほどのゼイン様のようなため息をはぁぁと吐く。


「それと出て行くのが遅くなってごめんなさいね」


「いえ、私が1人で対処しないといけないのに結局助けてもらって……ありがとうございます」


スチュアート殿下回収後、図書館に向かったナディア様は私と婚約者の不穏な会話を聞いたようだ。私が叩かれたのを見た後は証拠を押さえるためにすぐさま人を呼びに行ってくれたのだ。

そういえばスチュアート殿下もだが、婚約者もあんな人だっただろうか?


「帰ったらお医者様に診断書を書いてもらってね。叩かれた証拠になるわよ」


「あ、はい」


帰ったらメリーに泣かれ、アシェル殿下から事態を聞いた兄がとんで帰ってきて、ナディア様の家から1人の診断書じゃケチがつくかもと医者が派遣されてきて色々大変だった。


お読みいただきありがとうございます!

完結見えてきた!と思ったら忙しくて中々9月は投稿できず……頑張ります。

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