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クローバー(1)  作者: ディライト
プロローグ
1/10

Prologue

初めまして。ディライトと申します。小説はド素人どころか読むこともあまりないクセに、どうにもお話が書きたくなってしまった今日このごろ。ふと思い浮かんだこのお話を掲載したいと思います。遅筆、誤字脱字、言い回し等不快な点があるとは思いますが、感想、アドバイス等頂けると嬉しい限りです。どうぞよろしくおねがいします。

 クローバー

 

 pppppppp……

 深い海の奥底から呼び止めるような無機質な機械音。

 少し切ない夢を見ていたような気がするが、そんな物語は現実に引き戻されると同時にぐちゃぐちゃと形を失う。

「……まぁた、面倒臭い日々が始まるよ」

 余りの怠惰なていたらくで生活していたため、もはや久方ぶりに始まる新学期など面倒臭いを通り越して行く気なし。俺は「あと十分だけ」という黄金句を布団にしまい込み、重力が三倍にも感じる重い身体を強引に引き起こす。短針が七を示し、けたましく鳴り響く目覚まし時計を恨めしげに止めてやる。窓を開け、部屋内を今だに夜に保っている雨戸を半ば乱暴に開け放つと、ようやく俺の部屋にも朝が訪れた。朝からファイト一発な太陽光に眼が眩む。

 ……快晴だ。これほどに爽やかな朝はなかなかないな。

 そう思うと、先程までの眠気はどこへやら。一つ大きく伸びをするとやけに気分も良くなって、俺は颯爽と朝の決まった身支度をし始める。

 

 俺は草野くさの春樹はるき、今日から高校二年生。

 もう既に俺の心情で察して頂けていると思うが、怠け者だ。怠惰と言う字がこれほどに当て嵌まるヤツはいないんじゃないかというくらいに、俺の自己評価はそれなのだ。しかも気分屋である。そんなちょっとした質の悪い特徴を除けば、普通の高校生と言えなくもない。髪型は少しパーマ掛かったミディアム系統。生れつきの赤っぽい栗色掛かった髪質は、小さい頃から小馬鹿にされるし教師にはちゃらついているやら不良だなんだなどと小煩く言われる。そんな自分の髪の毛は大嫌いだ。中背でこれといって他に特徴と言えるものはない。そんな少しの嫌な特徴を除けば、普通の王道を地で行く俺には、不良やらチャラ男など無縁極まりないイメージの筈なのだ。

 しかしどうにも人という生き物は、見た目で判断するようにできているらしい。

 まぁコンプレックスってやつだ。

 自分の嫌な所のひとつやふたつ、誰にだってあるだろ?

 

 ささっと学校指定の紺のブレザー制服に着替え終えて、俺は朝食の準備を始める。

 着替える前に食パンにバターを塗り、ハムを乗せてマヨネーズをかける。さらにチーズを重ねてオーブントースターで焼いておく。クロックムッシュというやつだ。その間に、フライパンで目玉焼きを作り、その焼いておいたクロックムッシュに乗せてやれば、時間のない朝食の強い味方、クロックマダムの出来上がりだ。

「はふはふ……っつ〜」

 焼きたてを急いで頬張って、若干上あごを火傷しながらそそくさと平らげた。牛乳を一気飲みして、腹が膨れれば次は洗い物だ。

 この辺で大体気付いてもらえるだろうか?

 え? 全然怠け者じゃないじゃないかって? 

 違う違う、俺が一人暮らしだってことにさ。

 母親は2年前、火事で他界。親父とは…………まぁ色々あって現在は別居中。ちなみにどちらも黒髪である。随分前に母子手帳を見せてもらったことがあるので、養子だとか捨て子だとかそんな暗い訳あり事情はない。親父の方はたぶん海外でバリバリ働いているのだろうが、詳しいことは知らない。繋がりといえば、俺を養うための生活費が口座に振り込まれるだけのドライな関係。

 まぁ別にあんなクソ親父のことなんてどうでもいいのさ。あの人も俺のことなんて毛ほどの感情も抱いちゃいないだろうし。

 

 俺はただ平穏にのほほんと暮らせりゃそれでいい。

 

 そう思ってたんだ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 歯磨きを済ませ、実験に失敗した化学者のような髪の毛をドライヤーを駆使して整える。部屋を見渡して戸締まり確認。ローファーで足を包み込んで準備完了、いってきますだ。

 二階建てボロアパートの、地上を繋ぐこれまたボロッちい鉄階段を、カンカンと音をたてながら降りて行く。すると大家のおばちゃんが、アパート前を箒で掃いているのが眼に入ってきた。

 これもいつもの光景だ。

「おばちゃん、おはよ」

 俺は初日の出のように明るい笑顔をイメージして声をかける。

「あらあらハルちゃんはやいのねぇ〜。あ、そっかぁ〜、もう新学期が始まる頃だったわねぇ〜」

 この通りふんわりとした口調で、見た目もとろんと蕩けるような表情をするおばちゃんである。よく佃煮やにっころがしをおすそ分けしてくれる、とても心優しいお人だ。母親が亡くなった二年前から、突然このアパートに転がり込んできた俺を厄介者扱いしないでとても良くしてくれている。家賃まで免除にしてくれているくらいだ。だから俺は、おばちゃんのことは本当の母親であるように大好きなのだ。

「ふふ、新しいお友達ができるといいねぇ〜」

 眼も口も弓なりにして、温かな笑顔を送ってくれる。もうそれだけで、なんだか素晴らしい友達ができそうな気がしてくるので不思議なものだ。

 俺とおばちゃんは、それから一言二言他愛のない会話を繰り広げてから別れた。

「いってらっしゃ〜い、気をつけてね~」

 

 若干高台となっている所から、囲むような木々の間にある坂道を下ってすぐの麓にある県立花岡高等学校へと足を向ける。麓というほど高い山から下りてくるわけではないのだが、言い回しは間違っていないだろう。歩いて十分程の距離ではあるが、木漏れ日が照らす綺麗な森林を堪能する通学というのは悪くない。

 

「うおーっす、ハルっちゃん! 今日も元気に歩いてんな!」

 神秘的な通学路を清清しい気分で歩いていると、ふと後ろから快活な声がかかる。

 現れたのは一年の時の同級生。洒落た黒フレームの眼鏡に、俺よりもさらに明るい金髪に近い茶髪、右耳にワンポイントピアス、どでかいヘッドフォン、そして何故か年中身につけている紫色の長いマフラーをしているチャラ男オブザチャラ男、筑紫つくし正志まさしだ。俺より少し背が低いが、髪のトップをふわりと持ち上げているために傍目にはあまり変わらない。

 蛍光灯のような笑顔を向けてくる筑紫は、乗ってきたスケートボートを片足で器用に掬い上げると、俺の隣に肩を並べた。

「おう、お前は今日も元気に滑ってんな」

 ハイテンションにローテンションで返してやると、へへっと悪戯小僧のようにはにかむ筑紫。

 このチャラ男を極めたような男と普通のスペシャリストである俺が何故つるんでいるのか。それは俺の人生最大の謎であり、決して結託することのないハブとマングースが手を取り合って生活を共にするくらいあるはずのない現象なわけだが……。

 何故だろうな。でも友人なんてそんなもんだろう。気が付けば――――なんてことは……まぁよくはないか。

 

「おはよう二人とも。久しぶりだな」

 麓に降り立つ頃に合流したのは真面目な風貌、トップも寝かせて飾り気のない黒髪無造作ヘアー。見た目通りの学業優秀に見た目にそぐわないスポーツ万能。しかし際立って整った顔立ち、負の感情など一ミクロンもないような優しげな表情、そしてスタイルの良い高身長のいわゆる才色兼備、イケてるメンズである佐久間さくま恵介けいすけが清涼感抜群の笑顔を振り撒いてきた。

「お〜す佐久間、お前も全然変わんねえな〜」

 出会うが早々筑紫がアホな事を吐かす。

 春休み程度で友人の姿形が別人になっていたら、そいつの春休みをダイジェスト形式の紙芝居で見せて欲しいものだ。

「当たり前だろ。なんたって俺は普通な高校生であるからな」

 腰に手をあて、すんっと反り返りながら自信満々に言う佐久間はやはりどこか抜けているちょっぴり惜しいヤツだ。

「「佐久間く〜ん、おはよ〜!」」

 前を歩いていた同校女生徒二人組が、佐久間に気付いて手を振ってくる。それに応えるようにマイナスイオンでも出てるのではなかろうかという笑顔で手を振り返す佐久間。

 佐久間よ、普通の高校生は登校中に同級生でもない女生徒から「おはよ〜!」なんて声を掛けられたりしないんだよ。一人で歩いているならまだしも、ここには俺と筑紫もいるのに。

「……余は面白くないぞよ、草野殿」

 不愉快を絵に描いたような顔をこちらに向けてくる筑紫。

「世の中不公平じゃな、筑紫殿」

 中途半端な殿様口調で返してやると、筑紫は何かに納得したように腕を組みながら世知辛い世の中を噛み締めるように頷いた。

「何が不公平なんだ?」

 一人会話に加われなかった佐久間が無垢な表情で聞いてくる。

 これっぽっちの嫌みったらしさがないのがまた問題だよな。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 新学期初日、学校に着いてまずやることといえば校内のお知らせ掲示板に張り出されるクラス分け一覧表を見に行くこと択一。今年一年の自分の立場が今日で全て決まるといっても過言ではない。所謂いわゆるターニングポイントだ。初対面入学時のクラス分けとは訳が違い、クラスの面子によっては既にグループ分けが済まされてしまっている場合も大いにある。人気者ポジションに昇格する奴もいれば地味めポジションに格下げされる奴もいる。運が悪いと孤立する可能性も有り得る。大人が思っているほど学校生活ってのは甘くない。特に最初は闘いなんだ。俺も中学でのクラス替えを経験してきているからこその考えである。

「お〜お〜、わんさか湧いてるの〜」

 筑紫が山の頂上から下を見下ろすようなポーズで人だかりを眺める。昇降口に入ってすぐの所に広いスペースがあり、お知らせなどは全てそこに備え付けてある掲示板に貼り出される。その掲示板の周りには、来日したハリウッドスターを取り囲む記者団のように、自分の行く末を見定めようというブレザー服が掲示板の周りを囲んでいた。そこでは、既に歓喜の声をあげている生徒やこの世の終わりだというような表情で肩を落としている生徒も見てとれる。

「これは三人で見に行くのはちょっと無理だな」

 佐久間が思案顔で顎をつまみながら言う。

「んじゃ筑紫ちょっとスケボーでちゃっちゃと見てこいよ」

 俺がアホな提案をしてやると、不揃いな歯を見せながらグッドサインを出してスケボーに乗り、人垣へと蹴り出して行った。学校内でのスケボーは当然禁止であるし、漫画のように人の群れを飛び越えて行くなんてこともできるはずもない。予想通り筑紫はあえなく人混みの入口で急停止し、結局スケボーから降りて自分の身体を強引に割り込ませながら消えていった。

 前から思ってはいたが、やはりアホだったか筑紫。というかスケボー忘れて行ってるぞ。

「……春樹は今年目標とかあるのか?」

 佐久間が二人きりになった途端、企業面接官のような質問をぶつけてきた。

「唐突になんだ? 相変わらず真面目ちゃんだなあ」

「今日は珍しい事に清々しい表情してるからさ。何か新しいことに向かって燃えてるのかと思って」

 いつも清々しくなくて悪かったな。もともとそういう顔なんだよ。

「別にそういうわけじゃないけどよ、面倒臭がりの俺としては今日の寝起きが素晴らしく良かったからじゃないか?」

「そうなのか、じゃあ何かいい事があるかもしれないな!」

 いい事ねぇ。

 登校から不愉快極まりない挨拶イベントがあったが言わないでおこう。というか何故お前が嬉しそうなんだよ。

 理由を聞いて満足したのか、佐久間は腕を組みながら大きな使命に燃えているような表情で掲示板の方を眺めている。

「うお〜い! て〜へんだて〜へんだ!」

 佐久間と他愛のない話をしていると、江戸っ子が似合わない男ナンバーワンである筑紫が人混みの中から威勢の良い声をあげて脱出してきた。

「どうだったよ?」

「おう、俺らはまぁ問題なく今年も同じクラスじゃ」

 田舎の古い学校だから五クラスしかないとはいえ、腐れ縁というものはたいした効力だ。

 佐久間とは中学一年生の時、筑紫とは中学二年生で同じクラスになり、つるむようになってからは全て同じクラスである。

 佐久間と筑紫がハイタッチを交わしているのを眺めながら、俺はしみじみと思う。

 

 こんな日常がずっと続けばいい。

 新たな刺激なんていらないし、面倒なイベント事も必要ない。

 現状維持が一番だってな。

 誰だって、現時点の状況に満足していればそう思うだろ?

 だがしかし、こんな向上心の欠如した駄作(オレ)を作り出しちまった創造神とやらは、どうやら大変ご立腹らしく……、

 

「げっ」

 

 いつの間にか佐久間と抱き合っていた筑紫が、俺の更に後方に眼を向けてゴキブリを発見してしまったかのような表情で顔を歪めた。俺も佐久間も釣られて振り向くと、そこに立っていたのは……、

 

「どきなさい。掲示板が見えないじゃない」

 弁慶も土下座物の仁王立ちで腰に手を当て、こえだめを見下ろすような表情で人混みに一喝。掲示板に群がっていた生徒は玉座への道を開ける兵士のように端へと掃ける。道が開けたのを見て、彼女は群衆を平伏させる勢いでその道の真ん中をずんずんと音が鳴りそうなくらいに堂々と歩いてくる。俺達も周りにならってついつい端に避ける。だんだんと近付いてくる彼女の周りには、お付きの人なのであろうか、うちの制服を着た女の子二人がとことこと控えめについて来る。

 

 彼女を一言で言い表すならば〝崇高〟。

 上品で落ち着いていて、それでいて凜とした風情。とてもじゃないが気軽に話し掛けていい雰囲気オーラを纏っているとは言い難い。女性の中でも小柄な方だが、それを感じさせないヒマラヤ山脈のように大きな自信に満ちた態度。くりっと真ん丸の水晶のような瞳と、それを護るように連なる長い睫毛。淡い桃色で鈍く光る唇からは色気も感じさせる。神様がスペシャルオーダーメイドで創られたのではないか。そんな馬鹿げた事を考えてしまうほどに、彼女は見る者総てを魅了させるのだ。

 ただ俺は、彼女の気高く整った容姿だけに魅了されたのではなかった。

 

 何故なら、柔らかく風鈴のように風に揺らされ、サラっと腰の辺りまで滝のように流れる彼女の長い髪の毛は、俺と同じ――――、

 

 栗色だった。

 

 子供の頃から馬鹿にされ、父母どちらも綺麗な黒髪であることから、遺伝など机上の空論ではないかと思うほどに苦悩したこの髪色。そんな嫌悪感一杯だった栗色は、それが最初から彼女の色であったかのように綺麗なのだ。まるで西洋人形に魂を宿らせたような、それが彼女の第一印象だった。

「そうそう、て〜へんなのはなハルっちゃん、あの娘が同じクラスってことだよ」

 佐久間にくっついていた筈の筑紫は、いつの間にか俺の肩に腕を回し青汁を一気飲みしたような顔で彼女を見る。

「あの娘の事知ってるのか?」

「え、逆にハルっちゃん知らんの!? ちゃんと学校通ってたか!?」

 失礼な、毎日一緒に登校してたろう。

「あの娘は碧原みどりはら一葉ひとは。一体この田舎の何処にそびえ立っているんだという程の高級住宅に住んでいるみたいで、その正体はなんと大企業社長の御令嬢という噂だ。あの通りお付きの人らしき人物も側近にいるだろ?」

 みたいとか噂とからしきとか全部推測じゃねえか。まあでもそれらしい雰囲気あるもんなあ。何か住む世界が違うっていうか。

「本当なんでこんな田舎学校にわざわざ通ってんのかね〜。……社会勉強?」

「あの娘の事情はどうでもいいけどよ、なんであの娘と同じクラスなのがて〜へんなんだ?」

「遠慮してしまうんだよ」

 俺が筑紫に問うと、筑紫が答える前に佐久間が口を挟んできた。

「あの通りの性格だし、御令嬢心理も相俟ってクラスの雰囲気が悪くなる。彼女は誰にも心を開かないし、歩み寄ろうとする者もいない悪循環……」

 いつもの爽やか顔は何処かに置いてきてしまったように、憂いを含んだ表情で碧原一葉を眺めている。

「……妙に物知り顔だなぁ、佐久間。同じクラスになったこととかあったっけ?」

 少し様子のおかしい佐久間に筑紫が間の手を入れてやる。するとまた普段の爽やか仮面を付けてにこやかに笑った。

「聞いた話さ」

 

「ねぇ」

 

 思わず後ろにのけ反りそうになった。俺達が碧原一葉についてひそひそと話していると、彼女はいつの間にか俺達の前に立っていた。

 香水の匂いだろうか。彼女が近付くとふわっと鼻をくすぐる香りが舞う。彼女は佐久間と筑紫を一瞥した後、俺を睨むように眺めてくる。なんとなく眼を合わせるのが気まずくなって、左右に視線をさ迷わせると、佐久間も筑紫も絶滅動物を見たような表情を浮かべている。彼女が人に話しかけるのがそんなに珍しいのか、周りもざわざわと俺達に注目しているようだ。

「……その髪の毛……地毛なの?」

 第二声に再び彼女の方に向き直ると、よくよく見れば彼女の視線は俺の眼ではなくその上……俺のにっくき栗毛に突き刺さっていた。

「……え、ああ、地毛だよ。何もいじっちゃいない」

「へ〜……」

 俺がそう答えると、彼女は関心したように綺麗な瞳を見開いた。

「私以外にもこんなに目立つ栗色がいたなんてね」

 彼女は少し笑顔を見せた後、長い後ろ髪を翻しながらお付きを引き連れて掲示板へと去っていった。

「おいおい、驚天動地だぞ……!」

 先程からずっと俺の肩に腕を回している筑紫は驚きを隠せない様子で口を開く。

 それよりもお前がそんな言葉を知っていた事に驚天動地だよ。

「どうやらお気に召されたようだな」

 俺の肩にぽんっと手の平を乗せてくる佐久間。

 だからなんで嬉しそうなんだよ。

 今だざわつく野次馬に睨みを利かせながら、俺は大きく溜息をついた。

 ただ不思議と、彼女から噂に挙がるような負のオーラは感じなかったのだ。

 

 

 そう、これが俺、草野春樹と碧原一葉との出会いだった。

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