余白・設定①(本編を読んだ後、暇な時に読んでください)
《登場人物》
【ミレ】
本編の主人公。ショートカットで薄幸の美少女……のつもりでしたが、周りからのお節介とキャラの明るさで毎日幸せそうです。年齢十八才、この世界では成年扱い(変な書き方するな)。銃の扱いに慣れて武器見本市ではアイドル並みの人気を得て、本人はちょっと嬉しかったりする。稲村某が書くヒロインらしく食欲旺盛で健啖家。でもちょっと太ったらしく本人も最近は気にしている。
【ミレの母親】
苦労人。ミレの母親。年齢アラフォー。病弱。結構美人だが、苦労と病魔で散々な目に。得意な料理はポットシチューパイ。夫は消息不明。
【マデュラ】
死人。ミレと出会うまでは一人でスカベンジャー。死角や隠れた敵に対する察知能力は常人を遥かに超越していたが、ナイトビジョン装着が盲点と化して途中退場する。喫煙者。ミレに自分の武器倉庫を託す。
【ニセロ】
出来るオンナ系元会社経営者で今はスカベンジャーに情報を売る【コーディネータ】の元締め。ミレより更にショートカットヘアでキツめの印象ですが、何かと彼女を気遣ったりチョコに目が無かったりと結構良い性格してます。スーツはパンツ系を愛用しキャリアウーマンのイメージは崩さないです。コーヒーとタバコ、それとチョコとビタミン錠が有れば生きていけるヒト。但し酒は飲めるが深酒しやすくてミレはよく犠牲になる。趣味は通販で注文した健康グッズが届くのを気長に待つ事。焦るな、配送ルートはまだ途絶えていない。
【ガラルト】
元東側の軍人。スキル的には相当な達人だがスカベンジャーとしては凡夫。筋肉ダルマの強面。モデロとボンゴからはボスと呼ばれているが、ミレからは名前で呼ばれているのが彼的にはこそばゆい。銃器の扱いに慣れ作戦立案や状況判断は的確だが、伝法な口調の割りに機転の利くミレに良く助けられている。
【モデロ】
ガラルトの忠犬その①。ヤンキー系ギザ歯茶髪の元突撃兵。オリンピック出場を目指す国家プロジェクトで選定された孤児改造計画の犠牲者で、後天性ドーピング拒絶耐質が異常な回復能力に繋がっている上に夜目も利く超人。軽い傷口なら直ぐ塞がるが、骨折は治りません。マシンガンよりショットガンを好むが、飛距離が必要な環境では主義が変わる真面目くん。口調はヤンキーだけど案外コロッと変わりやすい。二十才。ミレをクソガキと呼ぶ設定は当初はメスガキでしたが、余りにも生々し過ぎて却下されました。雑魚雑魚なモデロおにーちゃん、もーっとがーんばれ、がーんばれっ♪
【ボンゴ】
ガラルトの忠犬その②。陰キャ、どもり、罠回避スキル持ちのみんなのお友達。束ねる長さの髪は濃い目のやや癖っ毛で天然茶色。銃器は基本持たないが扱えない訳ではなく、ガラルトとモデロが持ってるからいいやって感じ。軍隊経験はゼロだがガラルトに仕込まれて爆発物の取り扱いにも慣れている。彼もモデロ同様に国策の犠牲者で嗅覚と聴覚が特に鋭敏、実はミレの……いえ、何でもないです。そうそう、【狩り】というキーワードが彼の中に潜む二重人格的な面を引き出し、圧倒的な近接格闘能力を発揮しますが、その時は感覚鋭敏のバフは消えます。戦闘が終わると元に戻りますが、表層の性格は裏の性格を非常に嫌っているので鬱モードに突入……ぼ、暴力はいけないんだな……。
【ステーション・及び市場の商人達】
放棄された地下鉄駅や線路、そして管理事務所や保線重機基地を改装して作られた文字通りの地下市場。プラットホームに駐機されたままの地下鉄車両(両側から出入り出来る)を利用した小さな店が並び、食料品から銃器及び銃弾、果ては裏取引でタクシー代わりに民間警備会社の装甲車がチャーター出来たりと何でも有り。プラットホームから離れた場所にある保線重機基地や駅舎等も壁や間仕切りで貸し出され、そこにミレの隠れ家がある。電気やガスといったインフラ設備はステーションの使用代金として徴収された金で、様々な形で外部から密かに引き込まれている。発電機の排ガスはどこに出してるんだろう……?
【市場の人々】
おっさんやおばさん。盗品買い取りや禁制の銃弾銃器を売買したりと真っ当な職業なんて少ない割りに、店では誰もが良い接客している不思議空間。店主の中には退役軍人や退職した民間警備会社の元重役が平和な老後を謳歌してたりするので、泥棒なんて全く居ない平和な市場……ん? 盗品……?
【西側・東側】(連盟や連合と様々な呼び方が有りますが気にしないでください。作者はフィーリングで決めています)
ミレが住む西側はEU圏のイメージ、多国籍集合体ではなく各自立憲の連合組織です。通貨単位は日本円と比較すると百倍の差があり、一万で百万円の価値です。
東側はロシア圏のイメージで、その詳細は未だ闇に包まれている。強権国家の某国が西側のとある国に武力介入を行い、発端となった紛争が今も続いています。
それ以外の国々は東岸地域の貿易国(上海のイメージ)や越海の南北大陸(南北アメリカ)等が西側及び東側其々に援助を行い、紛争を利用して国益に繋げようと日々暗躍している。これらの国々が援助を続ける限り、東西対立紛争は決して終わらないでしょう。
【ミレの住む国】
本来の名称はオルドリア。福利厚生の手厚い模範的な民主国家だったが、東側の軍事的戦略により侵略されて紛争の舞台と化す。農業と観光で他地域から旅行者も多かったが、未知の破壊兵器により農産インフラは壊滅的なダメージを負う。結果的に西側諸国から支援が集中し、過去に類を見ない資本が荒れ果てた国家に未曾有の利益を生み出した。そのお陰で侵略は免れたが国家内では利権を奪い合い主要政権は分裂、そして国際的な民間警備会社が利益を求めて集中し、紛争で枯れ果てた人的資源の減少は免れているが安易に無視出来ない様々な問題を生み出している。代表的な料理のイメージは英国風なので、ミレが調理する姿は余り登場しない。作るより冷凍食品を買った方が安くて早くない?(ミレ談)
【武器】
特定の企業名を使用しない理由が有りまして、例えばカラシニコフと書いてしまうと簡単に「あーモブっぽいな」と勝手に想起されてしまう為、わざと書いてません。ミレが購入したハンドガンも「ポリマーフレーム」とだけ説明されていますが、今は相当な種類があるのでそのどれかです。因みに参考にしたのはH&KのP30ですが口径だけはハッキリ明記させています。その理由はボディアーマーで防御出来るか判り易くする為。
銃はハンドガン、アサルトライフル、サブマシンガン、ショットガン、狙撃銃、そして各グレネード。これらも特定の企業名は出していません。マニアならAKと聞けば7.62ミリのセミフルと判りますよね? でも知らんきゃ無理なのでちまちま説明して文書が重いのなんの……。ミレが使用しているのは主にサブマシンガンと狙撃銃です。アサルトライフルは彼女には大き過ぎるので……ミレが見本市で最後に試射したのはAsh-12ですが、ガラルトが使っているのも同じモデルの亜音速弾装填の消音器仕様です。あ、モデロが使用しているアサルトライフルはグローザ。東側銃器が多い。M4等は余り登場しませんが、どちらかというとパーツ引っこ抜いて売却する金策担当って感じです。
【環境】
ミレの住む国は未知の破壊兵器(マイクロマシン?)で激しい環境汚染が発生し、紛争が終わるまで本格的な復興は難しい状況に陥っています。だから過去に生産された食料品が高値で取り引きされています。生鮮食品は流通網の分断により市場に出回らず、もっぱら冷凍食品か長期保存食品頼り。汚染地域で半野生化した牧畜や獣が密かに狩猟され、時々市場に出回りますが果たして安全なんでしょうか?
当然ですが、この紛争に核兵器は投入されません。じゃあ航空機で空爆すりゃいーだろ、と思われるでしょうが離陸直後に攻撃が可能なドローン兵器が敵味方飛行場付近で狙っている為、離陸時に鈍足な爆撃機は良い的でしかない。そんな訳でミレ達は空爆を気にせずスカベンジャー出来てます。
この世界のドローン兵器は概ね運用状況に応じた形状で、間違っても二足歩行したりはしません。つまり飛行翼や四枚羽根の飛翔型がメインでフィイーンと飛んでボカンと爆破させるタイプです。
作中でも書いていますが、そうした空爆に変わるドローン兵器のせいでミレの国内では公共交通手段が機能していません。地下鉄も紛争開始直後に発生した大規模爆撃(最初で最後の高高度無差別爆撃)によってズタズタに引き裂かれ、ステーション等が生み出される結果に繋がりました。
【言語】
東西陣営それぞれの共用語が存在するが紛争前は国際的なビジネス交流をしていた為、もう少しで東西共用語なんて作ろうとした時代もありました。しかし、今は東西好き勝手に各公用語をミックスしながら意思疎通させてます。作中では共通語、という表記がありますが、これは東西陣営の共用語とは違う、英語のような準標準語と理解してください。その割りにニンジャ・ソルジャーなんてのも安易に使うのよね……。
そんな訳で機関銃はマシンガンでカカオマスバターを練って冷やしたお菓子はチョコでウオッカはヴォトカで煙草はタバコです。いちいち意訳する気はありません。
(昔は似たような独自言語も作りましたが、今は読み易さと皆様の脳内変換を邪魔しない程度にします。気にしない気にしない)
【サルベージ】
ミレの故郷、オルドニアは紛争で被災した様々な市街地等で埋没資産を発掘する作業、いわゆるサルベージを始める。これは戦時下で職を失った外国人労働者や農産業労働者に安定した仕事を与える社会福祉として当初は始められたが、その実態が危険なグレーゾーン(敵味方どちらの支配地域か曖昧な場所)で埋没物資を回収する仕事の為、直ぐ離職者が急増した。だが、一部のサルベージ作業員が物資を横流しし大金を手にしたとの噂(真偽は確かでない)が広まった結果、一時的にサルベージ作業を希望する志願者が急増する。この状況を改善しようと政府はサルベージ作業員に【社会貢献度】という奇妙な箔付けを行い、この貢献度で様々な社会的抑制を緩和する制度を始める。これにより亡命した元東側兵士や密入国扱いの外国人労働者達に特例的措置が与えられ、金銭面以外での厚遇を得たい者が急増した。これにより危険と引き換えにサルベージ作業に従事し、処遇改善を試みる希望者により全体比率(金儲けだけ望む者が増えると非従事者から不平等だと不満が増加する)が安定していく。だが、それとは違い、若年層の貧困救済策として新たに模索されミレのような若者達も短期間の訓練を経てサルベージ作業員として従事している。だが、ミレがスカベンジャーに転身した二年後に制度は廃止、それに携わった官僚は全員更迭された。尚、その官僚の中には不可解な不審死を遂げた密売取締管轄官も含まれている。
【まとめ】
科学は戦争を発端に急成長する事もありますが、それは先端分野に限っての話で兵器が進化すれば人の命は容易く絶たれます。この作品中に出てくる一部の弾丸は、体内で粉々になった際に運動エネルギーを放出して筋肉や骨、内臓や神経をズタズタに破壊します。決してフィクションではなく実在する弾種であり、それを作ったのは人間です。人間を一番殺傷している生物は、残念ながら人間です。どれだけ獰猛な野獣でも何十万人も殺す事は無く、病原菌の次に人を殺しているのは残念ながら人間なのです。
稲村某は、そうした武器や戦争の中に僅か垣間見える人間ドラマが好きであり、武器や戦争自体を擁護する気はありません。だから、ウクライナもガザ地区もさっさと撤退しろよと思います。
しかし、作者として紛争が終わればスカベンジャー達は仕事を失うので困ります。誰かスカベンジャー達に紛争地帯以外で仕事を与えてくれ。




