93 やってみなきゃわからない あの二人はいつもそう
「星間警察」と「偵察局」の「洗脳機関」対策合同会議はつつがなく開催された。
「星間警察」は傘下の各「惑星警察」に通達を出し、「洗脳機関」の仕業かと疑われる事案はすべて報告するよう指示した。
それは良いとして、やはり緊急かつ最大の課題は、「洗脳機関」の「指揮官」と対等以上に戦える人材が事実上旦那さん以外にいないという重い現実であった。
現実は現実として受け入れ、対策を立てなければいけない。
立てた対策は、早急に「洗脳機関」の「指揮官」と対等以上に戦える人材を大量に育成する。
そのためには「育成機関」を首都星系のどこかに設置…… である。
◇◇◇
設置場所はあっさり決まった。
「アクア3」である。
厳密に言うと「首都星系」ではないが、近隣である。
市街地が密集している「首都星系」では不測の事態に備えなければならないが、「アクア3」の孤島ではその懸念は少ない。
発展途上星の地域振興の一環にもなる。
有力な島長のティモンは「星間警察」と「偵察局」に恩義を感じており、好意的である。
等々の理由でとんとん拍子に話は決まった。
◇◇◇
後は教官である。
首脳部は頭を抱えた。
能力的に最も高いのは旦那さんなのは間違いない。
しかし、これほど「教官」に向かない人間も珍しい。
最終的な結論は、坊っちゃんを補佐につけ何とかして貰う……だった。
◇◇◇
「やはり、そうなるか……」
偵察局長は溜息をついた。
「いつものパターンですね」
部下は苦笑する。
「今回は、『旦那さん』の好きな『強い奴との戦闘』じゃないからなぁ。どうなることか」
偵察局長の嘆きに、部下が宥める。
「『やってみなけりゃわからない』。あの二人はいつもそうじゃないですか」




